近頃のボルボの底力を見た──ボルボ XC40のPHEVに試乗|VOLVO
CAR / IMPRESSION
2020年9月24日

近頃のボルボの底力を見た──ボルボ XC40のPHEVに試乗|VOLVO

首都高をエンジンのみで走っても平均燃費は14.7㎞/ℓをキープ

しかもXC40リチャージに積まれる1.5リッターターボは、180ps/260Nmとかなりハイチューンでトルキーでもある。PHEVの矛盾とは、バッテリー残量が少ないと途端に効率の悪いICE車でしかないことだ。並のPHEVは大排気量エンジンと組み合わされ、バッテリーによる車両重量増と、バッテリー消耗時のパワーとトルクの低下を誤魔化しているが、電気モーターが使えていた間とは対照的に、燃費の悪化までは御し切れていない。
ところがXC40リチャージPHEV T5は、バッテリー残量がほぼゼロで、首都高をエンジンのみで走っても、直近の平均燃費は14.7㎞/ℓをキープした。カタログ値では高速道路モードで15.1㎞/ℓなので、本来のパフォーマンスといえるだろう。確かに満充電かつEVモードで出発した頃は、それこそ21㎞/ℓを示すほどだったが、半日の間に徐々に平均燃費が下がってくるのは仕方がない。それでも下のキリが、ここまで粘ってくれることに、ちょっと驚いたのだ。
たいていのPHEVは、満充電で出発できる環境で半径30㎞程度の生活圏で乗る限り、ほぼEVとして機能し、遠乗りの頻度が少ないほどガソリンスタンドに行く機会が減る。BEVと違って外出先で電欠の心配はないものの、遠出の際の燃費悪化が懸念材料で、週末のちょっとした旅行などで心理的なブレーキがかかるのが従来、最大の欠点だった。ところがXC40リチャージは、その最低ラインの歩留まりを、高エフィシェンシ―のダウンサイジングターボに任せることで、明らかにケアしている。
もう一つ特筆すべきは、ボルボの開発による7段DCTは、電気モーターからの動力をリバースと2-4-6速へ、1.5リッターターボは1-3-5-7速へと、2系統それぞれのクラッチで伝達する。パワーモードでは両つながりの局面もあるが、DCTの特性を活かして、動力切替をシームレスかつコースティングやエネルギー回生の効率含め、少ないロスで行っているのだ。
かようにXC40リチャージPHEV T5は、既存の技術を巧みに再構成しながら、コンパクトPHEVとしてきわめて戦略性に富んだ仕上がりといえる。急速充電の月々プランに加入する必要も、充電ステーションでのマナーをまだ覚える必要もないが、エンジンの存在が限りなく希薄なコンパクトPHEVで、EV状態で走る静けさとなめらかさに慣れたオーナーは、おそらく数年後、次はBEVにしてみようと思うはずだ。コンパクトPHEVというまだ未成熟のジャンルで、そんな説得力に満ちた一台を提案できるところに、近頃のボルボの底力を見た気がする。
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