kizunaworld.org|坂本龍一と画家ポール・デイヴィスのコラボレーション映像作品「a very serious group of drawings」
kizunaworld.org #19
ロンドンを拠点に活動する画家 ポール・デイヴィスと、坂本龍一のコラボ映像
坂本龍一氏らによってスタートし、国内外のさまざまなアーティスト作品を通じて寄付を募る東日本大震災被災地支援プロジェクト、「kizunaworld.org(キズナワールド・ドット・オルグ)」。4月11日に発表された「a very serious group of drawings」は、ロンドンを拠点に活動している画家ポール・デイヴィス氏が描いた絵に坂本龍一氏が楽曲を書き下ろした、コラボレーション作品である。
Text by KASE Tomoshige(OPENERS)
素朴だが力強いドローイング
坂本龍一氏と平野友康氏が発起人となり立ち上がった「kizunaworld.org」。「個人の力でできるかぎりのことをする」というコンセプトのもと、国内・海外からプロジェクトに賛同するアーティストの作品を広く集めて提供、寄付を募っている。その活動は1年を超え、2年目以降も個人の想いを繋げながら、継続的な支援をつづけている。
19番目の作品は、「a very serious group of drawings」という映像作品だ。ロンドンを拠点に活動する画家、ポール・デイヴィス氏が描いた絵に、坂本龍一氏が曲を書いたもの。素朴だが力強い線のイラストレーションと、静かだが決意を感じさせる音楽がみごとにマッチしている。この作品について、ポール・デイヴィス氏は次のようにコメントを寄せた。
「日本が経験したとても痛ましい地震と津波について、リューイチと短い会話を交わした後に制作したものです。薄っぺらでなく、できるだけポジティブなものにしたいと思いました。とても難しいことですが……。リューイチが画像を編集し、心に残る美しい音楽を書いてくれました。骨の髄まで感激しました。この作品は人々を泣かせますが、それは不思議とポジティブなものです──」
作品は、1口1000円~20口2万円の任意の寄付をPayPalで決済し、ダウンロードする仕組み。集まった寄付金の全額(決済手数料を除く)が、被災地で「いま必要な支援」として「医療」「こども」「食料」「住宅」「エネルギー」の分野を代表する5つの団体に対して均等に配分され、四半期ごとに寄付をおこなっている。
第5期を迎えた2012年4月から、「食料」の寄付先が、震災直後から宮城県石巻市を中心に支援活動を行なっているボランティア団体「OPEN JAPAN」が主宰する「サンライズ元気村プロジェクト」に変更された。
この支援団体は、不慣れな仮設住宅で暮らす高齢者の方々へ、毎月米と全国の支援者からのメッセージを届ける活動をおこなっている。現地に直接訪問して米を届けることで、ひとりひとりが抱える不安や問題をできる限り軽減し、阪神大震災で問題となった高齢者の孤独死の防止や、健康状態の向上を目的としている。
〈寄付先〉
「国際NGO 世界の医療団」|岩手県大槌町でこころのケアを中心とした医療活動、医薬品の調達
「こどもの音楽再生基金」|教育機関での楽器修復や提供・音楽活動支援
「サンライズ元気村プロジェクト」|仮設住宅で生活する高齢者に米を届ける支援
「ボランタリー建築家機構 坂茂/東日本大地震津波支援プロジェクト」|避難所用簡易間仕切りシステム設置による支援
「環境エネルギー政策研究所 つながり・ぬくもりプロジェクト」|太陽光・太陽熱・バイオマスなどによる被災地支援
ポール・デイヴィス|Paul Davis
ロンドンで芸術活動に従事する。世界各国で展覧会、レクチャーをおこない、数多くのクライアントと協働。
www.copyrightdavis.com/