若返るインフィニティ ブランドの象徴

日産の海外向けラグジュアリーブランドのインフィニティは、フランクフルト モーターショーで、2015年から英国サンダーランド工場で生産を予定しているプレミアムコンパクトモデル、「Q30コンセプト」を発表した。

個性的なデザインをもつQ30コンセプトは、メルセデス・ベンツの「Aクラス」、「Bクラス」やBMW「1シリーズ」、アウディ「A3」など強力なライバルがひしめく、いわゆるCセグメントに属するコンパクトモデル。2011年のジュネーブ モーターショーで発表したコンセプトカー「エセレア」を、より現実的なデザインに進化させたモデルでもある。

きわめて市販モデルにちかいエクステリアデザインを採用した「Q30コンセプト」は、個性あふれるあたらしいインフィニティのデザインをもついっぽうで、ルノー日産アライアンスとダイムラーの提携から生み出されたという背景をもつ。

使用構成部品の内容こそ公表されていないが、市販モデルの「Q30」は、メルセデスのAクラス、Bクラスとプラットフォームやエンジン、トランスミッションなどの基幹パーツを共用するとみられている。

ボディサイズなど、くわしいディメンションは未公表だが、「エセレア」と同等となる、全長約4,400mm程度のコンパクトなサイズと推測できる。車高は高く、一見するとクロスオーバーモデルのようだが、インフィニティは「多様なニーズにこたえる、クーペ、セダン、ハッチバック、クロスオーバー、あらゆるボディ形状の特色をブレンドさせたインフィニティ初の5ドアモデル」であると説明する。

Q30コンセプトをデザインした、インフィニティのエグゼクティブ デザイン ディレクターの、アルフォンソ・アルバイサは、「クーペ、ハッチバック、そしてクロスオーバーをも彷彿とさせるが、そうしたカテゴリーを打破するクルマ」であると述べている。

Q30コンセプトは、「セダンだから」や「SUVだから」といってクルマをえらぶような価値観や、伝統的なカテゴライズにとらわれない、自身のライフスタイルにあうかどうかを見極めるユーザーに向けた提案でもあるのだ。

ショー会場で、インフィニティのヨハン・ダ・ネイシン社長は、「インフィニティは、若く、トレンドをつくりだしていくブランド、よりエキサイティングなブランドになろうとしています。インフィニティ“Q50”、そして“Q30コンセプト”」がこの使命を果たします。」と述べた。

ヨハン・ダ・ネイシン社長は、元アウディ ジャパンの代表で、アウディ ノースアメリカの社長を経て、インフィニティにスカウトされた。日本や北米で、アウディをプレミアムブランの一角に定着させた立役者でもある。

ターゲットは、プレミアムブランドを求める若い世代のユーザー。現代的で際立つ個性をもつインフィニティのあたらしいデザインビジョンを「Q30コンセプト」でしめし、「今後10年以内にプレミアムセグメントのユーザーの80パーセントを占めるであろう“X世代”（1960-1974年に生まれた世代）や“Y世代”（1975年以降に生まれた世代）に、あたらしく、よりモダンなプレミアム感をアピールする」のだという。

ちなみに、Q30コンセプトのワールドプレミアとともに、インフィニティは欧州において、新型スポーツセダン、インフィニティQ50を11月半ばに発売する予定であることも発表。このクルマは、次期日産スカイラインとして、日本国内にも登場する予定だ。