メルセデス・ベンツ2025年の警察車両を発表|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz Ener-G-Force|メルセデス・ベンツ エナGフォース
メルセデス・ベンツ 2025年の警察車両を発表?
メルセデス・ベンツは、現在アメリカで開催中の「ロサンゼルスオートショー2012」で、2025年のアメリカ合衆国で活躍しているハイウェイパトロールカーをデザインするコンテスト「デザインチャレンジ」に、同社のSUV「Gクラス」をモチーフにした大型警察車両、「Ener-G-Force」(エナGフォース)を出展した。
Text by OTSUKI Takuma(OPENERS)
未来のアメリカで活躍するハイウェイパトロール・メルセデス
我々が子供の頃、2025年といえば遠い未来の話だった。クルマはみんな空を飛び、銀色のピッチリした服を着て、透明のチューブに覆われた動く歩道に乗って移動している。自分がこの先に体験するであろうにもかかわらず、あまりに「遠い未来」のことで突飛で漠然とした「未来像」しか想像できなかった。
21世紀に入ってすでに11年。それももうすぐ終わる今となっては、2025年という未来は、けっして遠いものではなく、たった12年と1ヵ月後にはやってくる、現実味のある「とても近い未来」なのだ。
そんな2012年の終盤、「ロサンゼルスオートショー2012」では毎年恒例となっている「デザインチャレンジ」というコンテストが開催された。毎年さまざまなテーマに沿って、各メーカーが「未来のクルマ」をデザインするコンテストだ。たとえば過去のテーマを見てみると、2011年は「ハリウッド映画に登場しそうな未来のクルマ」。2010年は「重量1000ポンドのクルマ」。2009年では「2030年の若者車」などのテーマが与えられていた。
そして今年、2012年のテーマは「2025年のハイウェイパトロールカー」というもの。おなじく2025年が舞台となる映画「ブレードランナー」に登場するパトカー、「ポリススピナー」から着想をえたテーマなのでは? と、深読みしてしまう。
そんな「デザインチャレンジ」に、「メルセデス・ベンツ」が送り込んだのが「Ener-G-Force」という、大型四輪駆動のパトカーだ。しかも、他のメーカーがデザインイラストやCGのみでの参加だったのにたいし、コンセプトカーという形で「実物」を製作しての参加、出展となった。
イラストからもわかるように、「Ener-G-Force」はかなり大柄な車格をもったSUVだ。デザインは、1970年代に登場し、今もなお、たかい人気を誇る同社のSUV「Gクラス」をモチーフにしているという。未来のクルマをデザインするさいに、現行のメルセデス・ベンツのラインナップ中で最古のモデルを参考にするとはなかなか大胆である。
現状、想定されるパワートレインは水素エンジン。つまり水素を燃料にした燃料電池車だ。充電池は車体下部のステップ部から床下にかけて収納され、交換を容易にしている。屋根の上に雨水を貯水するタンクを搭載し、これを利用して燃料となる水素をつくりだす。最大航続距離は500マイル(800km)とされるが、雨さえ降れば半永久的に走っていられるのかもしれない。
また、「テレインスキャン」と呼ばれるシステムを採用。これは車体に取りつけられた全方位センサーにより路面状況をスキャンし、このデータを解析してダンパーの減衰力などのセッティングを自動で調整するという。タイヤサイズの詳細は明かされていないが、ホイールのサイズは20インチ。最低地上高もじゅうぶんに確保されており、不整地などでの走破性のたかさをうかがわせる。
2025年は決して遠い未来ではない。あと「たったの12年」である。その時、我々の街を「行き交うクルマ」がこういった夢のあるデザイン、機能を有し、そして地球に優しいクルマであることに期待したい。