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IMPRESSION
2020年9月24日
近頃のボルボの底力を見た──ボルボ XC40のPHEVに試乗|VOLVO
CセグメントのSUVとして期待通りの軽快なフットワーク
試乗車のボディカラーは「グレイシャーシルバーメタリック」という新色で、少し青のニュアンスがあって氷河のように陰影の諧調を豊かに見せる、限りなく白に近いシルバー。ナッパレザーのインテリアはベージュとチャコールグレーで、ボディと同系色だが温感コントラストで温かみを演出している。
一方で、アルミニウム製のエアコンのベンチレーターダイヤルやドアノブ、マットなドリフトウッドのパネル、オレフォス社製クリスタルのシフトセレクタにウールのドア内張など、フェイクでない素材感そのままのマテリアルを用いたインテリアは、もはや独壇場といっていいボルボ・ワールドでもある。これまで、XC40というとR-デザインに代表される鮮やかで元気なコントラストやツートーンが多かっただけに、今回のXC40リチャージになって随分と大人びて見えるものだ。
新しい3気筒エンジンにはアイドリングストップ機能は付くものの、市街地のリスタートはほぼ百発百中でEV走行、つまり電気モーターでこなしてしまう。そのため再始動で振動が伝わってくることがない。ドライブモードを「ピュアモード」にセレクトすると135㎞/hまで電気モーター固定だが、「ハイブリッド・モード」でもエンジンがなかなか介入してこない。少なくともメーターパネルの右下、バッテリー残量が残っている間は、よほどのベタ踏みをしない限り、積極的にEVであろうとする。
最大航続距離は約41㎞とされているが、例えば高速道路を下りた先の市街地でもEV走行がある程度できるよう、タッチスクリーン内でバッテリーのプロパティを呼び出すと、○%というかたちで任意の残量を予約キープすることも可能だ。ただしこの設定は一度電源を落として再始動した時にはメモリーされず、途中で休憩を挟んだ時などにリセットされてしまう。
そこが使い勝手の上で感じた数少ない不便だが、CセグメントのSUVとして期待通りの軽快なフットワークに、期待以上のなめらかさと静かなマナーが伴うことは確かだ。加えてもう一つ感心させられるのは、バッテリー残量がほぼゼロになった時でも、燃費が思ったより荒れないことだ。エアコンや安全装置などのオンボード機能を維持するため、バッテリー容量内にはデフォルトで、動力に割かない一定量が確保されているものだが、そこにBモードやブレーキ、下り坂、あるいはエンジンの燃焼によって多少なりとも動力分が蓄積されると、こまめに再び、電気モーターが働きだす。