メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4MATICに試乗|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック
Cクラスに登場した「AMGスポーツ」第2弾
メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4MATICに試乗
3月のジュネーブモーターショーにおいて、メルセデス・ベンツの新型Cクラスに「AMGスポーツ」ライン第2弾として登場したのが「C 450 AMG 4MATIC」だ。日本未導入のV6 3.5リッターエンジンを搭載する「C 400」をベースに、メルセデスAMG「C 63」譲りの足まわりやエクステリアをもつこのあらたなモデル。通常のラインとAMGのあいだを埋めるポジションとはいかなるものか、佐藤久実氏が試乗して確かめた。
Text by SATO Kumi
AMGスポーツモデル第2弾
「AMGスポーツ」モデル ―― あまり聞き慣れないグレードだとおもう。具体的なクルマの話の前に、まずはメルセデスの“ブランド”について触れておきたい。
メルセデスは、マイバッハの復活を機に、ブランドを再構築した。“ラグジュアリー”の「マイバッハ」と“スポーツ”の「AMG」。この両翼を担うブランドを、マザーブランド「メルセデス」のサブブランドと位置づけた。
ちなみに、以前のマイバッハには、車名に「メルセデス」は冠されていなかった。また、AMGモデルは、たとえば「C 63 AMG」から「AMG C 63」と、車名の最初にAMGがつけられるようになった。
そして、AMGブランドにあらたに作られたのが、「AMGスポーツモデル」。AMGのブランドスローガンである「ドライビング パフォーマンス」を備え、より広いターゲット層を狙ったものだ。その定義は『モデルラインのトップモデルをベースに、AMGのボディスタイリングとテクノロジーを投入したもの』である。
「GLE 450 AMG クーペ」につづき、AMGスポーツモデル第2弾として発表されたのが、「C 450 AMG 4MATIC」。日本に導入される「Cクラス」は、直列4気筒2リッター ターボエンジンを搭載する「C 250 Sport」がトップレンジだが、本国には、V6 3リッター ツインターボエンジンを搭載する「C 400 4MATIC」が存在する。つまり、これがAMGスポーツモデルのベースとなる。
Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック
Cクラスに登場した「AMGスポーツ」第2弾
メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4MATICに試乗 (2)
AMG C 63とは別モノ
最高出力270kW(367ps)/5,500-6,000rpm、最大トルク520Nm/2,000-4,200rpmというアウトプットに7段オートマチック「7Gトロニックプラス」が組み合わされる。
AMG C 63は、ボディサイズも拡大されているが、C 450 AMG 4MATICは、スタンダードモデルと同サイズ。フロントグリルやスポイラー、リアディフューザー、サイドスポイラーなど外装デザインは、パッと見AMGモデルと区別がつかないほど、ほぼ準じている。ただし、AMGロゴはかなり控え目。スポーティかつスタイリッシュながらも強過ぎない雰囲気が好印象だ。
C 450 AMG 4MATICの試乗は、AMG C 63と同日におこなわれた。それも、「C 63 S」でサーキット試乗を終えた後、である。
通常、上級モデルを先に乗ると、体感的にそれが基準となるため印象が薄れる傾向にある。超辛口の日本酒の後に淡麗なお酒を口にした時のように。あるいは、スイーツの後のフルーツのように。しかし、ハイパフォーマンスをフルに味わった直後であったにもかかわらず、このクルマは、別腹に収まるデザートの如く、まったく別モノとして受け入れられた。
全体的な印象として、軽快な心地良さがある。V6エンジンの回転の上昇の滑らかさ、V8ほど野太くなく澄んだサウンド、フットワークの軽さやタイヤの当たりなど、パワートレーンからランニングギアにいたるまで、スムースに動いている感覚だ。
フロント33:リヤ67にトルク配分する4MATICは、FR的なドライブフィールを残しながら、AWDの安定性がある。
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Cクラスに登場した「AMGスポーツ」第2弾
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妥協のない完成度
AMG同様、走行シーンや好みに応じて「Eco」「Confort」「Sport」「Sport Plus」そして「Individual」の5つのモードを選択できるドライブモードが装備されるので、よりスポーティに走りたければ、スポーツやスポーツプラスの選択肢が残されている。
サスペンションは、C 63とおなじものが奢られているという。スプリング/ダンパーのレートまでまったくおなじというから驚きだ。もちろん、クルマの乗り味はそれだけでは決まらない。重量もちがえば駆動方式、重量配分もちがう。さらに、ブッシュやタイヤのブランド/サイズもことなるが、それにしても、C 63の締まった印象とはちがい、しなやかさのあるライドフィールであった。
さらに言えば、C 63とおなじエンジニアが、おなじ開発プロセスやテストを経て作ったという。ボディ剛性値もほぼおなじとのこと。そう考えると、C 63よりアンダーパワーなぶん、オーバークオリティとも言え、その質感、ゆとりが走りにもあらわれている。全体的なバランスの良さが印象的だった。
C 63 AMGは、トップレンジにふさわしいハイパフォーマンスモデルである。が、かなり厳つく存在感じゅうぶんのエクステリア デザインは、裏を返せばかなり目立つ。メルセデスのエンジニアによれば、多くの国のユーザーは、パフォーマンスがそのままスタイルにあらわれたデザインを好むそうだが、昔のAMGのように、「知る人ぞ知る」アンダーステートメントを好む人には、AMGスポーツモデルはオススメだ。さらに、ウィークデーは奥さんが使い、週末だけ乗る、という方にも、ルックス、快適性、そしてお財布いずれにおいても、女性を説得しやすいだろう。
サーキットのような、格好のステージがあればパフォーマンスを味わえるが、日常においては、AMGだとパフォーマンスをもてあましてしまう、という環境の方もいるだろう。そんな方にも、日常域でじゅうぶんにAMGクオリティを堪能できるこの乗り味はオススメだ。
C 450 AMG 4MATICは、AMGの名に恥じない、妥協のない完成度であった。
Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック
ボディサイズ|全長 4,702 × 全幅 1,810 × 全高 1,429 mm
ホイールベース|2,840 mm
トレッド 前/後|1,578 / 1,554 mm
最小回転半径|5.61 メートル
重量|1,615 kg
エンジン|2,996 cc V型6気筒 ツインターボ
ボア×ストローク|88.0 × 82.1 mm
圧縮比|10.5
最高出力| 270 kW(367 ps)/ 5,500-6,000 rpm
最大トルク|520 Nm / 2,000-4,200 rpm
トランスミッション|7段AT(7Gトロニック プラス)
駆動方式|4WD
サスペンション 前/後|4リンク式 / マルチリンク式
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
0-100km/h加速|4.9 秒
最高速度|250 km/h
燃費(EU値)|7.6 ℓ/100km(およそ13.2 km/ℓ)
CO2排出量|178 g/km
タイヤ 前/後|225/45R18 / 245/40R18
トランク容量|435 リットル
Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC Estate
メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック ステーションワゴン
ボディサイズ|全長 4,717 × 全幅 1,810 × 全高 1,440 mm
ホイールベース|2,840 mm
トレッド 前/後|1,578 / 1,554 mm
最小回転半径|5.61 メートル
重量|1,660 kg
エンジン|2,996 cc V型6気筒 ツインターボ
ボア×ストローク|88.0 × 82.1 mm
圧縮比|10.5
最高出力| 270 kW(367 ps)/ 5,500-6,000 rpm
最大トルク|520 Nm / 2,000-4,200 rpm
トランスミッション|7段AT(7Gトロニック プラス)
駆動方式|4WD
サスペンション 前/後|4リンク式 / マルチリンク式
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
0-100km/h加速|5.0 秒
最高速度|250 km/h
燃費(EU値)|7.7 ℓ/100km(およそ13.0 km/ℓ)
CO2排出量|180 g/km
タイヤ 前/後|225/45R18 / 245/40R18
トランク容量|490-1,510 リットル