OPENERS CAR Selection 2012|島下泰久篇
OPENERS CAR読者におくる2012年の5台
OPENERS CAR Selection 2012 島下泰久篇
OPENERS CAR編集部は、2012年、OPENERS CARを支えた執筆者6人に、2012年を振り返ってもらうと同時に、OPENERS読者に注目してもらいたい5台を選んでもらった。島下泰久氏は、クルマをもっと楽しむこの5台!
Text by SHIMASHITA Yasuhisa
もっともっと“いいクルマ”に乗って、楽しんでほしい
2012年は日本車の当たり年になるのでは。1年前にはそんなふうに期待していました。実際、トヨタ「86」&スバル「BRZ」、マツダ「CX-5」、レクサス「GS」など、年の前半にはおっとおもわせるモデルがいくつも登場したのですが、後半には勢い、削がれてしまったなという気がします。
かわりに目をひいたのは、やはり輸入車でした。2012年のニューカマー達は、どれも高い実力をもち、本当に魅力的なものばかり。選んだ5台のうち、4台を輸入車としたのですが、ほかにもBMW「3シリーズ」、マクラーレン「MP4-12C」、メルセデス・ベンツ「SL」、ポルシェ「ボクスター」、ベントレー「コンチネンタルGT V8」等々、強い印象を残したクルマは沢山ありました。また、日本導入が2013年になるモデルとしては、新型フォルクスワーゲン「ゴルフ」、そして新型「レンジローバー」も忘れるわけにはいきません。
日本人の私としては、もちろん日本車を応援したいという気持ち、強いんですが、振り返ると、逆にその技術、志、あるいはデザインセンスやプレゼン能力のギャップの大きさを、あらためておもい知ることになりました。もちろんユーザー目線で見れば、いいクルマの選択肢が拡大したことは本当に喜ばしいことなんですが……
世間では、若者のクルマへの興味が無くなっていると伝えられています。実際、間違いなくそうでしょう。けれどおもうに、彼らをいきなり引き込むのは無理。それよりも我々クルマ好き世代がもっとクルマ選びを楽しみ、クルマのある生活を満喫すること。それこそが彼らに「クルマって、楽しいのかも?」という気付きをもたらすことになるんじゃないでしょうか。
堅苦しくなってしまいましたが、とにかくファッションにライフスタイルに誰より感度の良いアンテナを立てているOPENERS読者諸氏にこそ、2013年はもっともっと“いいクルマ”に乗って、楽しんでほしい。心からそう願っているのです。
島下泰久氏がOPENERS読者にオススメする2012年の5選
理屈はさておき、とにかくカッコ良い。それだけでイヴォークというクルマには、十分な価値があるとは言えないでしょうか。単にレンジローバーの小型版とするのではなく、伝統のモチーフをサイズに見合った軽快感や今の時代のエッセンスと溶け合わせたデザインは、現代のクルマがつくり得たひとつの芸術だな、とおもいます。カッコだけじゃなく、ふとした時、ちゃんとレンジローバーの血筋を感じさせる乗り味のつくり方もお見事。2012年を象徴する1台として、外すことのできない存在です。
2012年、一気に6モデルものディーゼルエンジン搭載車を日本市場に投入したBMW。その中でも一番気に入ったのがコレです。おなじエンジンを積む「3シリーズ」や「X3」で気になった振動や騒音がほとんど気にならず、トルクフルな旨味だけを味わえるのがポイント。しかも乗り心地が実にゆったりしてて、極上の快適性を味わえます。こんなクルマが1台ガレージにあったら、しょっちゅう長距離のクルマ旅に出てしまいそう。走り屋BMWの別の一面、味わえますよ。