LANVIN|ドゥミ・ムジュール――セミ・トラディショナルの楽しみ
FASHION / FEATURES
2015年3月2日

LANVIN|ドゥミ・ムジュール――セミ・トラディショナルの楽しみ

LANVIN│ランバン

プレタポルテとシュール・ムジュールをつなぐ、架け橋的なライン

ドゥミ・ムジュール──セミ・トラディショナルの楽しみ

プレタポルテとシュール・ムジュールをつなぐ、架け橋的なラインとなるのが、ドゥミ・ムジュール(パターンオーダー)である。クラシシズムとモダンなカッティングをブレンドさせたこのラインは、日ごとにその信奉者を増やしつつある。メンズファッションに対してのカスタマイズされたアプローチであり、名声あるハンドメイド・テーラリングの文化に根差したあたらしい展開といえる。

Text by LANVIN

※こちらの記事は基本的にランバンのメンズ・カタログから転載したものになります

※メンズ・カタログはランバン ブティック銀座店にて配布中

ハンドメイド・テーラリングの文化に根差したあたらしい展開

ランバン|LANVIN ドゥミ・ムジュール(パターンオーダー)02

「一つひとつ、すべてのディテールに気を配りながら、完ぺきな服へと近づけていくのです」。ランバンのドゥミ・ムジュール部門のマネジャー、フレデリック・ジェルベールは、フォーブル・サントノーレ15番地での自身の仕事ぶりを語りはじめたとたん、鋭い眼光をその目に煌めかせた。

とめどもなくつづくその熱弁には一分の隙も、一点の曇りもない。誇り高い仕事に、全身全霊をこめて打ち込んでいる人間だということが、その話しぶりにも自ずと表れている。「この仕事を愛しています。そして、ランバンで働けることを誇りに思っています。お客様が何をお求めでいらっしゃるかをいっしょに探す、そのお手伝いができることは、かけがえのない大切な仕事ですから。自分の仕事の出来栄えを、この目で確かめられたときは、もちろんうれしいですが、同時にドゥミ・ムジュールのスーツがお客様に完璧にフィットしたとき、この会社の名声のために少しでも貢献できたと感じられるときが、何より誇らしく思える瞬間です」と彼はいう。

グローバルなクリエイティビティの遺産を受け継ぎながら、ごく自然に主張

では、ドゥミ・ムジュールとは一体どのようなものなのか。

それはランバンの専門技能の頂点であるシュール・ムジュールの、いわば簡易版なのだろうか。それともそれは、プレタポルテの上位版というべきものなのか。シュール・ムジュールとはどのような類似点があり、後者と比べるとどのような優位性があるのだろう。形式的にはクラシックなのか、それともむしろ、プレタポルテのモダニティを継承するものなのか。

「ランバンのスタイルは、すべて流動的で変化しつづけています。クラシックな正統性も、ブランドとしての一貫性も決して失うことなく変化しているのです。ドゥミ・ムジュールは、グローバルなクリエイティビティの遺産を受け継ぎながらも、ごく自然に主張するラインです。さらにいえば、ブランドの本質を象徴する、強いアイデンティティを与えられています。強いブランド力を利用し、おなじスピリットを継承しながらも、異なる世界を提供するものです。プレタポルテとドゥミ・ムジュールは、ともに洗練されたフランス流のタッチや、ディテールへの愛を、決して行き過ぎることなく想起させる、相補的なラインであるといえます。誇示することのない、けれども手の届くところにある贅たくといえば、イメージが近いでしょうか」とメンズコレクションのディレクター、パトリック・ギヨタンは語る。

ランバンのドゥミ・ムジュールは、プレタポルテから完全に独立したものではなく、並存する世界観だという。世紀を跨ぐ、これまでの足取りがあってこそ築き上げられた、誰でも手を伸ばすことができるリンク、または架け橋のような存在であり、もっとも現代的なスタイルを満喫するためのラインでもある。

ランバン ブティック 銀座
Tel. 03-3289-2789(メンズ)
Tel. 03-3289-2788(レディース)

LANVIN│ランバン

プレタポルテとシュール・ムジュールをつなぐ、架け橋的なライン

ドゥミ・ムジュール──セミ・トラディショナルの楽しみ(2)

あらゆる細部に及ぶアジャストメントをもって、個人の体型にフィットさせる

二者間にリンクが生まれたのは、5年前のこと。ランバンが、その定評あるクオリティをクラシックラインからそのままに受け継ぎながら、よりファッショナブルでデザインコンシャスなプレタポルテを展開すべく動き出したことに、自然に追随してのことだ。ドゥミ・ムジュールでは、単にスーツを仕立てるのでなく、あらゆる細部に及ぶアジャストメントをもって、個人の体型にフィットさせるから、カスタマーにさらなる満足を提供できるのだ。

フレデリック・ジェルベールは、こう語る。「プレタポルテにおいても、かつてジャケットにはショート、ミディアム、ロングといった3つの異なる丈が用意されていました。しかし不景気の時代を経て、メーカーはたんに、標準以外のサイズに対応することをやめてしまったのです。以来、ドゥミ・ムジュールはその埋め合わせをする好手段となりました」。実際、典型的なサイズでは着心地がよくないという男性はたくさんいる。たとえばもし、あなたの胴は短めで、若干太り気味、腕はやや短めで、なで肩気味というならば、すでに既成のジャケットではフィットしないリスクが十分ある。

その解決策が、ドゥミ・ムジュールである。ランバンでは、ベースにサンプルキットを用いながら、お客様の採寸をする。そして、最初からいくつかの要素を付けくわえながら裁断していくのだ。用いられるのは、約50ほどのバリエーションをカバーする注文書に、注意深く記入された情報。「ゲージでは、4~8という幅広いドロップレンジ(肩とウェスト間の寸法差)と、トラディショナルな型から、よりモダンなルックスを求める方のためのスレンダーな型まで、あらゆるスタイルを揃えています。テーラーは、お客様によってこのドロップ値を決定していきます。プレタポルテとちがって、スーツが完成するまでのあいだにフィッティングをおこない、不完全な箇所を確認し、修正をくわえていきます」

当然のごとく、ドゥミ・ムジュールのお客様は、自分のイニシャルを入れることもできるほか、2つボタンにするか3つボタンにするかといったスタイルの選択、あるいは襟のかたち、ボタンホールの仕上げや、裏地の色といったディテールの選択も自由におこなえる。生地についていえば、一般的なものから季節別にまとめられたものまでふくめて、およそ20の生地見本帳があり、合計1,200~1,500という豊富な種類から選択することができる。

100%ランバンのスタイルと洗練が、巧妙にブレンドされた結晶

「生地の質は、耐久性と見た目の美しさの両方の観点から、極めて重要な要素といえます。まずはお客様に快適に着ていただくために、もうひとつはランバンのエレガントなイメージに調和しない色の組み合わせを避けるために、最善を尽くしてアドバイスしています。私の使命は、お客様に正しく伝えること、そしてよりよい方向へ導いていくことです。たとえば“この生地はとても高価だけれど、シワができやすそう“というお客様がいらっしゃったら、値段や見た目で決める前に、まずは飛行機での移動や、暑い国や湿度の高い国で着用するのに適しているかを考えることが重要であると、丁寧にお伝えします。すべてのシチュエーションに適応できる生地は、残念ながらないこと、また、100%シワにならない生地もないということもお伝えします。また、ドゥミ・ムジュールの長所を説明するためには、よくシャンパンの例を引用します。シャンパンは、普通のグラスで飲んでも、クリスタルのフルートグラスで飲んでも中身はいっしょですが、後者の方がより美味しく感じられますよね。それは、フルートグラスの方が値段も高く、壊れやすいにもかかわらず、巧妙さとエレガントさを兼ね備えているからであり、そのグラスで飲む楽しみ自体、大切な意味を持つからなのです」と、フレデリック・ジェルベールは話す。

また、ランバンのドゥミ・ムジュールのシャツも、スタンダードとスリムの2種類のパターンが用意されていて、グログランなど異なるタイプのカフスとカラーから選ぶことができるという、理に適ったシステムで提供されている。バスト、ウエスト、ヒップ、袖の長さ、肩幅の調整が可能で、生地はおよそ300種類のなかから選ぶことができる。服が完成するのは、およそ6~7週間後。そののち、さらに調整をくわえることも可能だが、その調整というのはこうだ──Lanvin 15 Faubourgが、いかに優れた匠の技術を用いて、この服を完成させたか、その内容をカスタマーが知り、理解するという大切な調整である。馬やラクダの毛など天然繊維でつくられたトワル、接着剤を一切使用せず、すべてコットンの糸で丁寧に縫合されたパーツ、ショルダーラインを美しく仕上げる手縫いのコットン製肩パッド、コットン製の裏襟、ベンベルグ素材の裏地など、つまり品質そのものを知ること! そしてそれは、自分だけのためにつくられた、洗練を極めた服に出会う、感動的な喜びの場面でもある。ドゥミ・ムジュールとは、100%ランバンのスタイルと洗練が、巧妙にブレンドされた結晶なのである。

ランバン ブティック 銀座
Tel. 03-3289-2789(メンズ)
Tel. 03-3289-2788(レディース)

           
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