ジュネーブショー2018リポート ショーの華、コンセプトモデルが示す"未来"
Geneva Motor Show 2018|ジュネーブ モーターショー 2018
ジュネーブショー2018リポート2
ショーの華、コンセプトモデルが示す"未来"
歴史あるモーターショーであるとともに、地元に大きなメーカーを持たない地の開催ということも相まって、毎年、非常に国際色豊かな展示で盛り上がりをみせるジュネーブモーターショー。その2018年現地リポート後編では、ショーの華でもあり、ブランドの未来を知ることのできるコンセプトモデルを中心に報告する。
Text & Photographs by OGAWA Fumio
電動化のフォルクスワーゲングループ
2018年のジュネーブモーターショーは百花繚乱。ハイパースポーツカーあり、SUVあり。そのなかで注目は、コンセプトモデルである。
コンセプトモデルとは(わざわざ説明もいらないだろうけれど)メーカーの将来に向けての方針をかたちにしたクルマ。市販車と近い場合もあれば、かなり大胆なときも。
2018年の特徴は、環境適合車の提案が多かったことだ。好個の例はポルシェ。2015年のフランクフルトモーターショーで公開したEVのコンセプト「ミッションE」を発展させた「ミッションE クロスツーリスモ」をお披露目した。
そもそもミッションEはパナメーラに代わる(?)新世代セダンのコンセプト。電気モーターで4輪を駆動する。ポルシェによると800Vの急速充電システム対応がセリングポイントでもある。
同じグループ企業であるフォルクスワーゲンは、やはりEVのコンセプトモデルをずらりと並べた。ジュネーブで初公開となったのは「I.D.ビジョン」というセダン。
EVであり、かつ自動運転システムに対応する技術のショーケースである「ID」シリーズに追加されたモデルである。かつての「Ro80」を思わせるスタイルはエレガントだが全長5メートル超とサイズは大きい。
ずらりと並んだIDシリーズで共通するのは自動運転(2025年ごろをVWでは想定しているとか)を前提としたコクピットデザインだ。とくに興味深いのは格納式ステアリングホイールのコンセプトである。
Geneva Motor Show 2018|ジュネーブ モーターショー 2018
ジュネーブショー2018リポート2
ショーの華、コンセプトモデルが示す"未来"(2)
アウディは空飛ぶクルマの提案も
環境適合車としては、ボルボグループのポールスターによる美しいハイブリッドクーペ「ポールスター1」も人気だった。近い将来、EVの「ポールスター2」も手がけると発表されている。
BMWは「コンセプトM8 グランクーペ」を展示した。こちらは2019年の発売が噂されている。「8シリーズ」は従来の「6シリーズ」に代わるもので、すでにクーペもコンセプトモデルが発表されている。
大型サイズのパーソナル性の強いモデルとして「7シリーズ」と双璧をなそうというのが、8シリーズに対するBMWの計画のようだ。ジュネーブでのショーモデルはイエローのランプが特徴的だった。
アウディ傘下のイタルデザインではアウディ「R8」などと共通の5.2リッターV10搭載のレーシングスポーツコンセプト「セロウーノ・デュエルタ」を発表した。
「デュエルタとは(トリノがある)ピエモンテ地方の方言で“オープン”を意味します」とするイタルデザインによるロードスターコンセプト。Y字型のプレスラインによる空力ボディがとりわけ注目点のようだ。
同時にイタルデザインでは、アウディ、そしてエアバスと共同開発の「ポップアップネクスト」(Pop. Up Next)なる未来のモビリティ提案も。
「次の50年を念頭に自動車の将来像を考えました」というように、空を飛ぶクルマの提案だ。2017年のジュネーブで最初にお披露目された将来の交通渋滞などのソリューション提案だ。
ドローン型のプロペラと合体することで垂直離着陸できることが謳われている。「アーバン フューチャー イニシアティブ」として過密化する都市でのモビリティを考えてきたアウディとの合同プロジェクトというのが面白い。