話題の「マリーナ・ベイ・サンズ」にチェックイン! 知的好奇心を刺激する、躍動のシンガポールへ
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2015年1月17日

話題の「マリーナ・ベイ・サンズ」にチェックイン! 知的好奇心を刺激する、躍動のシンガポールへ

話題の「マリーナ・ベイ・サンズ」にチェックイン!

知的好奇心を刺激する、躍動のシンガポールへ

24時間楽しみ尽くす、大人のためのグラマラス・シティリゾート!

日本では某通信会社のコマーシャルをきっかけに広く知られることとなったであろう「マリーナ・ベイ・サンズ」。アイドルグループのメンバーが携帯電話を片手に、高層ビルの夜景が眼下に迫る幻想的なプールサイドを闊歩する、という内容だったが、おそらく誰もがその背景をCGだと思ったのではないか。しかし、あのプールはここ「マリーナ・ベイ・サンズ」の屋上に実在する。

シンガポール・リバー河口に広がるマリーナ・ベイ。おなじみのマーライオンや大観覧車、ランドマークの数々が囲む大きな貯水池は、広い空と涼しげな水面のきらめきが都会のオアシスとして人びとから愛される観光スポットのひとつだ。このマリーナベイ沿いにそびえ立つ高さ200メートル、57階建ての3棟のタワーからなる「マリーナ・ベイ・サンズ」。客室施設は、レディー・ガガも宿泊したスイートルームをはじめ、高級感のあるモダンでクリーンな客室の数は2500室以上を誇る。

マリーナ・ベイ・サンズ
10 Bayfront Avenue, Singapore 018956
Tel. +65-6688-8868
http://jp.marinabaysands.com/

豪華なアコモデーション、東南アジア最大のボールルームなど、さまざまなアトラクションを擁するシンガポール最大の複合商業施設として、2010年4月にオープン。世界一流のエンターテイメントとラグジュアリーな時間を提供する。

街の中心にあるマリーナ・ベイ © Timothy Hursley

その3棟のタワーを結ぶように屋上に鎮座するのがスカイパーク──あの夢のような全長150メートルのプールや、展望デッキやレストラン、クラブ・ラウンジを備える空中庭園だ。地上200メートルから臨むシンガポール中心街とベイエリアの360度の眺望こそ、コマーシャルで観たCGのような夜景の正体である。

スカイパーク以外にも、総面積12万平方メートル以上のエキスポ&コンベンションセンターや、カジノ、レストラン、ショッピングモール、ミュージアム、劇場、クラブなど、さまざまな施設を擁する、他に類を見ない巨大スケールを誇る複合商業施設──世界が注目する「マリーナ・ベイ・サンズ」の全容である。現在ボタニカルガーデンも建設中とあり、国の豊かな成長を象徴するランドマークは今後ますます賑わいをみせることだろう。


「マリーナ・ベイ・サンズ」の名物である150mプール


マリーナ・ベイの夜景

この圧倒的な建築を手がけたのは、世界的建築家 モシェ・サフディ氏。これまでにも世界各地にさまざまな大型建築を残し、カナダ王立建築家協会ゴールド・メダル(1995年)やカナダ国民栄誉賞(2005年)など多数の受賞歴をもつ、イスラエルを代表する巨匠だ。

ブランド初となる水上ブティックとして話題となった「ルイ・ヴィトン アイランド メゾン」の建築も彼の手によるもの。全面ガラス張りのユニークなシルエットが印象的なブティックは全3階建ての広々としたスペースを誇り、充実のアイテムラインナップはもちろん、1階ではアート作品の展示やブランドがセレクトするアート関連の書籍を販売。あらゆる側面からブランドの世界観に触れることができる。


Louis Vuitton Island Maison
マリーナ・ベイ・サンズ内クリスタルパビリオン北 B1-38、B2-36
Tel. +65-6788-3888
www.louisvuitton.com

コンセプトはずばり“海”。ピーター・マリノ、モシェ・サフディによって船旅の美学が取り入れられた、海に浮かぶ壮麗な建物は全3階。ファッションアイテムをはじめ、さまざまなタイプのラゲージが揃う。1階ではブランドがセレクトしたアートブックの販売、アート作品の展示がおこなわれる。

ルイ・ヴィトンのほかにも、自慢のショッピングモール「マリーナ・ベイ・サンズ・ショップス」にはシャネル、プラダ、イヴ・サンローランをはじめとするハイエンドなファッションブランドはもちろん、ピアジェ、ショパールなどの高級ジュエラーやウォッチブランドも出店。人気のラグジュアリーブランドはひと通り網羅しているといえるだろう。

充実のショッピング施設だけでなく、本格的なラスベガス・スタイルのカジノも大きな話題だ。広さ1万5千平方メートル、全4階建の巨大施設には600台以上のテーブルゲームをはじめ、スロットマシン、電子テーブルゲームなど、計13種類のゲーム、2500台のゲーム機を用意。活気溢れる場内に足を踏み入れたら最後、時を忘れてゲームに夢中になってしまいそうなところだが、「マリーナ・ベイ・サンズ」にはほかにも訪れるべき注目スポットが目白押し。とくに華やかなナイトライフを演出するゴージャスなレストランやバーは必見である。

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知的好奇心を刺激する、躍動のシンガポールへ(2) 食&遊び編

絶品料理にアルコール、ゴージャスな夜景の大パノラマ、これぞ大人の夜遊び!

ショッピングや本格的なラスベガス・スタイルのカジノでプレイを楽しんだあとは、有名シェフの手がけるレストランへ。ミシュラン三ツ星シェフによる本格フレンチ「Guy Savoy」や、1日8組限定という個室スタイルの鉄板和食「Waku Ghin」など、バラエティ豊かなラグジュアリーレストランは全6店。


Guy Savoy
マリーナ・ベイ・サンズ内カジノレベル2
Tel. +65-6688-8513
www.guysavoy.com

オーナーシェフ ガイ・サボイ氏は、2000年にフランス農業大臣より、09年にはフランス大統領よりレジオンドヌール勲章を贈られた経歴をもつ、フランスでもっとも有名なシェフのひとり。パリにある彼のレストランは、ミシュラン三ツ星を獲得し、世界でもっともすばらしい高級料理レストランのひとつとされている。

なかでもこの「Waku Ghin」は、この店目当てに海外からわざわざ訪れる客もいるほど。そのシステムは非常にユニーク。1日8組限定と数を限った営業形式には、ひと組ひと組の客に最高のおもてなしを、という想いが込められている。店内には4つの個室があり、それぞれの部屋の中央には長い鉄板とカウンターが用意され、シェフはお客さんの目の前で調理をおこなうというのが「Waku Ghin」スタイルだ。

Waku Ghin
マリーナ・ベイ・サンズ内カジノレベル2
Tel. +65-6688-8507

世界各国の料理評論家やシェフが投票する、サンペリグリノの「World’s 50 Best Restaurants」に選ばれつづける、シドニーの「Tetsuya’s」シェフ 和久田哲也氏。オーストラリアのもっとも優秀なシェフと称えられる彼は、日本国外の初代日本酒大使でもある。「Waku Ghin」では新鮮な素材の味を活かした美食だけでなく、厳選された最高の日本酒をはじめ、希少なワインも名物となっている。

メニューはその日のお薦め新鮮魚介を使ったコースのみ。お客さんの目の前で会話を楽しみながら調理をおこなうため、細かなオーダーにもその場で対応することができ、よりパーソナルなアレンジが可能になるのだ。また、「Waku Ghin」はワイン、日本酒のラインナップがじつに豊富。日本でもお目にかかれないような日本酒にも出合えるという。さらに、世界のバーテンダーコンテストで優勝の経験をもつ日本人バーテンダーによるバーも併設。料理もお酒もゆったり自分のペースで心ゆくまで愉しみたい大人のディナーにぴったりの店である。

ディナーを堪能したら、夜遊びの時間。ルイ・ヴィトンのブティック同様、海に浮かぶように建つハリウッドから上陸した世界的クラブ「アヴァロン」。海の真ん中で夜毎繰り広げられるホットなパーティは開放感抜群! ダンスホールも広く、ハメを外して朝まで踊り明かす、というのもリゾートの醍醐味?


Avalon
マリーナ・ベイ・サンズ内クリスタルパビリオン南L1
Tel. +65-6688-7448
www.avalon.sg

ハリウッド・セレブ御用達クラブの先駆けであるアヴァロン。マリーナベイの海とスカイラインを一望する巨大フロアでは、大型サウンドシステム、一度見たら忘れられないオーディオビジュアルショーなど、大がかりな演出を展開。一流ナイトクラブの醍醐味を体験できるだろう。

おなじく開放感抜群のロケーションといえば、地上200メートルに浮かぶスカイパークにあるクラブ・ラウンジ「クデタ」だ。ライトアップされた夜のプールを横目に、眼下に広がる夜景を眺めつつ、心地よい音楽のなかでお酒を愉しむ──まさに大人の夜遊びにふさわしい、グラマラスな夜を演出するラグジュアリーな空間は、ニューヨークタイム紙が世界のホットスポットトップ10に選ぶのも頷ける。

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知的好奇心を刺激する、躍動のシンガポールへ(3) 街中編

あらゆるカルチャーをパワフルにミックスした、独自文化の誕生前夜

さまざまなエンターテイメント施設だけでなく、ラグジュアリーなスパやジムも備える「マリーナ・ベイ・サンズ」は、滞在中ずっとこもっていても飽きることはない。しかし、知的好奇心旺盛な大人たちが体験したいのは、リアルなシンガポール。巨大ホテルを巡ったあとは、シンガポールのカルチャーを肌で感じる街中へ出かけることにしよう。

もともと国土面積が小さいだけに、中心地に建つホテルからは街の主要エリアにタクシーで5分から15分でアクセスできてしまう。めざましい経済発展を遂げる建国まもないこの若い国は、マレー系、中国系をはじめ、インド人やアラブ人、西欧人など、イギリス植民地時代に移住してきた人々も多く、多民族国家として知られる。当然、あらゆる国の言葉が飛び交うわけだが、イギリス領地であったこともあり、公用語はご存知の通り英語。昼時を過ぎれば洋菓子とアジアンフルーツがテーブルに並び、アフタヌーンティーを愉しむ姿も珍しくない。

スルタン・モスク

印象的なのは街の景観だ。近代的な高層ビル群を見上げる街中には大樹が瑞々しく枝葉を広げ、色鮮やかな花々が彩りを添える。スコールのあと、立ちこめる緑の香りのなかを少し歩けば、リトル・インディア、チャイナタウン、アラブ・ストリートなど、独自の文化が根付いた独特の街並みに出合う。油断すればビルをも覆い尽くしてしまうのではないかと思われるほど生命力に溢れた自然のダイナミズム、街中に突如あらわれるイスラム教寺院 サルタン・モスク──近代的な高層ビルとのコントラストに圧倒される。

街の中心地

さらに高層ビルを仰ぎ見る目線を少し下げれば、ヨーロッパテイストの歴史的な建築の数々。日本では村上 龍氏の小説『ラッフルズホテル』の舞台として有名な歴史あるホテル「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」のクラシカルな佇まいには、来る者を少しばかり緊張させる威厳を感じさせる。

"ラッフルズ・ホテル・シンガポール"

Raffles Hotel
1 Beach Road, Singapore 189673
Tel. +65-6337-1886
www.raffles.com/home/

その名をトーマス・ラッフルズに由来する「ラッフルズ・ホテル」は、イギリス植民地時代にオープンした歴史ある最高級ホテルであり、建物は歴史的建造物にも指定される。カクテルの「シンガポールスリング」だけでなく、じつは紅茶も人気。ティールームで愉しむ優雅なハイティーにはぜひ足を運びたい。

村上 龍をはじめ、イギリスの作家 サマセット・モームやジョゼフ・コンラッドなど、多くの文豪たちが愛したホテルとして世界で知られる「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」では、ぜひともバーに立寄り、カクテル「シンガポール・スリング」をオーダーしたい。その名の通り、シンガポール発祥のこのカクテルは、ラッフルズ・ホテルのバーテンダーが最初に作ったのがはじまりと言われ、いまでは国中のどんなバーにも置いてある、シンガポールの定番カクテルだ。ラッフルズ・ホテルの味を基準に、訪れるバーで飲み比べを愉しむのもいいだろう。

デンプシーヒルに並ぶリノベーション建築

こうした歴史を守り継ぐ建築もあれば、モダンにリノベーションされ、セレクトショップやカフェ、アートスペースに生まれ変わった建築も多くみられる。なかでも中心街から少し離れた場所にある、緑に囲まれたデンプシーヒルというエリアは、リノベーション建築に店舗を構えるアートスペースや、カフェ、バー、レストラン、インテリアショップなどが集まる注目のスポット。活気溢れる中心街とはまたちがった、ゆったりとした時間の流れとともに、知的好奇心を刺激する豊かな時間を楽しめるだろう。

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知的好奇心を刺激する、躍動のシンガポールへ(4) アート事情編

アジアとヨーロッパのアートシーンをつなぐ中継地、シンガポール

50年あまりの短い歴史しかもたないこの若い国は、独自の文化の発展を目指し、現在国を挙げて文化事業を推進している。なかでも注目すべきはアートシーンの盛り上がりだろう。日本を代表するいくつかのギャラリーも今年、シンガポール進出を控えている。現代美術家 会田 誠氏をはじめ、国内外の著名作家の作品を取り扱う東京・新宿のギャラリー「ミヅマアートギャラリー」(http://mizuma-art.co.jp/)もそのひとつだ。この9月にシンガポール経済企画庁(EBD)が計画するギルマン•バラックスのギャラリー村にグランドオープンを控えている。

「アジアの中で平均所得額が一番のシンガポールでは、高所得者の方々が積極的に作品を購入し、作家育成に貢献しています。それは、税金が安いばかりでなくさまざまな税を軽減できる控除制度があるからです。たとえばコレクターがチャリティでアート作品を購入すると、購入金額の2.5倍の評価格で年収から税金が控除される、寄付金の税控除制度が存在します。著しい経済発展ももちろんですが、よく整備された税制がアートマーケットの強い支援になっているんだと思います」と、エグゼクティブディレクターである三潴末雄氏は、シンガポールのアート市場の成長理由について指摘する。

撮影:宮島 径 © Mizuma Art Gallery

Mizuma Art Gallery - ICHIGAYA TAMACHI
開館時間|11:00~19:00
休廊日|日曜、月曜、祝日
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
Tel. 03-3268-2500
http://mizuma-art.co.jp/index.html

飛躍的な経済成長をみれば、可能性のある市場であることは確か。しかし世界が注目する理由はそれだけではないと、三潴氏はつづける。「国際的なアートフェアや魅力的な展覧会を企画している現代美術館(SAM)の存在、アジアの現代作家によるアワードをはじめ、世界のアートファンをひきつける魅力的なプログラムが多く開催されるなど、いまやシンガポールは東南アジアのアートマーケットの中心地といえます」──「ミヅマアートギャラリー」がシンガポール進出を決めた理由は、ここにあるという。「今後はインドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンなど、東南アジアの作家に注目していきたい」と、三潴氏は語った。

アートステージ・シンガポール ©Art Stage Singapore Pte Ltd

氏が語るように、シンガポールでは近年、大小さまざまなアートイベントが開催されている。代表的なのは、「シンガポール ビエンナーレ」「アートステージ・シンガポール」だろう。小山登美夫ギャラリー、ワダ・ファインアーツなど、日本の有名ギャラリーふくめ、世界から100以上のギャラリーが出展するアートの見本市「アートステージ・シンガポール」。また、シンガポール人アーティスト/キュレーターのマシュー・ヌイ氏によるディレクションのもと第三回目の開催を迎えた「シンガポールビエンナーレ」では、日本をふくむ世界30カ国、63名のアーティストが参加し、シンガポール美術館、シンガポール国立博物館、旧カラン空港などにて作品が展示された。

じつはこの「シンガポール ビエンナーレ」、2006年の第一回、08年の第二回開催のアーティスティック・ディレクターを務めたのは、なんと森美術館館長である南篠史生氏。当時まだ未熟であったシンガポールアートシーンは日本人キュレーターの手によって世界への門戸を開き、あっというまにアジアのアートマーケットの中心地と言われるまで成長。わずか5年のあいだに、だ。アジアとヨーロッパの中間に位置するこの国が、世界のアートマーケットをつなぐハブ(中継地)としていかに注目され、勢いを増しているかがうかがえる。

シンガポール ビエンナーレ 2011
Interior view, The Merlion Hotel, 2011 by SB 2011 commissioned artist, Tatzu Nishi

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知的好奇心を刺激する、躍動のシンガポールへ(5) ギャラリー編

鑑賞するアートから、体感するアートへ

「アートステージ・シンガポール」「シンガポールビエンナーレ」をはじめ、注目のアートイベントには、もちろんマリーナ・ベイ・サンズも参加している。メインの展示会場として、また、ときにはその圧倒的な建築を活かしたインスタレーションでみずからが作品となり、イベントに参加することも。

ホテルタワー、ルイ・ヴィトンの水上ブティックと同様に、モシェ・サフディ氏が手がけた「ArtScienceミュージアム」──シンガポールの国花である蓮の花をモチーフにした、圧倒的な存在感をはなつ斬新なデザインは一見の価値あり。自然採光を取り入れた開放感溢れるギャラリーでは常設展示のほか、企画展も随時開催。シンガポール随一のギャラリーとして国内外からお客さんが訪れる。


アンディ・ウォーホル:15分の永遠
会期|2012年3月17日~8月12日
開館時間|10:00~22:00
チケット|大人 15.00ドル、シニア 14.00ドル、子ども 9.00ドル

伝説的ポップアーティスト、アンディ・ウォーホルによる絵画、ドローイング、映画、ビデオなど、全260点の作品が一堂に会する、これまでにない大規模展示を開催。2014年に日本でも開催を予定している。

現在開催されている「アンディ・ウォーホル:15分の永遠」は、シンガポールを皮切りに、中国、韓国、2014年には日本でも開催される巡回展だ。「キャンベルスープ」(1961年)、「マリリン・モンロー」(67年)などの有名な作品をはじめ、ピッツバーグにあるアンディ・ウォーホル美術館蔵の作品全260点を展示。

ポップアート時代前夜、彼がまだ無名のイラストレーターであった40年代から、晩年、80年代までの作品を「初期」「ファクトリー」「露出」「最後の晩餐」と、10年ごとに区切り、年代別に紹介。幼少期の描画や、商業アーティストとして手がけた初期のイラスト作品にはじまり、シルクスクリーン技法をもちいたおなじみの代表作の数々、フィルム作品、ポラロイドカメラで撮られたセレブリティたちのポートレイト、そして最晩年に制作された自画像までが時系列で展示される。


「キャンベルスープ」(1961年)


1950-60年代「ファクトリー」

© 2012 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York and Marina Bay Sands

おもしろいのはその展示方法だ。10年ごとに区切って紹介される作品とともに、その当時彼が残した語録や、写真、映像、関連文書などが展示されている。作品説明だけでなく、制作当時の彼の内面にも想いを寄せることで、作品の理解を深めようという試みである。「Be a star for 15 minutes(15分であなたも有名になれる)」──時代の寵児として愛され、多くの人々が彼のもとへ詰め寄せた時代の彼の口癖だ。15分というわずかな時間のなかで残した永遠の輝きをもつ作品の数々と、大量生産、大量消費の時代に生まれたコンプレックスだらけの少年が歩んだ、栄光の道の裏側に潜むストーリーは不思議なほどリンクし、彼の頭のなかへと観る者を引き込んでいく。


子どもの目線に合わせた位置に作品を展示

また、場内にはすべてをシルバーで塗りつくし、実際のファクトリーを再現したブースや、彼に撮影された多くのセレブリティのように、記念写真を撮影できるフォトマシンを設置。彼が手がけたおもちゃのパッケージを展示するコーナーでは、子どもの目線の高さに作品を設置したりと、随所に工夫が凝らされている。作家の内面に心を寄せ、身体を動かすことでアートを体感するという演出は独自の文化といえるかもしれない。アートに限らず、シンガポールという国自体の楽しみ方についてもまた、おなじことが言える。

© 2012 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York and Marina Bay Sands

あらゆる文化がミックスしながら、飛ぶ鳥を落とす勢いで発展をつづける躍動感は、見聞きするだけではとても伝わりきらない。実際に見て、触れて、心を震わせて体感することではじめて、この国の漲るパワーを感じることができるだろう。急成長の過程にあるいまだからこそ湧き上がる熱気を、ぜひ体感してもらいたい。

           
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