1リッターで33.3km走るSクラス|Mercedes-Benz
CAR / MOTOR SHOW
2015年4月6日

1リッターで33.3km走るSクラス|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz S 500 Plug-in Hybrid|メルセデス・ベンツ S 500 プラグインハイブリッド

プラグイン ハイブリッドの採用で燃費もフラッグシップ

1リッターで33.3km走る、Sクラス

Sクラスに「S 400 ハイブリッド」、「S 300 ブルーテック ハイブリッド」につづく第3のハイブリッドモデルとして、メルセデス初となる外部電源から充電可能なプラグイン ハイブリッド モデルを追加設定。歴代トップの燃費を誇る「S 500 プラグインハイブリッド」を、フランクフルトモーターショーで公開する。

Text by SAKURAI Kenichi

Sクラスなのにリッター33.3kmという低燃費

今年5月にドイツ本国で発表された新型Sクラスに、第3のハイブリッドモデルとして「S 500 プラグインハイブリッド」が追加設定された。これは、「S 400 ハイブリッド」、「S 300 ブルーテックハイブリッド」につづくもので、新型Sクラス発表時に「4リッター/100km以下(25km/ℓ)の燃費」と予告されていたモデルだ。メルセデス初の市販プラグインハイブリッド モデルとして、フランクフルトモーターショーで初公開され、市販開始は、2014年を予定している。

「S 500 プラグインハイブリッド」に採用されるハイブリッドシステムは、最高出力333ps、最大トルク480 Nm(48.9kgm)の新型3.0リッターV6ターボ エンジンと、外部充電式バッテリー、最高出力80 kW、最大トルク340 Nmとなるモーターの組みあわせ。モーターのみでの走行も可能とした、いわゆるストロング ハイブリッドシステムをベースに、進化した回生ブレーキシステムやインテリジェント エネルギー マネージメント システムを採用するとともに、外部充電機能をくわえた第2世代のハイブリッドシステムだ。

メルセデスのプラグインハイブリッドシステムは、約30kmの純EV走行がおこなえるほか、「4リッター/100km以下(25km/ℓ)の燃費」どころではない、なんと33.3km/ℓ(NEDC値)という、Lセグメントモデルとしては驚異的な燃費をマーク。CO2排出量もわずか69g/kmに抑えられている。これは軽自動車やコンパクト ハイブリッドカー並の数値で、いままで常識とされてきた高級サルーンでは考えられなかったものだ。スズキの軽自動車「アルト」のCMにならえば、「アルト、33」ならぬ「ベンツ、33」。燃費競争も、ついにここまで来たか……という感想を誰もが持つはずだ。

Mercedes-Benz S 500 Plug-in Hybrid|メルセデス・ベンツ S 500 プラグインハイブリッド

Mercedes-Benz S 500 Plug-in Hybrid|メルセデス・ベンツ S 500 プラグインハイブリッド

「S 500 プラグインハイブリッド」は、4つハイブリッドの動作モードをそなえている。具体的には、(1)HYBRID:エンジンとモーターのコンビネーションで走行、(2)E-MODE:電力のみで走行、(3)E-SAVE:バッテリーのフル充電後に電力のみで走行することができるように準備をおこなう、(4)CHARGE:運転中にバッテリーを充電──で、これらはスイッチひとつでそれぞれを簡単に選択することができる。

メルセデス・ベンツは、リチウムイオンバッテリーを搭載した世界初のハイブリッドモデルを2009年に発売。これまで全世界で20,000台以上を販売し、高級車にもハイブリッドが求められる土台を作ってきた。新型Sクラスの「S 400 ハイブリッド」が持つ15.8km/ℓの燃費や、「S 300 ブルーテック ハイブリッド」の22.7km/ℓを超える「S 500 プラグインハイブリッド」の33.3km/ℓという燃費は、確かに魅力的だが、それ以上に注目すべきなのは、さまざまなソリューションを提案しエネルギーダイバシティに対応していこうというメルセデスの姿勢だ。

次世代車の本命はFCV(燃料電池車)というのが大方の意見だが、水素燃料の供給など、普及にはインフラの整備が欠かせない。では、持続可能なモビリティをもたらすために、そのあいだをどう繋いでいくのか。メルセデスは、FCVの実用化を進めながら、ガソリンやディーゼルといった既存技術の効率化をはかると共に、ハイブリッドでもガソリンとディーゼルの両方をラインナップし、EVをふくめ出し惜しみなく現状実用可能な技術をすべて市販化している世界で唯一の自動車メーカーだ。そこには、クルマの発明者たるプライドを感じずにはいられない。

「S 500 プラグインハイブリッド」の登場が、ラグジュアリーモデルの環境負荷低減競争に拍車をかける大きなきっかけになることはまちがいないだろう。これからは、「高級車だから人一倍資源を使っても大目に見られる」ではなく、「高級車だからこそ、コストのかかるハイテクを使い環境負荷を最低限に抑えている」というコンセプトが主流になるかもしれない。

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Mercedes-Benz S 500 Plug-in Hybrid|メルセデス・ベンツ S 500 プラグイン ハイブリッド
エンジン|3リッター V型6気筒ターボ
エンジン最高出力| 245 kW
エンジン最大トルク|480 Nm
モーター最高出力|80 kW
モーター最大トルク|340 Nm
最高速度|250 km/h
0-100km/h加速|5.5 秒
燃費(NEDC値)|3.0 ℓ/100km
CO2排出量|69 g/km

           
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