M Performanceによるスーパー1 BMW M135iに試乗|BMW
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2014年12月10日

M Performanceによるスーパー1 BMW M135iに試乗|BMW

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

M Performanceによるスーパー1

BMW M135iに試乗

高い日常性能とスポーツ性能の両立を謳うBMW M社のあらたなライン「M Performance」。今年の立ち上げと同時に「M550d xDrive」、「X5 M50d」、「X6 M50d」と、一挙に4車種を発表した。モデル名の「d」からも明らかなように、いずれもディーゼルエンジンモデルだが、そのエンジンは2つの小型チャージャーと1つの大型チャージャーで3リッター直列6気筒を過給するというもの。大トルクと好燃費が注目をあつめた。そのM Performanceから登場した初のガソリンエンジンモデル「M135i」は、ハッチバックの2代目1シリーズに320馬力を誇るBMW伝統の直列6気筒をおさめたハイパフォーマンスバージョン。日本市場への導入もはやく、8月1日には受注開始、デリバリーは10月からと予定されている(8月1日追記)。はたして、このM135i、その出来栄えやいかに? 島下泰久氏が試乗した。

Text by SHIMASHITA Yasuhisa

走りの話はあとだ

BMW M社が今年立ち上げた「M Performance」は、BMWのレギュラーモデルとMモデルのあいだを埋める存在と位置づけられている。メインターゲットは、Mモデルほどの、それこそサーキットまで意識したような性能は要らないけれど、ノーマルあるいはMスポーツでは物足りないという人である。

BMW M550d xDrive|ビー・エム・ダブリュー M550d xDrive

BMW M550d xDrive|ビー・エム・ダブリュー M550d xDrive

BMW 1 Series M Coupe|ビー・エム・ダブリュー 1シリーズ Mクーペ

BMW 1 Series M Coupe|ビー・エム・ダブリュー 1シリーズ Mクーペ

新登場の「BMW M135i」の狙いも、より手軽にスポーツパフォーマンスを味わえるモデルたることだ。実は日本には未導入ながら、従来の1シリーズには生粋のMモデル、「1シリーズMクーペ」が用意されていた。M135iは、より手に入れやすく、また日常の使い勝手にも留意したモデルとして設定されることになる。

こういう成り立ちなので、まずは詳しく、ベース車とのちがいについて記しておくことにしよう。走りの話は、そのあとだ。

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

M Performanceによるスーパー1

BMW M135iに試乗(2)

いったいなにがちがうんだ

ベースは当然、新型の1シリーズ。そして、そのエンジンベイに収まるのは、現ラインナップでは「535i」などに積まれている、N55という形式名をもつ直列6気筒3リッター直噴ターボエンジンである。しかも、そのまま移植されているわけではない。ターボチャージャーのブースト圧を約0.1~0.15bar高め、それにともないECU(エンジンコントロールユニット エンジン制御コンピューター)の変更、冷却系の強化、さらには贅沢にも鍛造スチール製クランクシャフトの採用といったメニューを施すことで、最高出力を14ps増の320psに、最大トルクを50Nm増の450Nmに、それぞれ増強しているのだ。

トランスミッションは驚きの新開発、ドライサンプ式オイル循環システムを備えた6段MTのほかに、8段スポーツATを選ぶことができる。いや、それどころか0-100km/h加速はMTが5.1秒、ATが4.9秒、CO2排出量はMTが188g/km、ATが175g/kmと、パフォーマンスで比較しても今やATが有利なのである。

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

大幅なパワーアップを受け止めるシャシーは、BMW M社の流儀でランフラットタイヤは使わず、専用開発のミシュラン パイロットスーパースポーツに履き替えている。それに合わせてサスペンションは10mmローダウンされ、ブッシュ類ともどもリセッティング。舵角を増すにつれてギア比を速めるバリアブルスポーツステアリングも標準装備とされている。

駆動するのは当然、後輪……と言いたいところだが、フルタイム4WDのxDriveも選択できる。この辺りにもMモデルとの狙いのちがいが表れていると言えるかもしれない。

当然、ブレーキ強化にも抜かりはない。ダークブルーメタリックで塗られ、Mのロゴが入れられたフロント4ポット/リア4ポットのフィックスドキャリパーが、大径化されたローターに組み合わされている。

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

M Performanceによるスーパー1

BMW M135iに試乗(3)

外見はMスポーツ似 内装はブルーのアクセント

外装は控えめと言っていい。エアロパーツはほぼMスポーツと同様。ちがいといえば、フロントバンパー左右の開口部からフォグランプが省かれ、代わりにフィンが渡されていることぐらい。このフィンとドアミラーはアクセントとして“フェリック・グレー”で塗られている。ホイールはM Performance専用ダブルスポークデザインの18インチ。そして後方に回れば、ハッチゲートには“M135i”のバッヂが輝き、左右2本出しのテールパイプが静かに主張しているという具合だ。

ドアを開けると、サイドシルに“M135i”の文字が刻まれたアルミ製のフィニッシャーが装備されている。室内はルーフまでブラックで統一。ステアリングホイールは太いリムをもつ専用品とされ、すっぽりと身体を包むスポーツシートにはアルカンタラと、滑りを防ぐハニカム状の網目が入ったファブリックが張られている。

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

そしてワンポイントとして使われているのが、ここでもブルー。レザー部分やシートなどに入れられたステッチ、アルミトリムの縁などに、艶消しのエストリルブルーがあしらわれている。さらにこのブルー、リモコンキーにも挿し色として使われているのだ。

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

M Performanceによるスーパー1

BMW M135iに試乗(4)

いよいよ発進だ!

BMWのお膝元、ミュンヘンにておこなわれた今回の試乗。用意されていた車両はすべてブルーのボディカラーをまとった5ドアの8速スポーツAT仕様で、これにオプションとして、電子制御式ダンパーを使ったアダプティブサスペンションが装着されていた。

スタートボタンを押してエンジンを始動すると、メーターパネル中央のディスプレイにM Performanceの文字が浮かび上がる。ガングリップタイプのセレクターレバーをDレンジに入れて、いよいよ発進だ。

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

「120i」では、最高出力170psの1.6リッターターボエンジンを積む1シリーズに、320psの3リッターターボを積むのだから、出足からして鋭さは段違いだ。アクセルを軽く踏み込むだけで分厚いトルクが涌き上がり、クルマが弾けるように前に出る。といっても過敏なわけではない。力はあるが、レスポンスはあくまで右足の動きにリニア。ミリ単位のアクセル操作にも応えてくれる、なんて言いたくなる繊細な操作感は、過給エンジンであることを忘れるほどである。

これだけ余裕があるので、普段は燃費重視の「ECO-PRO」モード固定でも痛痒を覚えることはない。とはいえ、たとえば「SPORT」モードで一度気持ち良さを味わってしまうと、なかなか切り換える気にはならないのだけれど。

意外だったのは乗り心地の良さだ。特に「COMFORT」モードは、スポーツモデルにしては……なんて注釈不要のしなやかさ。アダプティブサスペンションの効果はもちろん大きいだろうし、タイヤがランフラットじゃないこともプラスに作用しているにちがいない。

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

M Performanceによるスーパー1

BMW M135iに試乗(5)

アウトバーンへ繰り出す

街中では扱いやすさと快適さが光った「M135i」だが、アウトバーンへの合流路に入ったところでおもむろにシフトダウンし、アクセルペダルを床まで踏みつけると、いよいよ本領を発揮しはじめた。分厚いトルクによって背中がシートバックに押し付けられたかとおもうと、回転計の針が弾けるように盤面の右半部に達し、6,500rpmからのゼブラゾーンをあっという間に飛び越え、7,000rpm超まで一気に到達してしまうのだ。

特に1速や2速では、瞬時に吹け切ってしまって、味わいなんて観察してはいられない。しかもシフトアップした後も、クロスしたギア比のおかげで息をつく間もなく、すぐさま加速がはじまるという具合で、これがもうホントに痛快。本線ではメーター読み240km/h以上を確認したが、この速度域でもまったく加速の勢いが衰えないのだから圧巻である。

冷静に考えれば、N55ユニットといえば、今までは、高回転域では音と振動がラフになって、BMWのストレート6らしくないなと感じることが多かったのだが、M135iではそんな印象は皆無だ。

サウンドは全域心地良く、回せば回すほど活気づく感覚を味わえる。鍛造クランクシャフトの採用など細かなリファインが効果を発揮しているのだろう。このフィーリングの変化は、プラス14psという数字以上の価値がある。これでこそ、Mのバッヂを戴くに相応しい。

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

高速域でも姿勢はぴたっとフラット。それでいて当たりはしなやかなシャシーだが、コーナリングのキレ味も悪くない。特に操舵レスポンスの鋭さは、FFハッチバックとはやはり別物だ。ただし、わりあい姿勢変化を許すほうだから、調子に乗ってラフな操作をすると一気に接地性が乱れることもある。LSDが備わらないこともあり、コーナー立ち上がりもドンと踏んだところで路面を掻きむしるだけ。丁寧な運転が必須である。

そう、ステアリングやシート、ペダル等々から伝わる豊富なインフォメーションに耳を傾け、クルマを正確にコントロールすれば、素晴らしく速いコーナリングと豪快な加速を満喫できる。Mモデルにも通じる走りの奥深い歓びが、そこにはしっかりと宿っているのだ。

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i

Mスポーツより間違いなく刺激的で、それでいて普段使いに於いても使い勝手や快適性をなにも犠牲にしていない。M135iは、まさしくそうしたM Performanceの狙い通りの1台に仕上がっていた。こういうのを待っていたという人、少なくないのではないだろうか。

日本での発表は、もう間もなく。5ドアのAT仕様も上陸するはずである。気になるのは価格だが、本国では3ドアのATで税込み4万2170ユーロ(約398万円)と、かなりおもいきった設定とされている。日本におけるM Performance第1弾になるモデルである。その精神を体現するような値付けを、ぜひ望みたいところだ。

(8月1日、日本では5ドア、8段スポーツオートマチックトランスミッションモデルが549万円で販売されることが決定した。)

spec

BMW M135i|ビー・エム・ダブリュー M135i
ボディサイズ|全長4,340×全幅1,765×全高1,411mm
ホイールベース|2,690mm
トレッド幅 前/後|1,512mm/1,532mm
最低地上高|130mm
車両重量|(MT)1,425kg (AT)1,440kg (5ドアMT)1,430kg (5ドアAT)1,445kg
エンジン|2,979cc直列6気筒ツインスクロールターボ
最高出力|235kW(320ps)/5,800rpm
最大トルク|450Nm/1,250-5,000rpm
0-100km/h加速|(MT)5.1秒 (AT)4.9秒
最高速度|250km/h
タイヤ 前/後|225/40 R18 88Y / 245/35 R18 88Y
トランスミッション|6段MT / 8段AT
荷室容量|360リットル(後部シートを倒した場合1,200リットル)
燃費|(MT)8.0ℓ/100km (AT)7.5ℓ/100km(EUテストサイクル値)
CO2排出量|(MT)188g/km (AT)175g/km

           
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