アウディのクロスオーバー スポーツ コンセプト|Audi
CAR / MOTOR SHOW
2015年4月6日

アウディのクロスオーバー スポーツ コンセプト|Audi

Audi Nanuk Quattro Concept|アウディ ナヌーク クワトロ コンセプト

ジウジアーロがデザインを手掛けた

アウディのクロスオーバー スポーツ コンセプト「nanuk quattro」

「フォルクスワーゲン」傘下となった、「イタルデザイン ジウジアーロ」が手がけた「ナヌーク クワトロ コンセプト」は、道を選ばないあたらしい全天候型スーパーカーの提案。400kW(544ps)以上の最高出力と、SUVのような走破性を持つ、これぞ最強のスーパーカーである。

Text by SAKURAI Kenichi

スポーツカーとオフローダーを融合

アウディは、フランクフルト モーターショーで、「ナヌーク クワトロ コンセプト」を公開した。発表は、ショーの前日に行われたフォルクスワーゲン グループが新作をお披露目する前夜祭、「フォルクスワーゲン グループ ナイト」のステージ上で、「ナヌーク クワトロ コンセプト」は自走により登場した。「ナヌーク」とは、エスキモーの言葉でホッキョクグマを意味し、これはかつてアウディが制作したユニークなコマーシャルの中にも登場する名前だ。

ミッドシップスーパーカー、アウディ「R8」のボディを、SUVのQシリーズのシャシーに載せたようなデザインは、あたらしいスポーツモデルのカテゴリーの提案ともいえるもので、デザインは、「フォルクスワーゲン」傘下となった、かの「イタルデザイン ジウジアーロ」が手がけた。

「イタルデザイン ジウジアーロ」は、先のジュネーブ モーターショーでランボルギーニガヤルド」をベースにしたSUVコンセプトカー「パルクール」をすでに発表している。そうしたことからも分かるように、このカテゴリー自体は古くからいろいろなデザイナーが提案してきたもので特に目新しさはないが、アウディがミッドシップスーパーカーの可能性を「イタルデザイン ジウジアーロ」とともに提案したという点があたらしく、注目したいポイントである。

Audi Nanuk Quattro Concept|アウディ ナヌーク クワトロ コンセプト

Audi Nanuk Quattro Concept|アウディ ナヌーク クワトロ コンセプト

「ナヌーク クワトロ コンセプト」は、その高性能ミッドシップスポーツカーのダイナミクスと、RV車の走破性を兼ねそなえた、クロスオーバーコンセプトに進化させたスタディだ。「アウディ」は、これを、「レーストラックでも高速道路でも、またそれが砂の中や雪の中といったオフロードであったとしても、パフォーマンスを存分に発揮できるスポーツカー」と説明する。

ボディは、全長4,541×全幅1,990×全高1,337 mm、ホイールベースは2,710mmというディメンションだ。メインフレームは、軽量アルミニウム アウディ スペースフレーム(ASF)で、これに、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)製の外板を組みあわせている。

「スポーツ クワトロ コンセプト」とは異なり、六角形のシングルフレームグリルの中に、エンブレムを装着しているのは、このコンセプトカーが、アウディのデザインラインとは違うモデルシリーズであることを意味していそうだ。そのいっぽうで、ボディ横に装着された「アウディ R8」の象徴とも言うべき「サイドブレードは、「イタルデザイン ジウジアーロ」の解釈で進化したデザインになっている。

Audi Nanuk Quattro Concept|アウディ ナヌーク クワトロ コンセプト
ジウジアーロがデザインを手掛けた

アウディのクロスオーバー スポーツ コンセプト「nanuk quattro」 (2)

フィールドを問わないスーパーカー

インテリアは、カーボンとアルミ、本革を多用。車両は2シーターで、浮いたようなデザインをもつメータークラスターが特徴となり、リアビューミラーのかわりに小型カメラとモニターの組みあわせも採用している。2つの旅行カバンが入るラゲッジスペースを、車体前方のボンネット下に用意し、実用性も考慮した。

リアアクスルの前に縦置きされるのは、新開発の5リッターV10 TDI。このパワフルなツインターボ ディーゼルエンジンは、400kW(544ps)以上の最高出力をもち、わずか1,500rpmから1,000Nm(102kgm)のトルクを発生する。エンジンのうしろにマウントされた強化型の7段Sトロニックが、クワトロ ドライブ トレインにトルクを伝達する、アウディのお家芸といえるフルタイム4WDシステムを採用している。


車両重量は1,900kgだが、このパワートレーンは、「ナヌーク クワトロ コンセプト」をわずか3.8秒で100km/hに導き、305km/hのトップスピードをもたらすという。その反面、ディーゼルのメリットでもある、リッター13.7kmの低燃費を実現している。

「ナヌーク クワトロ コンセプト」では、前後ともダブルウィッシュボーン サスペンションに、フロント235/50R22、リア295/45R22のタイヤを組みあわせた。ブレーキは、カーボン セラミック ブレーキを採用する。車高は、電子制御式ダンパー付きアダプティブエアサスペンションによって、ドライバーは3段階の最低地上高を設定することができると同時に、駆動速度やナビゲーションシステムによる予測経路データに基づいて、車両が自動的に車高を調整するシステムも搭載する。

また、低速時には、4輪操舵システム(4WS)が作動し、小回りをサポート。後輪が前輪の反対方向に9度まで動き、約5mの最小回転半径をもたらすという。これは実質約1,000mmのホイールベース短縮に相当する。いっぽう高速では、前輪と同じ方向に2.5度後輪を操舵する。これは、反対にホイールベースを約1,400mm延長した効果が得られるといい高速コーナリングの優れた安定性に寄与する。

オフロードも走れるミッドシップスーパーカーの提案は、古くてあたらしいテーマだ。「イタルデザイン ジウジアーロ」の「パルクール」につづく「ナヌーク クワトロ コンセプト」の発表は、スーパーカーをハイウエイの王者から、全フィールドの王へと進化させる可能性を感じさせてくれる。

           
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