メルセデス・ベンツ、最新のCクラスを国内試乗|Mercedes-Benz
CAR / IMPRESSION
2015年4月1日

メルセデス・ベンツ、最新のCクラスを国内試乗|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz C 180 AVANTGARDE|メルセデス・ベンツ C 180 アバンギャルド
Mercedes-Benz C 200 AVANTGARDE|メルセデス・ベンツ C 200 アバンギャルド

万人受けする“無色透明"な味付け

メルセデス・ベンツ、最新のCクラスを国内で試乗する

今年のはじめ、7年ぶりのフルモデルチェンジとしてデトロイトでデビュー。日本にも7月に上陸を果たしたメルセデス・ベンツの新型「Cクラス」に、ついに国内で試乗するチャンスを得た。上級グレード「Sクラス」に匹敵する安全装備をそなえ、デザイン、質感でも肉薄するこの新型は、これからのメルセデス・ベンツのクルマづくりの在り方を変える大きなターニングポイントとなるのか。国内で先行導入される「C 180」「C 200」の2台を大谷達也氏がインプレッション。

Text by OTANI TatsuyaPhotographs by ARAKAWA Masayuki

ネオクラッシクともいうべき、古典的な優雅さし

自動車メディア関係者の間であたらしいメルセデス・ベンツ「Cクラス」の評判がすこぶるいい。海外試乗会に参加した知り合いの話を総合すると、その魅力は主に次の2点に集約できるようだ。

その第一は、内外装のデザインとクォリティ感だ。「CLS」にはじまって「Aクラス」や「Bクラス」、そして「Sクラス」などのデザインを指揮してきたメルセデスのゴードン・ワーグナー氏は、ネオクラッシクともいうべき、古典的な優雅さをあたらしい手法で表現するのを得意としている。

とりわけ、インテリアに関してはこれまであまり見られなかったデザイン手法を次々と取り入れることで、従来のメルセデスに比べると造形面だけでなくクォリティ面でも長足の進歩を遂げたようにおもえる。

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公開されたCクラスの写真を眺めても、ワーグナーの腕がいよいよ冴え渡っていることがわかる。最新のSクラスをそのまま縮小コピーにかけてしまったかのようなスタイリング(実際に比べると意外にも違いが多くて驚かされるが……)は、競争激しいDセグメントの水準を一気に塗り替えたとおもえるほど斬新で、プレミアム感が前面に押し出されている。

しかも、ただ「デザインがあたらしい」というだけではなく、全体的なまとまりがよく、素直に「美しい」とおもえる作品に仕立て上げている点が見事だ。このデザインだけでCクラスを買いたいとおもうひとの気持ちは、私にもよく理解できる。

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万人受けする“無色透明"な味付け

メルセデス・ベンツ、最新のCクラスを国内で試乗する (2)

乗り心地とハンドリングのバランス

新型Cクラスのもうひとつの魅力とされているのは、俊敏なハンドリングと快適な乗り心地の両立らしい。個人的には、Aクラス以降のメルセデスはランフラットタイヤ特有のゴツゴツ感が残っていて、快適性に関してはあまり高い評価が与えられなかった。

かくいう私自身、先代のBMW「3シリーズ(E90)」とおよそ3年間にわたって付きあった経験があるので、ランフラットタイヤのメリットとデメリットはよく承知しているつもり。とりわけ、高速走行中に万一タイヤがバーストするような状況のことを考えると、ランフラットタイヤがもたらす安心感はなにものにも代えがたい。<

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Mercedes-Benz C 200 AVANTGARDE

けれども、それと引き替えに快適性が失われてもかまわないと捉える人は少数派なのではないか。BMWは全社を挙げ、数年がかりで取り組んでようやくこの課題を乗り越えている。それに比べれば、メルセデスはまだランフラットと向き合うようになって日が浅く、洗練度の点でやや遅れをとっているのは仕方ない。

いや、それどころか初期の作品にしてはAクラスの完成度は高かったともいえる。ただし、この点で最近のメルセデスが発展途上にあることは紛れもない事実だ。

ところが、新型Cクラスの海外試乗会に参加したメンバーに聞くと、足回りの仕上がりはめっぽういいという。とりわけ、メルセデスがここのところ熱心に取り組んでいるアジリティ(俊敏性)とのバランスが絶妙だと、複数の関係者が口を揃えていっていた。

その基礎となっているのがアルミを多用した軽量ボディである。その使用率は面積比で実に48パーセントに上り、ホワイトボディの状態で約70kgの軽量化に役立ったという。これが乗り心地とハンドリングのバランス、さらにいえば省燃費性と動力性能のバランスの点においても大きな効果をもたらしているようなのだ。

ここまで褒めちぎられれば、誰だって乗りたくなるだろう。私もその日がいつやってくるかと心待ちにしていたのだが、先日、ようやく国内で試乗するチャンスに恵まれた。しかも、C180とC200の2台に同時に乗れるという。そこで大きな期待を胸に、試乗会場に向かった。

Mercedes-Benz C 200 AVANTGARDE|メルセデス・ベンツ C 200 アバンギャルド

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万人受けする“無色透明"な味付け

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Dセグメントの常識を打ち破る風格

まずは試乗車について簡単に説明すると、C180もC200もアバンギャルドというクレードで、C200のみAMGラインという一種のパッケージオプションが装着されていた。どちらも最新の4気筒直噴ターボエンジンを搭載しているが、C180は1.6リッター、C200は2.0リッターとそのモデル名以上に排気量には大きな差がある。

それとともに注目されるのが、サスペンションの設定。新型CクラスはグレードやAMGライン装着の有無によって5種類の足回りが用意されている。このうち、C180 アバンギャルドはアジリティ コントロール サスペンションが装備されていて、ダンパーには減衰力がストローク スピードによって変化するセレクティブダンピングシステム(先代のCクラスにも搭載されていた)を採用し、車高はノーマルのC180より10mm低いという。バネは金属製のコイルスプリングだ。

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Mercedes-Benz C 200 AVANTGARDE

いっぽうのC200 アバンギャルド AMGラインは電子制御式エアサスペンション“AIRMATIC"というぜいたくな足回りが組み合わされる。バネレートやダンピングレートは状況に応じてさまざまに変化するので一概にはいえないが、車高はノーマルのC180より15mm低いというから、C180 アバンギャルドよりもさらにスポーティな位置づけなのだろう。

ちなみにタイヤはC180がブリヂストン チュランザ TR01(前後とも225/50R17)、C200がブリヂストン ポテンザS001(前225/45R18、後245/40R18)を装着していた。むろん、どちらもランフラット仕様である。

Cクラスと対面しての第一印象は、事前の期待とたがわないものだった。サイズは取り立てて大きいわけではないのに、Dセグメントの常識を打ち破る風格というか存在感がある。ライバルであるBMWやアウディとは異なる方向性を選択したのも賢明だし共感が持てる。したがって、この点ではいち早く試乗した同業者の意見に賛同する。

では、走っての印象はどうか? エンジンの回り方はどちらも滑らかだし、静粛性にも不満はない。また、パワーは1.6リッターのC180でまったく問題なし。よほど高速道路で飛ばしたというひとでなければC180で十分だろう。ざらつき感の少ないスムーズな回転フィーリングにも好感を抱いた。

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Mercedes-Benz C 200 AVANTGARDE|メルセデス・ベンツ C 200 アバンギャルド

万人受けする“無色透明"な味付け

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メルセデスの思想とCクラスの特徴

乗り心地はどうか? 車格のちがいもあって、AクラスやBクラスに比べればはるかに洗練されているが、それでもハーシュネスの点ではいま一歩の改良が待たれる、というのが筆者の正直な印象。

ただし、エアサスペンションではこの領域が大幅に改善されていて、ゴツゴツ感はほとんど気にならなくない。耐久性についてはいろいろな意見を聞くエアサスペンションだが、新車時の快適性でいえば、まちがいなくエアサスペンション付きがお勧めである。

ハンドリングは、たしかに軽快感が感じられるものだったが、そこはなんといってもメルセデス、ドライバーを驚かせるような過敏なところはなく、あくまでも人間の自然な感性に寄り添ったレベルに留まっている。

だから、正直にいってハンドリングに明確な個性というものは感じられなかった。普通の人が何気なく乗ったら、おそらくなんの違和感も覚えないだろうし、万人受けするこの“無色透明"な味付けこそ、メルセデスが狙ったところだったような気がする。

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Mercedes-Benz C 200 AVANTGARDE

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Mercedes-Benz C 180 AVANTGARDE

新型Cクラスでもうひとつ指摘しておきたいのが、安全装備の豊富さだ。もはや半自動運転と呼んで差し支えのないディストロニックプラス(ステアリングアシスト付き)を筆頭に、BASプラス(飛び出し検知機能付ブレーキアシスト・プラス)、PRE-SAFEブレーキ(歩行者検知機能付)、リアCPA(被害軽減ブレーキ付後方衝突警告システム)、アクティブブラインドスポットアシスト、アクティブレーンキーピングアシストなどを含むレーダーセーフティパッケージを装着すれば、360度にわたって最新のテクノロジーで乗る人を守ってくれる。

ちなみに、この装備は最新のSクラスとほぼ同等。この辺の安全性に関する考え方に、メルセデスの思想とCクラスの特徴がもっとも明確に表れているように思われた。

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Mercedes-Benz C 180 AVANTGARDE|メルセデス・ベンツ C 180 アバンギャルド

ボディサイズ|全長 4,690 × 全幅 1,810× 全高1,445 mm

ホイールベース|2,840 mm

トレッド前/後│1,565 / 1,550 mm

車両重量|1,510 kg

エンジン|1,595 cc 直列4気筒 ターボ

最高出力| 115 kW(156 ps)/ 5,300 rpm

最大トルク|250 Nm(25.5 kgm) / 1,200-4,000 rpm

トランスミッション|7段AT

駆動方式|FR

サスペンション 前/後|4リンク / マルチリンク

タイヤ 前/後|225/50 R17

ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ソリッドディスク

トランク容量|445 リットル

燃費(JC08)|17.3 km

価格|467万円

Mercedes-Benz C 200 AVANTGARDE|メルセデス・ベンツ C 200 アバンギャルド

ボディサイズ|全長 4,690<4,715> × 全幅 1,810× 全高1,445<1,430> mm

ホイールベース|2,840 mm

トレッド前/後│1,565<1,575> / 1,550 mm

車両重量|1,540<1,590> kg

エンジン|1,991 cc 直列4気筒 ターボ

最高出力| 135 kW(184 ps)/ 5,500 rpm

最大トルク|300 Nm(30.6 kgm)/ 1,200-4,000 rpm

トランスミッション|7段AT

駆動方式|FR

サスペンション 前/後|4リンク / マルチリンク

タイヤ 前/後|225/50 R17<225/45 R18>

ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ソリッドディスク

トランク容量|445 リットル

燃費(JC08)|16.5 km

価格|524万円<AMGラインのパッケージオプションは35万円>

<>はAMGライン装着時

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