ボルボ、今後のデザインを示唆するコンセプトクーペを公開|Volvo
Volvo Concept Coupe|ボルボ コンセプト クーペ
次世代の“P1800”をイメージしたクーペのコンセプト
ボルボ、今後のデザインを示唆するコンセプトクーペを公開
もしも、このクルマのフロントグリルにボルボのエンブレムが付いていなかったら、果たして何人がボルボのあたらしいコンセプトカーだとわかるだろうか。デザイン部門にトーマス・インゲンラート氏を迎えたボルボは、この“新型ボルボ クーペ コンセプト”で、次世代デザインののろしを上げる。
Text by SAKURAI Kenichi
次期XC90を示唆するデザイン
ボルボは、フランクフルト モーターショーにおいて、あたらしいクーペのコンセプトカーを発表する。コンセプトカーの名称は、シンプルにボルボ「クーペ コンセプト」としているが、ボルボ自身もこのスタディを、1960年代に発売したクーペモデルの「P1800」にインスパイアされたコンセプトカーであり、“次世代のP1800”であるとコメントしている。
現在ボルボは、現行「XC60」から、新世代デザインへの進化・移行をおこなっており、2008年のジュネーブ モーターショーで公開した「S60コンセプト」では、その集大成ともいうべきダイナミックなデザインを採用。プロダクションモデルである「S60 / V60」や「S40 / V40」は、あたらしいボルボの象徴として成功をおさめている。
フランクフルト モーターショーで発表する新型クーペのコンセプトカーは、現代によみがえったスタイリッシュな“P1800”であるいっぽうで、ボルボのデザイン改革が、次のステージにはいったことを示唆している。クーペというわかりやすいもモデルをもちいてはいるが、これはズバリ、次期「XC90」で採用されるデザインのプレビューでもあるのだ。
昨年フォルクスワーゲン グループから移籍したデザイン部門の指揮を執る、トーマス・インゲンラート デザイン担当副社長がおこなうのは、モダンで先進的なスカンジナビアン ライフスタイルの具現化だけでなく、過去の象徴的なデザインや作品に触発された「スケーラブル プロダクト アーキテクチャー(SPA)」をあたらしいデザインコンセプトとして採用し、ボルボ デザインの未来を切り拓くことである。
ボルボでは、「スケーラブル プロダクト アーキテクチャー(SPA)」をもちいた3つのコンセプトカーを、シリーズとして今後、順次発表していく予定だ。“ボルボ クーペ コンセプト”は、そうしたデザイン改革の第1弾であり、このモチーフは、2014年に発表される新型XC90からプロダクションモデルに導入されるものなのだ。
実際、“ボルボ クーペ コンセプト”のエクステリアは、見どころが満載だ。
特に、低いボンネットとルーフ、マッシブなFRスポーツカーを思わせるワイドなリアトレッドと後退したドライバーポジション、5スポークデザインを採用した21インチホイールが特徴的だ。特にリアにゆくに従ってワイドになるコークボトルプロポーションともいうべきフォルムは、これまでのボルボにはなかったデザインである。
フロントフェイスは、立体的な形状のボンネットと、あたらしいT形のDRL(デイライト ランニング ライト)ガイドをそなえたヘッドライトに挟まれる“フローティング”グリルが特徴だ。テールライトも、DRLデザインに呼応するこれまでのボルボにはなかったあたらしいデザインの方向性をしめすものだ。トーマス・インゲンラート デザイン担当副社長は「より現実的なライトやフロントグリルのデザインは、XC90によって、2014年にあきらかにされる」と語っている。
インテリアは、ウッドと本革が多用し、そこに金属パーツが効果的にくわえられている。現在のボルボのインテリアの象徴ともいえる“センタースタック”のモチーフも、縦型の大型センタースクリーンをビルトインし、あたらしい解釈のもとで進化している。こちらも新型XC90が登場したさいは、インテリアデザインのルーツがここにあると、おそらく理解できるはずである。
いっぽう、パワートレインでは、ターボとスーパーチャージャーを組みこんだ2リッター4気筒ガソリンエンジンを搭載したプラグインハイブリッド方式を採用。後輪は電気モーターによって駆動するシステムだ。トータル出力は400ps、最大トルクは600Nm(61.2kgm)。V8エンジンに迫るパフォーマンスをそなえていると発表された。
2002年に登場したXC90は、現行モデルでもっとも息の長い10年を超えるライフスパンを持つモデルだ。北米で好調なセールスを保っていたが故に、新型車への移行が最後になったという事情も聞こえてくる。このコンセプトカーのデザインそのものが新型XC90に採用されるわけではないが、“ボルボ クーペ コンセプト”でもちいられたあたらしいデザイン言語を使用し、XC90は2014年にあたらしく生まれかわるのである。予告編のインパクトを考えると、本編にも相当期待できそうだ。