新型CクラスにAMG入門モデル「C 450」を追加|Mercedes-Benz
CAR / MOTOR SHOW
2015年3月6日

新型CクラスにAMG入門モデル「C 450」を追加|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC
メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

Cクラス以上、AMG未満

新型CクラスにAMG入門モデル「C 450」を追加

メルセデス・ベンツは、ジュネーブ モーターショーでW205型「Cクラス」ベースの追加モデル「C 450 AMG 4マチック」と発表した。このモデルは、最高出力510ps(375kW)、最大トルク700Nm(71.4kgm)を発揮する「メルセデスAMG GT」譲りの新型V8ツインターボを搭載するメルセデスAMGの「C 63 AMG」と通常モデルのちょうど中間となるラインナップになる。

Text by SAKURAI Kenichi

「AMGスポーツ」というあたらしいポジション

メルセデスは現在、ブランドとブランド名称の再構築をおこなっている。これはモデルレンジをキャラクター別に整理統合するというもので、「メルセデス」のブランド名の次に、通常モデルを示す「ベンツ」、高性能モデルを示す「AMG」、ラグジュアリーモデル示す「マイバッハ」を使用し、それぞれの個性をより明確に打ち出するというリニューアルプランだ。

その意図するものは、AMGもマイバッハも、すべてはクルマを発明したメルセデスという歴史あるメーカー(正しくはブランド名)の製品にほかならないというDNAのアピールと、ライバルと目されるほかのラグジュアリーブランドとの差別化にあるはずだ。

通常モデルのブランドを「メルセデス・ベンツ」とするのは従来どおりだが、AMGをあらたに「メルセデスAMG」と呼び、さらに高級車ブランドのマイバッハを「メルセデス・マイバッハ」とし、メルセデスの次にサブブランドの名称を使用することでファミリーであること、そしてそれぞれのブランドに独自のカラーがあることをわかりやすく示す。

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

メルセデスが擁するこれら3つのブランドにくわえ、さらに「スマート」がプラスされるかどうかは今後の発表を待たねばならないが、従来それぞれ独立し成功を収めてきたブランドをメルセデスのブランド名でカバーし、その下に置くというあらたな動きは、通常の企業が考えるブランド戦略とは逆の発想ともいえる。

下位ブランドのテコ入れとして、上位ブランドの名声を利用するなど、敢えて両ブランドを関連づける必要があるといった特別な事情があるのなら話は別。しかし、メルセデス・ベンツよりもあきらかに上位に位置するブランドとして存在するものを、いかにその母体とはいえメルセデスの名で括るのはじつにチャレンジングだ。

たとえば、レクサスや北米で展開するサイオンは、クルマに少し詳しい人であればすぐにトヨタの別ブランドだとわかるが、どちらも母体であるトヨタを前面には押し出してはいない。インフィニティしかり、アキュラしかり、である。しかしそこまで思い切れるのは、反対に考えれば、メルセデスというブランドのビジネス的ポテンシャルがいかに高いか、ということの証明でもあるような気がする。

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC
メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

Cクラス以上、AMG未満

新型CクラスにAMG入門モデル「C 450」を追加 (2)

適度なスポーツイメージとラグジュアリー装備のAMGスポーツ

さて、今回ジュネーブ モーターショーに登場したのは、昨年のパリ モーターショーでワールドプレミアされた「メルセデスAMG」の「C 63」と「C 63 S」の市販モデルと、「メルセデス・ベンツ」のモデルバリエーションで最高スペックを誇る「AMGスポーツ」と名付けられたシリーズの「C 450 AMG 4マチック」である。

前述のとおり、C 63とC 63 Sは「メルセデスAMG」のラインナップ、対してC 450 AMG 4マチックは、あくまでも「メルセデス・ベンツ」である。C450 AMG 4マチックは、今回のジュネーブが初お披露目の場となった。

C 63は、発表時にも詳報したが、最高出力350kW(476ps)/5,500-6,250rpm、最大トルク650Nm(66.3kgm)/1,750-4,500rpmを発揮するメルセデスAMG GT譲りの4.0リッターV8ツインターボを搭載したFRモデル。よりパワフルなC 63 Sでは、AMG GTに並ぶ375kW(510ps)/5,500-6,250rpmと700Nm(71.4kgm)/1,750-4,500rpmというスペックを叩き出す。

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

いっぽうのC450 AMG 4マチックは、先のデトロイト モーターショーで公開された「GLE 450 AMG クーペ」につづく「AMGスポーツ」シリーズ第2弾である。エンジンはGLE450 AMG クーペとおなじく、最高出力270kW(367ps)と最大トルク520Nm(53.0kgm)を発揮する3.0リッターV6ツインターボを搭載。

ベースとなった「C 400 4マチック」のV6エンジンは最高出力245kW(333ps)と最大トルク480Nm(48.9kgm)というスペックなので、出力が25kW(34ps)、トルクが40Nm(4.1kgm)も引き上げられていることになる。

こうしたパワーアップしたエンジンの搭載や、AMGデザインのアピアランスが、メルセデス・ベンツの通常モデルと高性能モデルのAMGとのあいだに位置するあたらしいバリエーション「AMG スポーツ」を名のる所以である。AMGブランドのコンプリートカーほどハードで本格的なパフォーマンスは望まないが、ノーマルモデルでは物足りないというユーザー向けのメニューで、適度なスポーツイメージとラグジュアリー装備を備える欲張りな仕様ともいえそうだ。

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC
メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

Cクラス以上、AMG未満

新型CクラスにAMG入門モデル「C 450」を追加 (3)

多くの機能をAMGモデルから流用

車名にある「4マチック」の名前が示すように、ベースとなったC 400 4マチック(日本未導入)同様4輪駆動であり、この両車が現在まで新型Cクラスにおける4輪駆動モデルとなっている。最高速度はリミッター作動で250km/hに制限されるが、4駆ならではのトラクションを活かし、0-100km/h加速は4.9秒(ステーションワゴンは5.0秒)という俊足ぶりを披露する。

ノーマルよりもパワーアップしたV6エンジンと組み合わせられるトランスミッションは、定評ある「7Gトロニック」の進化版で、新型Cクラスに全面採用されている「7Gトロニック プラス」である。AMG製となる「AMG スピードシフト MCT 7段スポーツトランスミッション」を採用するC 63およびC 63 Sとはことなるポイントでもあるが、「エコ」から「スポーツ+」まで5つの走行モードを備えた「AMGダイナミックセレクト」で、もっとも過激な「スポーツ+」モードをセレクトすれば、ステアリングホイールに装備されたパドルシフトを用いて電光石火のギアチェンジをおこなえる。

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

さらにC 450 AMG 4マチックでは、メルセデスAMG C 63と同様、電子制御式のショックアブソーバーを用いた3ステージの「AMG ライドコントロール」スポーツサスペンションを装備。

フロント4リンク、リアのマルチリンクサスペンションは軽量化に腐心したオールアルミ製で、長距離移動に最適な快適性重視の仕様や、ロールが少なく俊敏なサーキット向きの仕様、その中間に位置するスポーティなセッティングをスイッチひとつで任意にセレクト可能である。

これら最新電子デバイスのほか、カーブ ダイナミック アシストを備えた3ステージESPなどの恩恵もあり、さすがにAMGモデルと同等というわけにはいかないものの、C 450 AMG 4マチックでもじゅうぶんにスポーティだと思わせるドライビングが楽しめるのは、ハードウェアやソフトウェアなど、多くのソリューションをC 63やC 63 SといったAMGモデルから流用しているからだとメルセデスは説明する。

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC
メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

Cクラス以上、AMG未満

新型CクラスにAMG入門モデル「C 450」を追加 (4)

Cクラス最上級かつAMGの入門として

同様に、エクステリアもAMGのフレーバーが満載だ。大きなエアインテークを左右に持つスポーティな形状のフロントバンパーや、その下に備わるクロームメッキのフロントリップ、サイドスカートから伸びる立体的な形状をボディ後端にまでもたらすリアバンパーなどは、C 63よりもおとなし目だがまさにAMGを名のるにふさわしいデザイン。セダンはトランクリッドにスポイラーが、ステーションワゴンにはルーフスポイラーがそれぞれ装着されることになる。

足まわりは、フロント225/45R18、リア245/40R18のタイヤに、フロント7.5J×18、リア8.5J×18サイズのブラックポリッシュ仕上げ5本スポーク ホイールを組み合わせる。スポーティな外観にマッチするホイールだが、さらにパフォーマンスを強調したいユーザーには、19インチのマルチスポーク デザイン ホイールもオプションで用意されている。

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

Mercedes-Benz C 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ C 450 AMG 4マチック

フラットボトムを採用したD字シェイプのナッパレザー&クローム トリム デザインのステアリングホイールやシート、ダッシュボードトリム、アームレストやドアグリップなどに赤いステッチを施したキャビンもまたAMGのテイストである。

シートは、特に横方向のサポートを強化したAMGスポーツシートを採用。コーナリング中にはコーナーのアウト側のサイドサポートが自動的に膨らみ、ドライバーが感じる横Gを効果的にサポートする。

また、インフォテイメントシステムは、モバイルデータカードもしくはデータオプション付きBluetooth対応携帯電話を用いてインターネット接続が可能。カーナビの目的地検索とGoogleストリートビューを連携できるほか、フェイスブックなどのSNSの利用や天気、ニュース閲覧などがメルセデス・ベンツのアプリを介して走行中も使用することができる。スマートフォンやタブレットPCとのBluetooth接続も、もちろんおこなえる。

このインフォテイメントシステムは、「オーディオ20」と「オーディオ20CD」で7インチの液晶ディスプレイを使用し、よりグレードの高い「コマンドオンライン」と「コマンドオンライン/DVDチェンジャー付き」を選べば、ディスプレイは8.4インチに拡大される。

メルセデス・ベンツの最上級ラインナップとなる「AMGスポーツ」は、「AMGまではいらないが、普通のベンツではいや」というメルセデス ユーザーのニーズを的確に捉えたラインナップとしてハマりそうだ。欧州での正式価格や発売時期などは未公表だが、日本にも確実に導入されるはず。いち早い上陸を期待したい。

           
Photo Gallery