トヨタ、次世代燃料電池車技術を「FCV-R」で披露|TOYOTA
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トヨタの次世代燃料電池車技術
コンセプトカー「FCV-R」で披露
ホンダとGMの燃料電池車における提携発表で、日本のメーカーを中心とする次世代パワートレーンの主導権争いが活発化している。BMWと燃料電池車の開発で提携しているトヨタは、リーダーとしての存在感をいっそう高めるため、フランクフルト モーターショーで、燃料電池車の技術プレゼンテーションを行う予定だ。
Text by SAKURAI Kenichi
2015年の市販化に向けたプレビュー
トヨタは、2015年に市販化予定の水素を燃料とした次世代燃料電池車の技術プレゼンテーションを、フランクフルト・モーターショーで行うと発表した。このプレゼンテーションには、2011年の東京モーターショーで発表したコンセプトカー「FCV-R」を、もちいるとされる。
「FCV-R」は全長4,745×全幅1,790×全高1,510mmの4ドアセダン。リッターあたり3.0kWの出力を持つトヨタ製の燃料電池スタックを搭載し、約420マイル(675km)の航続距離を実現している。排出されるのは水蒸気のみとクリーンで、次世代の主力パワートレーンとして注目されている。
これまでの燃料電池車は、燃料電池の重量と水素燃料タンクの大きさ、搭載方法に、制約を受けてきた。しかし、燃料電池スタックのエネルギー効率の向上や、タンクの小型化で、大人4人が乗れる実用的なキャビンスペースと荷室容量の確保が実現した。水素燃料のタンクはふたつに分けられ、車両フロア下に配置されている。
FCV-Rに搭載されている燃料電池スタックでは、-30°という低い温度でもエンジン始動が可能で、大きな動作範囲を有する。
トヨタは、2020年代に「究極のエコカー」といわれる燃料電池車が、一般的なモビリティになるというロードマップを作成。実用レベルの燃料電池車の発売にあたっては、現在の7万ユーロといわれる価格を引き下げ、手の届く価格での提供と、水素補給インフラが整備されると見込んでいる。
燃料電池車では、先日、ホンダとGMが次世代の基幹システム開発で提携を発表。日産は、メルセデス・ベンツ、フォードとの3社連合を形成し、2017年の発売を目指すなど、日本の自動車メーカーをキーマンとした、燃料電池車をめぐる次世代パワートレーンの主導権争いが活発化している。トヨタはBMWと共同開発に合意し、本格普及を目指しているが、独自路線のフォルクスワーゲンの動向なども気になるところである。