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2021年6月30日
電動化時代の会心作だった──プジョー3008 ハイブリッド4に試乗|PEUGEOT
PEUGEOT 3008 HYBRID4|プジョー3008 ハイブリッド4
電動化時代の会心作だった──プジョー3008 ハイブリッド4に試乗
プジョーの屋台骨を支えるCセグメントのSUV「3008」がフェイスリフトを受けたのを機に、プラグインハイブリッドモデル「GTハイブリッド4」が追加された。初夏より本格的にデリバリーが始まった同モデルに試乗した。
Text by NANYO Kazuhiro|Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
PHEV化しても刺激的であり続けるプジョー
マイナーチェンジ前から欧州でも日本でも、絶好調プジョーを支える屋台骨だったモデルにPHEVが加わった。初夏より本格デリバリーが始まった「3008 GT ハイブリッド4」のことだ。同時に3列シート7人乗りの5008もフェイスリフトを受けているが、PHEV版はまず3008のみの展開で、5008は従来通りの2リッターディーゼルのBlueHDi177psとガソリン1.6リッター ターボのピュアテック180psを揃える。というわけで今回は主にに前者、プジョーが初めて日本に上陸させたPHEVである3008 ハイブリッド4について報告したい。
3008 ハイブリッド4はプジョー初の4WD、初のハイブリッド、あるいは初PHEVかのようにいわれるが、実はすべて違う。初代3008や先代508の時代からプジョーはディーゼル・ハイブリッドを欧州で市販ラインナップしていたし、それらはFFベースで後輪にも駆動用電気モーターを備える4WDだった。そもそも市販4WDについても、80年代のグループBホモロゲモデル「205T16」に遡ることができる。また3008 ハイブリッド4よりも先に本国の3008ラインナップには225ps仕様で純FFのPHEVが登場していたし、プジョー初のPHEVで4WDの市販モデルの座は、今後導入される508プジョー・スポール・エンジニアード(以下PSE)に譲っている。
要は日本市場では牽強付会気味に「初物」に見られがちだが、プジョーはハイブリッドでも4WD制御でも十分な経験を積んでおり、初物でなくてもその興味や価値を下げるものではない。プジョーにとって3008 ハイブリッド4はハイブリッド第2世代にあたり、EMP2プラットフォームのPHEVは早い段階から研究開発が重ねられてきた。以前に試乗記をお届けした、「308R ハイブリッド4」
が、それだ。EMP2のFFベースにリアモーターと駆動用バッテリーによるパートタイム4WDという基本構成は同じで、その経験を市販モデルとしてもっとも過激に結実させたのが508PSEであり、最終的にホットハッチではなかったものの同じくEMP2の3008で、システム総計300ps・520Nmの4WD版と、日本には未導入のFFの225ps版という2種類のPHEVに派生したといえる。
が、それだ。EMP2のFFベースにリアモーターと駆動用バッテリーによるパートタイム4WDという基本構成は同じで、その経験を市販モデルとしてもっとも過激に結実させたのが508PSEであり、最終的にホットハッチではなかったものの同じくEMP2の3008で、システム総計300ps・520Nmの4WD版と、日本には未導入のFFの225ps版という2種類のPHEVに派生したといえる。
数年前のプロトタイプは合計で500ps・720Nmだったため、3008 ハイブリッド4のシステム出力にして300psという出力は、今や他愛のないスペックに見える。しかし、つねにシャシー優位のセッティングでパワートレインの効率を最大限に引き出すことを旨としてきたプジョーにとっては、「300psもの大台」であり、520Nmというトルクは欧州CセグSUVとして随一だ。そもそも出力については、2010年代の「RCZ」や「308GTi」ですら270ps止まりで、80年代のグループBホモロゲ・モデルでフルタイム4WDだった「205 T16」ですら、公道バージョンは200psという控えめさだったことは、思い出す必要がある。