連載|増田啓晃

はじめまして。ご挨拶がわりに

はじめまして。ご挨拶がわりに

インゼル ホンプロイヒ美術館にて photo by MASUDA HiroakiInsel Hombroich Museumにて「openers」立ち上げおめでとうございます。11月の展示会の準備のため、仕事で、ミラノとデュッセルドルフに行ってきました。今回は仕事の合間を見つけて立ち寄ったミュージアムを紹介したいと思います。デュッセルの友人と一緒に「良い所があるよ」と言われて特に印象的だったものは、デュッセルドルフの郊外にある、ノイスと言う小さな街にある『インゼル ホンプロイヒ』(http://www.inselhombroich.de/)という美術館でした。デュッセルドルフのア-トコレクターのカール・ハインリヒ・ミュラーが自身のコレクションを公開するべく、1986年にスタートしたミュージアムと森自体が一つの作品になっているのがコンセプトで、自然風景に調和させて野外作品や芸術家のためのアトリエ、ミニマル彫刻状の展示パヴィリオンを点在させていて、建物も使われなくなった再生レンガを使っ...
第2回目は僕の本業、靴の話を少ししたいと思います

第2回目は僕の本業、靴の話を少ししたいと思います

「CAUSE」を始めたのは1996年、僕は特別に靴の学校にいっているわけでもなく独学で、 靴好きが高じて靴の分野に入っていきました。きっかけは僕が、若い時代(80年代初頭)にバイヤーをしていたことがあって、当時ロンドンの郊外にあるノースサンプトンという場所に「パトリックコックス」や「ジョンムーア」といったシューズブランドを買い付けに行ったりしていて、その時にデザイナーや職人に工場で作る工程を見せてもらえたタイミングがありました。その時の工場の独特の革の匂いや縫製するミシンの音がとても印象にあって、今でもよく覚えています。今思うとその時の体験があったから靴の分野にすんなり入れたんだと思う。ジョンムーアが当時、開いていた「ハウス オブ ビューティー カルチャー」というお店があって凄くかっこよかった。いつも閉まっていてインターホンを押すと2階から降りてきてお店を開けてくれる。ドアに大きな錠前がかかっていて、床に世界中のコインが埋まっていて良い店だった。大切そうに靴を取り出して説明してくれ...
第3回目はミラノのアイスバー

第3回目はミラノのアイスバー

photo&text by MASUDA HiroakiICE BARの外観先日ミラノに立ち寄った時にアイスバーに行ってみました。アイスバーは知っている人も多いと思いますが、スウェーデンのストックホルムにあるノルディック・ホテルズのノルディック・シー・ホテルに昨年6月、店内のすべてが氷で作られたバー「アイス・バー」が誕生し、ストックホルム、ロンドン、ミラノ、東京にもあって話題をさらっています。ダウンなど用意をしなくてもバーでシルバーの防寒具や手袋などを貸し出してくれるので、それを着て中へ。BARの中はマイナス5度。寒すぎます。40分以上は居ては体に負担がかかるので、だめと言う事。氷でできたソファーに腰掛けて、白い息を吐きながらくつろいでみる。防寒着で完全防備四角い氷をくりぬいてつくったグラスで出されるのは、ウオッカベースの、色とりどりのカクテル。僕は酒は飲めないので、オレンジジュースを頼む。スタッフから「アルコールが入ってないので常に掻き混ぜないと固まるので」と言われる。店内ですB...
第4回目はうかい鳥山

第4回目はうかい鳥山

photo&text by MASUDA Hiroaki八王子にある、うかい鳥山という食事処に行ってみました。都心から車で約1時間ぐらいの高尾山のふもとにあって、ドライブがてら夕方から友人のコウ君と富家君と小旅行気分で、車に乗り込む。2人とは20年来の友人で、気心知れているので、一緒にいて凄く気が和みます。到着する頃にはすっかり日も暮れていて車を降りる。このお店はコウ君が前に何度か訪れていて、良いお店があるので行こうよと誘われて来たんですが、到着すると、とにかく広いお店で、驚きました。まるでどこかのテーマパークのような……広大な日本庭園の中に離れがいくつあるんだろう……日本の茶室が点在していて良い雰囲気です。あとで聞いてみると6,500坪の敷地に38棟の客室を持つ敷地内には、世界文化遺産の合掌造りや加賀前田候の茶室などがあるそうで、改めて日本を再認識しそうな良い空間。時季には螢も見られるそう。日本には、永い歴史の中で熟成されてきた、世界に誇る独自の文化があって、まるで、それを一つに...
第5回目は共同作業 Vol.1

第5回目は共同作業 Vol.1

text by MASUDA Hiroakiphoto by SHIGA Toshiaki3月3日から発売中。http://stussy.jp 『STUSSY』×『CAUSE』僕が20代の頃からずっと好きで着ているブランドが、STUSSYです。蛍光色でトライバルロゴがプリントされたフォトTシャツを初めて買ったときのことを今でもよく憶えています。当時はロンドンブームでデザインされたものが多い中、とても新鮮だったのを記憶しています。STUSSYを交えて色んな友達が出来ました。音楽をやってる人や洋服を作ってる人、色々……。今でもずっと関係が続いています。その後、いろいろな経過を経て今、靴を作成できる機会を頂いて、大切な仕事が出来て感謝しています。STUSSYの06年度のトータルコンセプト「STUSSY WORLD TOUR」に基づくシリーズ化されたプロダクトラインに様々なアーティストが参加していて、今年CAUSEも参加しました。今回はSTUSSYのブランドのシグネチャーであるワールドツア...
第6回目は共同作業 Vol.2

第6回目は共同作業 Vol.2

text by MASUDA Hiroaki『Cycle』×『CAUSE』ここ数年コラボレーションという企画商品をよく耳にすると思いますが、僕は今まで人と会って話したり、一緒に遊んだりする中で、刺激を受けたり共鳴したりする人の靴を作り続けていました。今回紹介するブランド『Cycle』もその一つです。『Cycle』のデザイナーの岡沢高宏君とは、数年前に友人の事務所やイベントで会って色々と話をするようになって、初めて話した時に最近の人にはいない凛とした空気があって考え方も明確で、迷いがなくて会っているととても居心地が良い。顔見知りになってから、何度かの節目で仕事の話や趣味の話をして1年くらい経過して、気がつくと自然に共同製作の話が進んで行きました。1年間という時間のなかで、相手側の仕事に対する姿勢やポリシーなどに耳を傾けることで、初めて双方の思いが熟成されてモノが生まれてくると思います。そういう時間にはとても意味があると思う。今回紹介するこのスニーカーは、お互いのカラーが良く反映された...
第8回目はTHE CHILL結成!

第8回目はTHE CHILL結成!

先日、恵比寿のリキッドルームで、立花ハジメさんがBAND THE CHILLのライブを行うと聞いて向かいました。到着するとすでに会場は熱気に包まれており、緊張感が高まるなかライブは始まりました。(動画はこちら http://trafic.jp/main/main.html)text by MASUDA Hiroakiゲストが続々ステージに登場THE CHILLのメンバーはヴォーカルに紺野千春さん、ベースにKUNIさん (EX ナチュラルカラミティ)、ドラムには屋敷豪太さん、そしてギターに立花ハジメさん。その他、大野由美子さん (バッファロードーター)、日本のクラブミュージックシーンのパイオニア、中西俊夫さんという豪華な顔ぶれも加わった。途中、またもやスペシャルゲスト渡辺等さん (ヴィオラ)、 トム・シュマルツさん (フルート) が加わり、クラシックと融合した暖かい空間が生まれてとても良かったです。会場は超満員で、久しぶりの臨場感あふれる最高のライブでした。ここにきてまたアナログ感が...
第9回目はname of FLAVOR

第9回目はname of FLAVOR

第9回目は name of FLAVOR先日OPENERSでも告知していた、9月1日に渋谷のSECOで行われたユニットFLAVORを紹介したいと思います。text by MASUDA Hiroaki音楽ユニットFLAVOR、誕生!普段から遊んでいる友だちと何か面白いこと出来たらいいねと、なんでもない会話のなかから生まれたのがユニットFLAVORです。最初はメンバーのTEPが「何か面白いことやれませんかね?」といったのがきっかけ。それからいろんな友だちが集まって進行していきました。メンバーは僕と、JUNPEI(GRAVIS)、DEKAJUN(RESONATE)、TEP(RESONATE)、SAND(SAND GRAPHICS)など、いろんなジャンルのひとたちが集まってくれました。ユニット名はDEKAJUNが決めてくれて、みんなそれぞれ役割があって、アコーティックライブは大橋君(OHASHI TRIO)がふだんのクラブイベントでは味わえない、とてもいい内容のLIVEでした。 ...
第10回目は雑誌『MONOCLE』

第10回目は雑誌『MONOCLE』

第10回目は 雑誌『MONOCLE』先日、LONDONのカルチャーマガジン『MONOCLE』から取材の連絡が入りました。『MONOCLE』は最近(今年2月)に創刊された雑誌で、編集長のタイラー・ブリュレさんがCAUSEに興味があるので、作品を送って欲しいとの事でした。text by MASUDA HiroakiLONDONとの不可思議な縁タイラー・ブリュレさんは、あの『wallpaper』を創刊し、ニューヨークタイムスなどのコラムニストで、海外を行き来しながら独自の視点で選んだトレンドを紹介しているそうです。いろいろとお話をきくとつねに旅をしている方で、旅をしながら本を制作しているみたいで、とても共感がもてました。取材が終わり『MONOCLE』(www.monocle.com/)が届くととても知的で、洗練された雑誌で、ビジネスや世論、エコロジーやファッション、デザイン、カルチャーなどとても面白く拝読しました。中田英寿さんもエディターで関わっているそうです。ちなみにCAUSEはiss...
第11回 「Le Baron de Paris」COUNTDOWN Party2008

第11回 「Le Baron de Paris」COUNTDOWN Party2008

第11回 「Le Baron de Paris」COUNTDOWN Party2008新年明けましておめでとうございます!休暇はみなさんはどう過ごされたでしょうか?僕は最近、知っている人も多いと思いますが、青山にある「Le Baron de Paris」(http://www.lebaron.jp/)というラウンジクラブでDJをしています。1ヵ月に1回のペースで、『MELODY』というタイトルで、僕プラスふだんから仲がよかったり、お世話になっている人を招いておこなっているDJイベントです。12月31日はカウントダウンPARTYのDJでした。格闘技を観て、自宅ちかくの「利庵」という蕎麦屋で年越しそばを食べたあと、DJに出かけました。 Agyness Deyn 大晦日のDJ先発メンバーは――12・31 (Mon)Le Baron COUNTDOWN PartyGuest Selectors: Hiroaki Masuda(CAUSE)Yasumasa Yonehara, Agyne...
第12回 アニメーション作家・佐藤雅晴

第12回 アニメーション作家・佐藤雅晴

第12回 アニメーション作家・佐藤雅晴ドイツを拠点にアニメーションを制作している佐藤雅晴くんを紹介します。文=増田啓晃佐藤くんとは数年前、仕事で立ち寄ったドイツのデュッセルドルフで知り合って以来、僕が手がける「CAUSE」の展示会のDMなどの依頼を通してのつきあいです。ちょうどそのとき、彼が自主制作短編アニメーションの作業にとりかかっていて、その一部を観せてもらい、従来のアニメーションとはちょっと違う異質な印象をうけたことを憶えています。しかも独学で個人制作と聞いたので、丁寧に描かれた画を一枚一枚制作することを考えたら、膨大な作業量になるだろうなと思いました。そして、今年に入って佐藤くんの帰国時に完成した作品を観ることができたのですが、気がついたら彼と出会ってから、3年の月日が経っていました。アニメーションをつくる佐藤くんはもともと東京芸大でインスタレーション作品を中心に制作していたのですが、渡独後、デュッセルドルフアカデミーというドイツの芸術大学に通うころから、アニメーション制作...
『SNEAKER FREAKER』というスニーカー専門誌

『SNEAKER FREAKER』というスニーカー専門誌

第13回 『SNEAKER FREAKER』というスニーカー専門誌『SNEAKER FREAKER』は、2003年にオーストラリアで創刊されたスニーカーマガジンです。編集者であり創立者であるSIMON WOODY WOODが世界各国のスニーカーカルチャーやトレンド商品、有力ショップなどを独特の観点で掲載しています。現在では世界30ヵ国以上で発売している専門誌です。文=増田啓晃快適で、機能的で、生活の一部となったスニーカーその『SNEAKER FREAKER』(http://www.sneakerfreaker.com/)から先日インタビュー取材を受けました。とにかく世界中のスニーカーが凝縮されていて、かなり見ごたえがあります。CAUSEは「ISSUE13」に掲載されています。興味がある方はタワーレコードなどで購入できるので、ぜひ読んでみてください。 CAUSE 2008-09秋冬コレクションより 僕自身もすでにスニーカーは生活の一部になっています。なくてはならないシューズの...
第7回目は「CAUSE」のモノづくり

第7回目は「CAUSE」のモノづくり

第7回目は 「CAUSE」 のモノづくり「CAUSE」の春夏コレクションが店頭に並んだと思ったら、秋冬コレクションの展示会が始まりました。今回もいつも通り、代官山のスペースで3日間行いました。ご来場いただいたみなさんありがとうございました。生活のなかでのデザインと機能性「CAUSE秋冬コレクション最速レポート」最近は、年2回のコレクションに特別なテーマは設定しませんが、ブランドとして大切にしているのは機能性やディテールの追求とクオリティだと思っています。まずデザイン面では 「履きやすいこと」 を第一に考えていて、機能的なモノづくりに徹底しています。ブーツなら後ろにジッパーをつけて履きやすさを提案していたり、素足にやさしいソフトレザーを使ったりして、服との相性やバランスなども大切に考えています。「CAUSE」 秋冬コレクションより。良質なスエードとパンチングレザーのコンビネーションを採用。CAUSEオリジナルソールは軽量で、日本人の木型に合ったワークブーツ。日本製たとえば、家電製品や...
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