ジャガー、ランドローバー、そしてミニのいま 第3回|MINI
MINI|ミニ
ジュネーブ&NYモーターショー インタビュー特集
ジャガー、ランドローバー、そしてミニ ―英国車のいまと近未来 第3回
MINIに制限はない
ジャガー篇、ランドローバー篇とお届けした、九島辰也氏による英国車の今後をめぐる旅も、今回が最終回。最後に話題にのぼるのはミニだ。7代目のファミリーメンバー 「ペースマン」をむかえたミニの今後のヴィジョンは? そしてペースマンの最高性能モデル、「ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン」をどう見る?
Text by KUSHIMA Tatsuya
コカ・コーラのようなものだ?
最後にMINIの話を少し。話をしてくれたのはMINIエクステリアデザインの統括マネージャー マルクス・シリング氏だ。話題の中心はペースマンである。
「クロスオーバーはいまMINI全体の約30パーセントを売り上げています。その意味で世界中に受け入れられたと考えています。
そして、そこからペースマンが生まれました。ハッチバックにクーペがあるように。
MINI クーペとのちがいは、あちらは2シーター、こちらは4シーターとなります。その分MINI クーペのほうが思い切ったルーフシェイプができたのは確かです」
「ペースマンはフロントピラーまではクロスオーバーとおなじですが、後方はちがいます。水平のテールランプはMINIとしてははじめてですね。リアフェンダーを膨らましたのは筋肉質に見せるため。力強さが必要だったからです。それとここが膨らんでいるとクラシックな感じもします。その辺はかなり意図してつくりました」
ペースマンのデザインにかんして熱く語るシリング氏。あたらしい挑戦という面で達成感もあったのかもしれない。ただ、それでもMINIは変わらないともいう。
「MINIファミリーは増えますが、コアは変わりません。コカ・コーラのようなものだと考えてください。イメージできますよね。ただMINIに制限はありません。デザイナーはいろいろなアイデアがあるので今後も増えるかもしれませんね」
と、なにやら今後を期待させるような言葉でインタビューはしめられた。だがいま現在、ひと通りのラインナップが出尽くした感もなくはない。ジュネーブもNYもブースを飾ったのは派生モデルばかりである。とはいえ、いつも驚かせてくれるのがMINIである。
ジョン・クーパー ワークスは感激だ
ちなみに、MINIはジュネーブショー直前のタイミングでJCW ペースマンの試乗会をミュンヘンでおこなった。
7番目のモデルにもしっかりJCWは追加された。ではその走りはというと、相変わらず完成度の高いものに仕上がっていた。クイックで走った気になるハンドリングと、スポーティながらなぜか乗り心地のいい足のセッティングはお見事だった。
パワートレーンはほかのJCWと変わらない分、信頼性も高い。
開口部が少ないためか、クロスオーバーJCWよりもボディ剛性が高まった気がする。
なにはともあれ、普段からクロスオーバーのクーパーを足としているので親しみは強い。というか、クロスオーバーやペースマンのボディではクーパーS並みのパワーは必要だと感じているので、JCWは感激だ。
そんなJCWもいまはATで走れる時代。となると今度はクロスオーバーやペースマンにも“GP”が追加されるかも。なんて期待が膨らむのもMINIの魅力である。