ルノー・日産アライアンスとダイムラーの世界戦略|Renault-Nissan & Daimler
CAR / MOTOR SHOW
2015年4月6日

ルノー・日産アライアンスとダイムラーの世界戦略|Renault-Nissan & Daimler

Daimler & Rrenault-Nissan Allience|ダイムラー&ルノー・日産アライアンス
フランクフルト モーターショーの出展モデルからも見えた

ルノー・日産アライアンスとダイムラーの世界戦略

ルノー・日産アライアンスとダイムラーのパートナーシップが拡大している。エンジンやトランスミッションといった基幹部品の共用だけでなく、生産工場での協業も、まもなく本格的に開始。インフィニティの次期コンパクトカーがメルセデスのA/Bクラスと姉妹車になるなど、両社のつながりはより強固になってきた。

Text by SAKURAI Kenichi

加速するグローバルパートナーシップ

ルノー・日産アライアンスとダイムラーのパートナーシップが、加速しはじめた。両メーカーの戦略的協力がはじめて発表された2010年4月から丸3年。アライアンスは多岐にわたり、当初3つの協業からスタートした両社は、現在10プロジェクトを有するまでに拡大している。

すでにお伝えしているとおり、今回のフランクフルト モーターショーでインフィニティが発表したコンセプトカーは、インフィニティ「Q30」として2014年から英国で生産を開始するが、これはメルセデス・ベンツの「Aクラス」「Bクラス」の姉妹車と呼べるモデルだ。メルセデスのA/Bクラスとインフィニティ「Q30」はまったくことなるデザインをもっているものの、基幹部品はメルセデスが開発・製造し、それをインフィニティでも使用する。大きくいえば、両モデルはブランドちがいの姉妹車ということになる。

Mercedes-Benz A Class|メルセデス・ベンツ A クラス

Mercedes-Benz A Class|メルセデス・ベンツ A クラス

Infiniti Q30 Concept|インフィニティ Q30 コンセプト

Infiniti Q30 Concept|インフィニティ Q30 コンセプト

インフィニティQ30の登場は、未来の話になるが、今すぐにエンドユーザーが享受可能な具体例として、たとえば、すでにメルセデス・ベンツ「シタン」として欧州発売をおこなっているモデルがあげられる。これはルノー「カングー」をベースに、メルセデス・ベンツのグリルをあたえたもので、メルセデス・ベンツ「バネオ」の後継として位置づけられている。

また、2013年のデトロイトモーターショーで発表され、春のジュネーブ モーターショーで欧州プレミアをおこなったインフィニティ「Q50」(日本では次期スカイラインとして市販予定)も、両車の協力体制の産物だ。これは、ダイムラー製のディーゼルエンジンとオートマチックトランスミッションを採用したはじめてのインフィニティとして、まもなく欧州各国で発売される。

Daimler & Rrenault-Nissan Allience|ダイムラー&ルノー・日産アライアンス
フランクフルト モーターショーの出展モデルからも見えた

ルノー・日産アライアンスとダイムラーの世界戦略 (2)

コンパクトカーや商用車でも協業

スマート」「トゥインゴ」の共同開発プロジェクトも重要なプランの1つだ。ダイムラーが今回のフランクフルト モーターショーで公開した、スマート「フォー ジョイ」は、2006年に生産が終了したスマート「フォーフォー」いらいとなる4人乗りのコンパクトカー。ベースはルノー トゥインゴの後継モデルで、この両モデルはルノーのノボメスト工場(スロベニア)で生産される。その反対に、ハンバッハ(フランス)のスマートの工場では、2人乗りの新型「スマート」が生産される。次世代の「スマート」が無事に登場し、バリエーションを拡大できるのも、こうした協業の成果である。

Renault Twin'RUN Concept|ルノー トゥインラン コンセプト

Renault Twin'RUN Concept|ルノー トゥインラン コンセプト

Smart fourjoy|スマート フォージョイ

Smart fourjoy|スマート フォージョイ

さらに、アメリカのデカード(米テネシー州)には、両社が使用する4気筒エンジンの生産工場も建設されている。この施設は、日産のパワートレイン組み立て工場の敷地内にあたらしく作られたもので、2012年5月の着工からわずか1年半で完成した。2014年半ばからエンジンの生産が開始され、タスカルーサ(米アラバマ州)にあるダイムラーの工場で生産されるメルセデス・ベンツ「Cクラス」や、新型インフィニティに搭載される予定だ。

商用車の分野でも、協業を行っている。ダイムラー・トラック アジア部門の三菱ふそうトラック・バスは、日産から商用バン「NV350 アーバン」の供給を受け、海外市場向けに発売する予定で、反対に、三菱ふそうの小型トラック「キャンター ガッツ」(積載量2.0tクラス)は日産へ、日産の小型トラック「アトラスF24」(積載量1.5tクラス)は三菱ふそうへ供給されている。

ルノー・日産アライアンスのカルロス ゴーン会長兼CEOは、ショー会場で「当初は欧州に焦点を置いた共同プロジェクトをおこなっていましたが、いまはすべての重要な市場におけるシナジーに重点を置いています。最大のスケールメリットは常にグローバルなものです」と語った。

いっぽう、ディーター ツェッチェ ダイムラーCEO兼メルセデス・ベンツ会長は「私たちは今後も、ユーザーとパートナーにとって意味のあるあたらしいプロジェクトを追求していきます」とコメントした。

Mercedes-Benz Citan|メルセデス・ベンツ シタン

フォルクスワーゲン グループ、トヨタ グループに次ぐ第3位のアライアンスとして、スケールメリットの追求と同時に、われわれエンドユーザーは、それぞれのブランドを主張する、個性的なモデルの登場を期待している。いまやグリルがちがうだけのニューモデルを、ありがたがる時代ではない。2007年に9年間にわたるクライスラーとの提携を解消したダイムラーは、その事実を誰よりも強く感じているはずである。

           
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