ユニフランス・フィルムズ代表に訊く「フランス映画祭2015」にまつわる5つの話|INTERVIEW
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2015年10月21日

ユニフランス・フィルムズ代表に訊く「フランス映画祭2015」にまつわる5つの話|INTERVIEW

INTERVIEW|ユニフランス・フィルムズ代表、イザベル・ジョルダーノに訊く

「フランス映画祭2015」にまつわる5つの話

最新のフランス映画がいち早く上映されるとともに、フランスから多くの映画人も来日する「フランス映画祭2015」が今年も華やかに開幕。6月26日(金)から29日(月)にかけて12作品の上映のほか、さまざまなイベントが繰り広げられる。OPENERSでは開幕に先駆けて、映画祭を主催するユニフランス・フィルムズの代表、イザベル・ジョルダーノ氏を直撃。どんな基準で作品を選んでいるのか、今年注目のニューフェイスはだれなのか、映画祭にまつわる5つの話を訊いた。

Text by TANAKA Junko (OPENERS)

「フランス映画祭2015」の概要を先に読む

1. ズバリ、フランス映画の魅力とは?

ひとことであらわすなら「ユニーク」ということになるでしょうか。おいしいワインといっしょで定義することは不可能です。映画の制作国別に見ても、フランスほど議論の対象になり、評価され、批判を受け、オマージュを捧げられている国はほかにないのでは。

2. フランス映画祭の作品はどんな基準で選ぶ?

基本的にはフランスで興行成績がよかった作品や、日本で配給されることが決定している作品のなかから選んでいます。同時に、まだ配給が決まっていない作品もラインアップに入れるように意識していますね。今年の上映作品のなかでは、昨年のナンバーワン・ヒット作『ヴェルサイユ家の結婚狂騒曲』と『夜、アルベルティーヌ』がそれにあたります。日本の観客のみなさんは、作家性の高い作品もきちんと評価してくれる豊かな感性をおもちです。ぜひこの映画祭を通して、さまざまなタイプのフランス映画を発見していただきたいですね。

3. 今年、注目のニューフェイスは?

まちがいなくアナイス・ドゥムースティエです! フランソワ・オゾン監督の『彼は秘密の女ともだち』に主演しています。彼女はいま、フランスで引っ張りだこの新進女優で、今年だけでもおそらく4作品ぐらい出演しているのではないでしょうか。先月おこなわれたカンヌ国際映画祭でも、コンペティション部門に出品されたヴァレリー・ドンゼッリ監督の『Marguerite et Julien』に出演して、注目を浴びていました。6月27日(土)には、彼女の舞台挨拶も予定されているので、楽しみにしていてください。

フランス映画祭

4. フランス映画祭の今後の展望は?

フランス文化全体を盛り上げる、カンフル剤のようなイベントにしていきたいと考えています。映画から音楽、モード、ワインそしてシャンパーニュまで。毎年、この映画祭の季節に、日本のみなさんとフランス文化の距離が少しずつ縮まれば、こんなうれしいことはないですね。

5. 医者が処方箋を出すように“症状”別のおすすめ作品を教えて!

食欲を増進させる薬

フランス映画祭

『ポヴァリー夫人とパン屋』
フローベルの小説『ポヴァリー夫人』を基に描いたコミックを、アンヌ・フォンテーヌ監督がユーモラスかつ官能的に映画化。フランスでは4週間連続、興行成績1位を記録した作品です。スクリーンから香り立つパン(この映画の影の主役!)の数々。観終わったあとは、もれなくおいしいパンとチーズを食べたくなるでしょう。

思わず踊り出してしまう薬

フランス映画祭

『EDEN エデン』
ダフト・パンク、ディミトリ・フロム・パリに代表される「フレンチ・タッチ」世代の軌跡をたどりながら、当時のエネルギーや野心を象徴するひとりのDJの成功と挫折、愛と友情を描いた青春ドラマです。「One More Time」をはじめとする劇中歌に耳を傾けているうちに、自然と体がリズムを刻みはじめていることでしょう。

ちがいを受け入れるための薬

フランス映画祭

『彼は秘密の女ともだち』
フランスを代表する名女優8人が豪華共演を果たした『8人の女たち』、カトリーヌ・ドヌーヴ扮する主婦のサクセスストーリーを描いた『しあわせの雨傘』。日本にもファンの多い、華やかで心浮き立つオゾン・ワールドが帰ってきました。一度きりの人生を、自分らしく生きたいと願う“女たち”の物語。偏見を克服し「ちがい」を受け入れる方法を学べるでしょう。

愚かな行為に抗う薬

フランス映画祭

『ティンブクトゥ(仮題)』
本年度のセザール賞(フランス版アカデミー賞)を席巻。アカデミー賞の外国語映画賞部門にもノミネートされた本作は、世界遺産にも登録されているマリ共和国の古都を舞台に、音楽を愛する父と娘がイスラム過激派の弾圧に苦しみ、戦う姿を描いた感動作です。愚かな行為に立ち向かう強さと勇気をあたえてくれるでしょう。

女性たちへの愛に浸れる薬

フランス映画祭

『アクトレス ~女たちの舞台~』(原題:シルス・マリア)
きらびやかな世界に生きる大女優の光と影を描いた極上ドラマ。主演を務めるジュリエット・ビノシュの圧倒的な存在感はもちろん、セザール賞で助演女優賞を受賞したクリステン・スチュワートなど、ハリウッド女優たちの艶やかな演技にも注目です。女性をうつくしく撮ることにかけては右に出るもののいない、オリヴィエ・アサイヤス監督の映像美にどっぷりと浸れることでしょう。

フランス映画祭2015
日程|6月26日(金)~29日(月)
会場|有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(レイトショーのみ)
東京都千代田区有楽町2-5-1
http://unifrance.jp/festival/2015/

上映作品一覧を見る

Isabelle Giordano|イザベル・ジョルダーノ
1963年パリ生まれ。パリ政治学院を卒業後、ジャーナリストとして活動の後、10年にわたってテレビ局で映画情報番組の制作とプレゼンターをつとめる。2009年、フランス芸術文化勲章オフィシエ受勲。2013年にレジオンドヌール勲章シュヴァリエ受勲。同年9月よりユニフランス・フィルムズ代表に就任。フランス文化の海外での普及振興に力を注いでいる。

           
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