MINI JCW ペースマンに試乗|Mini
Car
2014年12月4日

MINI JCW ペースマンに試乗|Mini

MINI John Cooper Works Paceman|
ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン

もっとも熱いペースマン

ミニ JCW ペースマンに試乗

先日、日本に上陸を果たしたばかりの「ミニ ペースマン」。OPENERSでも海外試乗記国内試乗記と掲載してきたが、そのペースマンにはやくも「ジョン・クーパー ワークス」が登場。フランクフルトにて渡辺 敏史氏がハンドルを握った。

Text by WATANABE Toshifumi

街の景色を優美に彩る

フランクフルトからミュンヘンまで、約500kmにわたる行程を走ってきた。お供はもっともあたらしいミニである「ペースマン」の「ジョン・クーパー ワークス(JCW)」。

もっと乗りたい載せたい人にむけたミニ──というクロスオーバーのコンセプトを、スラッシュカットのルーフで敢えて崩すことによりパーソナル性を強くうちだしたクルマ──。そんなペースマンの成り立ちを理解するのはむずかしい。あるいは本末転倒と断じるのは簡単だ。

MINI John Cooper Works Paceman|ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン

MINI John Cooper Works Paceman|ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン

が、数多の便利なクルマがある世の中で2ドアクーペが果たすべき役割はまさにそこ。敢えて不便を選択することでドライバーの個性をひき立て、街の景色を優美に彩る。言ってみればミニはそんなところにガンガンあらたなアイデアをぶつけてきたブランドでもある。

JCW ペースマンのスペックは、先に発売されている「JCW クロスオーバー」のそれとほぼ同等とみてもらっていいだろう。搭載される1.6リッター直噴ターボは218psをマーク、通常時は280Nmのトルクを1,900rpmで発生、全開等で高負荷となった際には一時的に過給圧が高められ、最大300Nmまでそれが高められる。

MINI John Cooper Works Paceman|
ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン

もっとも熱いペースマン

ミニ JCW ペースマンに試乗(2)

先入観を覆す上質なライドフィール

動力性能でいえば0-100km/hで6.9秒という加速力もJCW クロスオーバーと同等。最高速は空力等の作用もあってか、AT仕様で224km/hと1km/hだけJCW ペースマンの方が速い。サイズ的には全高がJCW クロスオーバー比で25mm低いこと、機能面ではクロスオーバーシリーズがオプションで5人乗り仕様もえらべるのにたいして、ペースマンシリーズは4人乗りオンリーとなっていることが主なちがいとなる。

JCW ペースマンの駆動方式は、ベースモデルでも採用されている「オール4」システムを受けつぐ4WD。電子制御油圧式デフをもちいた仕組みや制御はこれまでと同様で、通常は50:50のフルタイム、スリップ状況に応じて前後輪に最大でほぼ100パーセントの駆動力がリニアに配される。

前ストラット、後マルチリンクの足まわりも従来どおりだが、ブレーキやサスのセッティングはもちろん別物。最低地上高もベース車と大差なく、行動範囲を限定されるほど極端にオンロードライクな設定とはなっていない。

MINI John Cooper Works Paceman|ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン

パワーと効率のすぐれたバランスで、世のダウンサイジングトレンドの先駆けも担った1.6リッター直噴ターボユニットと6段ATの組みあわせは、いまだ旧さを感じさせない。四駆ということもあって1.4トンをこえるJCW ペースマンの車体を軽々と、しかも滑らかに引っ張り、あれよあれよという間に200km/hでの巡航ゾーンへと誘ってくれる。

それにも増して感心させられるのはシャシーの出来映えだ。ベースモデルにたいしても、一段といなしがマイルドでフラット感も高く……と、ミニに抱く先入観を覆す上質なライドフィールはコーナリングでも然り。ロール感を敢えて強引に抑えることなく、大きなバネ下重量をもてあまさない自然な接地感でしっかりとコーナーをクリアしていくサマは、ゴーカートフィールというよりむしろ、ニュートラルステアと言ったほうがふさわしいのかもしれない。

MINI John Cooper Works Paceman|
ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン

もっとも熱いペースマン

ミニ JCW ペースマンに試乗(3)

クロスオーバー系JCWの目指すところ

ミニにとって敏捷性=アジリティというのはブランドを司る動的に重要なアイデンティティであることにかわりはない。

JCWを銘打った銘柄では、いっぽうでニュルブルクリンクを8分20秒台で走ってしまうような、その名も「GP」というアイコンがいる。

速さのためにリアシートまで取っ払い、リアのストラットタワー間にブレースを入れたそれは、尖りに尖った嗜好に応えるべく生まれた純潔のスポーツハッチだ。

MINI John Cooper Works Paceman|ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン

MINI John Cooper Works Paceman|ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン

いっぽうでこのペースマンも含め、クロスオーバー系のJCW銘柄が目指すところは、全天候型のグランドツアラーとしても通用する懐の深さ、それを土台にしてのアジリティというところだろうか。スポーツ性を重視するユーザーにとっては、ベースグレードの乗り味よりむしろクオリティが高く感じられる、そのあたりのチューニングを模索しているようにもみえる。

彼ら曰くのゴーカートフィールという軸を揺るがすことなく、ユーザーにどこまで幅広い付加価値を届けることができるのか。JCW銘柄が目指すところは、図らずもあたらしいミニが現世代でトライしたことなのだろう。捉えようによっては「ペースマン」の「JCW」となるとかなりニッチな物件ということになるわけだが、それはプレミアム性の高いコンパクトカーを30万台という販売規模に膨らませたミニだからこそ埋められる隙間なのかもしれない。

spec

MINI John Cooper Works Paceman|ミニ ジョン・クーパー ワークス ペースマン
ボディサイズ|全長4,124×全幅1,786×全高1,527mm
ホイールベース|2,596 mm
トレッド 前/後|1,527 / 1,554 mm
最小回転半径|5.8 メートル
トランク容量(VDA値)|330-1,080 リットル
重量|
(6段AT)|1,420 kg
(6段MT)|1,400 kg
エンジン|1,598cc 直列4気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力| 160kW(218ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|280Nm(28.5kgm)/ 1,900-5,000 rpm
最大トルク(スクランブル制御時)|300Nm(30.6kgm)/ 2,100-4,500 rpm
トランスミッション|6段オートマチック/6段マニュアル
駆動方式|4WD
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|マルチリンク
タイヤ |225/45R18
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
最高速度|
(6段AT)| 224 km/h
(6段MT)| 226km/h
0-100km/h加速|6.9 秒
0-1,000m加速|27.4秒
燃費(NEDC値)|
(6段AT)|7.9 ℓ/100km
(6段MT)|7.4 ℓ/100km
CO2排出量|
(6段AT)|174 g/km
(6段MT)|172 g/km
燃料タンク容量|47 ℓ

           
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