ジュネーブショー2018リポート 市販モデルに見る各ブランドの"今"
Geneva Motor Show 2018|ジュネーブ モーターショー 2018
ジュネーブショー2018リポート1
市販モデルに見る各ブランドの"今"
3月6日にスタートし、18日に幕を閉じたジュネーブモーターショー2018。歴史あるモーターショーであるとともに、地元に大きなメーカーを持たない地の開催ということも相まって、例年非常に国際色豊かな展示で盛り上がりをみせる。現地を訪れた小川フミオ氏によるリポート。前編では、各ブランドの“今”を知ることのできる市販モデルにフォーカスをあてる。
Text & Photographs by OGAWA Fumio
新型がひしめく濃密なショー
2018年で88回を数える歴史あるジュネーブの自動車ショーが3月に開催された。注目すべき点はニューモデルの多さだった。
ジュネーブの自動車ショーの会場は空港の隣り。この立地は長く変わっていない。会場もそれほど大きくないのだが、2018年はとりわけ内容が濃い。
ニューモデルをみると、大きく分けてSUV、スポーツカー、セダン、ハッチバック、EVとハイブリッドとバラエティに富んでいるのも特徴だ。
メルセデス・ベンツが中でもひときわ気を吐いていた印象が強い。人だかりが減らなかったのが「AMG GT 4ドアクーペ」、メルセデスAMGの「G 63」、それに新型「Aクラス」。これだけすらすらと出てくる。
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次世代車のあらゆる可能性を探るメルセデス
環境適合車という面でも、メルセデス・ベンツには見るべきものが多い。それが「EQ」だ。ショー会場の大きなスペースを使い車両を並べていた。
「EQ」のことをわざわざ書くのは、メルセデス・ベンツの概念であるが、今の環境適合車の概念がすべて包括されているからだ。
「EQは4つのカテゴリーからなっています。EQブースト(48ボルトバッテリーによるマイルドハイブリッド)、EQパワー(プラグインハイブリッド)、EQパワープラス(パフォーマンス系プラグインハイブリッド)、そしてEQ(EVとFCV=燃料電池車)です」
会場でそう語ってくれたのは、メルセデス・ベンツで将来に向けた戦略を統括するウィルコ・アンドレアス・シュタルク氏である。
メルセデス・ベンツは、2025年以降は完全電気化するスマートEQ(すでに欧州と米国ではすでにEV版のみ販売中)と、ベストセラーである「Cクラス」に設定したディーゼルPHVを目立つようにしていた。
「何が将来の環境適合車の主流になるか。実はまだ見極めがついていません。中国や米国はEVでしょうが、欧州ではそう簡単にいかず、プラグインハイブリッドが主流になっていくように思います」
シュタルク氏は言葉を続ける。「そこで今やれることは何でもやっておかなくては、というのが我が社のスタンスです。ただし、あらゆるジャンルで常にベストの製品を作る。これがモットーです」。
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スーパースポーツカーも登場が相次ぐ
EVとしてはジャガーが「I-PACE」を発表。アウディも2018年夏に発売を予定している「e-tron」(イートロン)のコンセプトモデル(恐らくほぼ完成車)を持ちこんだ。
もう一つ、興味深い流れがスーパースポーツカー。量販車でもフェラーリ「488ピスタ」をはじめ、マクラーレン「セナ」、ランボルギーニ「ウラカン ペルフォルマンテ スパイダー」などがベールを脱いだ。
一方でさらにその先をいくレーシング仕様も大いに注目を集めていた。トヨタがBMWと共同開発中のスープラをベースにした「GRスープラ レーシング コンセプト」が代表例。
ポルシェは「911GT3」の上をいくセミレーシング仕様ともいえる「911GT3RS」の最新型をお披露目。ネオングリーンのクルマは終始、来場者をひきつけていた。
マクラーレンは「セナ」のレース仕様、「セナGTR」のベールをとった。セナは限定500台が発売前に完売という人気で、75台限定、価格は100英ポンドというセナGTRはどうだろう。
アストンマーティンも、「ヴァルキリーAMRプロ」を持ちこんだ。コスワース開発の6.5リッターV12搭載のハイパースポーツカーをベースに、F1設計者エイドリアン・ニューイーとともにボディを開発したという。
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依然として続くSUV人気
SUVではレクサスがそう遠くない将来に発売を予定している全長4.5メートルのコンパクト、「UX」(Creative Urban Explorer)を展示して、こちらも撮影者が途切れない人気だった。
BMWは新型「X4」と先に発売した「X2」をともに並べた。X4は従来のモデルが20万台を販売してきた実績を持つとのことで、BMWではスポーティなSUVであるこの2台に大きな期待をかけている模様だった。
セダンでは、アウディが新型「A6」を発表。「A8」と「A7スポーツバック」と共通のストラクチャーを使うモデルだけに、スマートタブレットのような先進的なモニターコントロールも搭載している。
プジョーは新型「508」をデビューさせた。LEDのポジションランプがキバのように見える強い個性を持つフロントマスクが特徴的だ。セダンがファストバックボディとなったのも特筆点である。