第5回 祇園祭の愉しみ方「唯一の、おすすめの穴場」
第5回 祇園祭の愉しみ方
「唯一の、おすすめの穴場」
京都の夏の風物詩、祇園祭がいま行われている。数10万人の観光客が訪れる四条通り近辺もいいいが、通ならこんな場所で見るのもいい。
1ヵ月の長丁場、祇園祭
祇園祭が始まりました。
観光客の多くは、祇園祭は7月16日の「宵山」と17日の「山鉾巡行」を思い浮かべますが、じつは、祭は7月1日から1ヶ月間にもわたる長丁場なのです。
7月1日の「切符入(神事始め)」、長刀鉾町の人々が稚児を伴い八坂神社に神事の無事を祈る「お千度」。2日は山や鉾の巡行の順番を決める「くじ取り式」、10日からは「鉾建て」が、翌日からは「山建て」も始まります。
祇園祭に関係する市内中心部の町々では、これ以外にもたくさんの神事があって、四条通りあたりを歩いていると、なにがしかの神事に遭遇したりするものです。
昨年、僕は「稚児社参」に遭遇しました。巡行の先頭、長刀鉾に乗る稚児(長刀鉾以外は人形)が従者を伴い八坂神社に詣で、位をもらう神事(7月13日)です。鉾町、山町の人々が「試し曳き」をするのもこの頃です。
祇園祭見物の観光客が京都に押し寄せてくるのは15日の「宵々山」あたりからです。16日の宵山には数十万人もの見物人が四条通りを中心とした鉾町、山町を埋めつくすのですから、その混雑ぶりが想像できるでしょう。
一苦労の見物、おすすめは新町通り
そして17日、祇園祭の最大のハイライト、山鉾巡行の日です。
昨年は巡行が始まる前から大雨が降り、その影響で人出は少なかったのですが、それでも沿道は見物人で溢れかえっていました。
広い通りを巡行していく鉾や山を人垣の後ろの方から見物するわけですから、祇園祭見物は一苦労です。
せっかく京都まででかけて行って祇園祭を見るのです。穴場スポットで見物しない手はありません。おすすめは新町通りです。
巡行は四条通りをスタートし、河原町通り、御池通りと進み、山と鉾はそれぞれの鉾町、山町へと戻っていきます。
その際、すべての鉾と多くの山が新町通りを南下していくのです。そこに至るまでの広い通りとは一変して、新町通りは、いわば路地のようなものですから道幅が狭い。その狭い道を、ところ狭しと鉾や山が巡行していくのです。
ここに観光客の姿はほとんどありません。見物人は町内の人たちばかり。昨年、僕はここで巡行を見物しました。
曳き手たちとぶつかりそうなくらい接近して山鉾巡行を見ることができる新町通り。唯一の、おすすめの穴場です。