PORSCHE|ポルシェ ジュネーブでの現地レポート!
PORSCHE|ポルシェ
パナメーラ S ハイブリッドのプレミアをレポート!
世界5大モーターショーのひとつとして、毎年にぎわいを見せているスイス・ジュネーブモーターショー。本年は、まさに豊作と言えるほど、世界各国のカーブランドから充実したラインナップが披露された。当然、例にもれず、ポルシェもそのひとつ。市販モデル2台目となるハイブリッドモデルのワールドプレミアをはじめ、展示された自動車たちには、凄まじいエネルギーに満ち溢れていた。
文=島下泰久
異例の早朝に開催されたプレスカンファレンス
ジュネーブモーターショーは今回が81回目の開催となる。スイスにはメジャーな自動車メーカーは存在しない。しかしヨーロッパにおいては1年で最初のメジャーショーであり、またメジャーなメーカーが存在しないかわりに、どの国のメーカーもひとしく力を注いでいることから、世界5大モーターショーに名を連ねる、つねに活況を呈するショーとなっている。
もちろんポルシェにとっても、ジュネーブモーターショーは大事なイベントのひとつだ。小国ではあるが、所得レベルの高いスイスは高級車にとって重要なマーケット。それゆえに、ポルシェには熱い視線が注がれているからである。
今回のショーにもポルシェは、いくつもの見所を用意していた。それがお披露目されるプレスカンファレンスがおこなわれたのはプレスデー初日のなんと朝7時半。しかしブースは数多くのプレス関係者で埋め尽くされていた。この季節である。取材陣のほとんどが、まだ暗いうちに宿を出発して会場へと集まったわけだ。
ポルシェ史上、もっとも燃費が高いハイブリッドのプレミア
事前情報としてポルシェからは、すでに「パラレル方式のフルハイブリッド搭載モデルがワールドプレミア」をおこなうとのアナウンスがなされていた。しかし、壇上に最初に現れたのはハイブリッドはハイブリッドでも、予想していたのとはまったくことなるモデルだった。ポルシェの創始者であるフェルディナント・ポルシェ氏が1900年のパリ万国博覧会にて披露した世界初のハイブリッド車、ポルシェ「Semper Vivus」が自走で登場したのである。これは前輪にインホイールモーターを積み、発電用エンジンをもつシリーズハイブリッド車で、のちに「ローナー ポルシェ」の名で生産された革新的な1台。
さすがに当時の車両が現存していたわけではなく、ポルシェ社内で最近、復刻されたものだ。場があたたまってきたところで、いよいよ今回ワールドプレミアとなるパナメーラ S ハイブリッドが登場した。
一昨年の4月、発表されたときからハイブリッドの設定が公式に謳われていたパナメーラ。ハイブリッドパワートレインはすでにカイエン S ハイブリッドに搭載されているものと共通で、最高出力333psを発生するスーパーチャージャーつき3.0リッターV型6気筒エンジンと、8速ティプトロニックSのあいだに、同47psの電気モーターを挟み込むことで最高出力380psを発生。100km/h加速は6.0秒で駆け抜ける。その一方、走行条件におうじて2kmまでの距離なら最高速度85km/hまでをモーターのみで走行でき、アイドリング時のエンジン自動停止・再発進、さらには巡航中にカイエン S ハイブリッドの156km/hを凌ぐ165km/hまでの速度でエンジン停止をおこなうコースティング機能などを組み合わせることで、燃費7.1ℓ/100km(約14.1km/ℓ)、CO2排出量は167g/kmを達成している。また、オプションで用意される専用開発の転がり抵抗低減型オールシーズンタイヤを組み合わせた場合には、それぞれ6.8ℓ/100km(約14.7km/ℓ)、CO2排出量159g/kmまで引き上げられるのだ。
このパナメーラ S ハイブリッドは、6月より本国ドイツを皮切りに販売を開始する予定。価格は10万6,185ユーロ(約1,199万円)と発表されている。時期は未定だが、遠からず日本にも上陸の予定である。
カイエン S ハイブリッドとの大きなちがいは、こちらはFRつまり後輪駆動だということ。これが車重や走行抵抗のさらなる低減に繋がり、そもそもの空力特性の良さなども相まって、カイエン S ハイブリッドをさらに凌ぐ、ポルシェ史上もっとも優れた燃費・環境性能に繋がっているのである。
ハイブリッドスポーツがヨーロッパで初お披露目!
「ポルシェ インテリジェントパフォーマンス」の名のもとにハイブリッド展開を進めるポルシェは、918 RSR ハイブリッドレーシングカーコンセプトも今回、ヨーロッパではじめてお披露目した。1月のデトロイトモーターショーでデビューしたこのコンセプトカーには、ニュルブルクリンク24時間などのレースで活躍した911 GT3 R ハイブリッドで培われたテクノロジーが投入されている。具体的なレース参戦については未定だが、今後の展開が楽しみな1台だ。
これらにくわえて限定モデルとして発表されたばかりの911 ブラックエディション、ボクスター S ブラックエディションもブースに華を添えていた。いずれも内外装をブラックで統一したほかにさまざまなオプションをプラス。前者は911 カレラをベースに19インチホイールや内装のアルミルックトリム、BOSEサウンドシステムなどを追加したもので、世界限定1,911台が用意される。後者はボクスターSのエンジンを10psアップの最高出力320ps仕様としたほか、バイキセノンヘッドライトなどをふくむコンフォートパッケージ、19インチホイールなどをふくむデザインパッケージを標準装備するなどしており、世界987台限定。いずれも、すでに日本でも発表されている。
そして忘れてはいけないのがケイマンR。これもヨーロッパでは初披露であった。まさに目白押しの内容によって、プレスカンファレンスはまたたく間に終わってしまった。早朝という異例の開始時刻に集まったプレスたちも最初は少々眠たげな顔をしていた。しかしプレゼンテーションが終わるころにはブース全体、いやその周囲にまで、ポルシェが発する凄まじいまでのエネルギーが満ち溢れていたのである。