アウディS6、S6アバント & S7スポーツバック同時試乗|Audi
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2015年1月27日

アウディS6、S6アバント & S7スポーツバック同時試乗|Audi

Audi S6|アウディ S6
Audi S6 Avant|アウディ S6アバント
Audi S7 Sportback|アウディ S7スポーツバック

ライバル不在!? 孤高のマシン

アウディS6、S6アバント & S7スポーツバック同時試乗

先日日本でも一挙発売となったアウディSモデル。その試乗会が開催され、OPENERSでは、「S6」、「S6 アバント」、「S7スポーツバック」、「S8」のすべてを小川フミオ氏とともにテストする機会を得た。ここでは、最高出力309kW(420ps)の4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載し、比較的競合するS6、S6 アバント、S7スポーツバックをピックアップ。たんに、ボディ形状のちがいにとどまらない、乗り味の差をもったこの3モデル。ベストバイはどれだ!?

Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki

アウディSモデル、4台そろい踏み

アウディ ジャパンがいっきに日本発売した高性能な「Sモデル」。「S6」および「S6アバント」、「S7スポーツバック」、「S8」と4モデルがそろった。たしかに、マーケットがことなるから、意味のないことではない。しかし、S6とS7は、比較的近い立ち位置のモデルだ。

S6および、そのステーションワゴン版であるS6アバント、そしてS7スポーツバックはともにエンジンを共用する。インタークーラー付きターボチャージャーを2基備えた、3,992cc V型8気筒だ。

7段デュアルクラッチ式「Sトロニック」トランスミッションと、フルタイム4輪駆動「クワトロ」が組み合わせられるのも共通している。

Audi S6 Avant|アウディ S6 アバント

Audi S6 Avant|アウディ S6 アバント

Audi S7 Sportback|アウディ S7 スポーツバック

Audi S7 Sportback|アウディ S7 スポーツバック

ライバルを探る

S6とS7スポーツバックを、ベースになったA6およびA7スポーツバックと比較すると、A6 3.0 TFSI(835万円)およびA7スポーツバック3.0 TFSI(879万円)がともに3.0リッターV6ターボユニットから最高出力310ps、最大トルク440Nmを発生するのにたいして、S6とS7スポーツバックは420psの最高出力と550Nmの最大トルクを発生する4.0リッターV8ターボユニットを搭載している。価格はS6が1,180万円、S6アバントが1,210万円、そしてS7スポーツバックが1,224万円となる。

この3台のSモデルをライバルと比較すると、なかなか絶妙な位置づけにあることがわかる。メルセデス・ベンツでは「S350」(1,085万円)、BMWでは「740i」(1,010万円)といったトップクラスのモデルが価格的には近い。

A6やA7スポーツバックのライバルになるのは、メルセデス・ベンツ「E350」(875万円)や、BMW「535i」(840万円)だが、こちらとSモデルとでは価格差が大きい。

Sモデルがより高価な理由は、特別な内外装と、抜きんでた性能に求められる。むやみに比較するより、よりスペシャルなモデルがアウディにはあると考えるほうがいいかもしれない。

では、S6、S6アバント、そしてS7スポーツバック、どのモデルがいいのか。手頃なサイズのパーソナルカーを探しているひとには、迷う3台だろう。

Audi S6|アウディ S6

Audi S6|アウディ S6

昨今はファストバックボディのA7の人気が高いようで、それは、発売後3年を経過したEクラスや、完成度は高いが地味な印象がある5シリーズとはことなる、パーソナルな雰囲気ゆえと考えると理解しやすい。そこに、さらなる高性能エンジンを搭載したSモデルの投入だから、コンテンツとしては強力だ。

Audi S6|アウディ S6
Audi S6 Avant|アウディ S6アバント
Audi S7 Sportback|アウディ S7スポーツバック

ライバル不在!? 孤高のマシン

アウディS6、S6アバント & S7スポーツバック同時試乗 (2)

現代にふさわしい高級車

3モデルとも排気量をあえて4リッターにおさえ、過給によって、高効率をねらっているのが現代的だ。さらにある条件下で4気筒として動く「シリンダーオンデマンドシステム」や、「エネルギー回生システム」など、ハイパワーと、できるだけ燃費をかせごうという機構の両立は、いまの時代の高級車にふさわしい考えのようにおもえる。

Audi S6|アウディ S6

Audi S6|アウディ S6

同時に、演出もぬかりない。各パーツ接合面のギャップの調整にはじまり、合成樹脂パーツの色あわせ、金属や木材のていねいな表面処理と適切な使用によって、高級感がみごとにかもし出されている。

Sスポーツシートと呼ばれる専用デザインのハイバックシートの採用も、Sモデルのキャラクターを明確にしている。シート座面と背中があたるところには、ひと昔前のスポーツカーを彷彿させる好ましいデザインのクロススティッチが施され、ある種の美をうまく演出している。

Audi S6|アウディ S6
Audi S6 Avant|アウディ S6アバント
Audi S7 Sportback|アウディ S7スポーツバック

ライバル不在!? 孤高のマシン

アウディS6 、S6アバント & S7スポーツバック同時試乗 (3)

いざ、ドライブへ

S6、S6アバント、S7スポーツバックの3モデル、操縦してどうなのか。ひとことでいえば、パワフルで、かつ足まわりがよく、そして豪華、となる。

エンジンはトルクがたっぷりとあり、ハンドリングも上質。「アウディ ウルトラ」という軽量素材を多用したシャシーだが、快適性も充分にある。これが基本的に共通する魅力だ。そこにくわえて、「アウディ ドライブセレクト」機構の存在感が大きい。

このシステムは、エンジンのレスポンス、変速プログラム、ステアリング特性などを室内のボタンで選択できるもの。すでにアウディ各モデルでもおなじみだろう。

Sモデルではとりわけこのシステムの恩恵を感じる。

「コンフォート」モードを選ぶと、エンジンの太いトルクに乗るように、クルマは滑るがごとくのなめらかな走りを体感させる。ステアリングもアシスト量が多く、操舵感は軽い。

Audi Drive Select|アウディ ドライブセレクト

「ダイナミック」モードにシフトすると、「Sモデルはすばらしいクルマだ!」と感心させられるほど、クルマのキャラクターが変わる。アクセルペダルのほんの少しの動きに敏感に、エンジンはたっぷりしたトルクを出し、クルマははじかれたような加速を見せる。

ステアリングホイールをとおして感じる操舵感は重めになり(おもしろいのはメルセデスをどこか連想させるフィールがあることだ)、切り込むときの感覚は微細な域から確実で、かつ、高速道路での直進時に不安はみじんも感じさせない。クルマが意のままに動く感覚だ。

Audi S6|アウディ S6

Audi S6|アウディ S6

Audi S7 Sportback|アウディ S7 スポーツバック

Audi S7 Sportback|アウディ S7 スポーツバック

パワーユニットは(2,000rpm付近で多少トルクの落ち込みはあるものの)ごく低回転域から力を出し、3,000rpmを超えると、驚くほどの加速性を味わわせてくれる。ステアリングホイール背後に設けられたパドルシフトを使い、高回転域を使って走ると、スポーツカーのような楽しさを感じるほどだ。

アダプティブエアサスペンションの働きで、低速域では路面の凹凸をていねいに吸収するいっぽう、高速では路面に吸い付くようなすばらしい乗り味が実現されている。

Audi S6|アウディ S6
Audi S6 Avant|アウディ S6アバント
Audi S7 Sportback|アウディ S7スポーツバック

ライバル不在!? 孤高のマシン

アウディS6、S6アバント & S7スポーツバック同時試乗 (4)

ベストバイはどれだ!?

キャラクターが少しずつことなる3つのモデルがそろったわけだが、では、ベストはといえば、個人的にはS6を推す。なんとなれば、S6はハッチゲートをもたないぶん開口部が少ないので室内静粛性がもっとも高く、静かで、快適で、かつ楽しい、という高級スポーツセダンの要件をかなり高い次元で満たしているからだ。

S6アバントにしてもS7スポーツバックにしても、甲乙つけがたいよさがあるが、高速域では長いルーフあるいはハッチゲートのまわりからの風きり音の侵入が気になってくる。

ただしそれは後席乗員にとって、という意味で、もしS7スポーツバックを“2プラス2”と割り切って乗るつもりなら、これもまたよい選択になるだろう。

Audi S7 Sportback|アウディ S7 スポーツバック

Audi S6|アウディ S6

メルセデス・ベンツなら「AMG」、BMWなら「M」と、ライバルにもすばらしい出来のスペシャルティラインが設定されている。しかし価格的には、たとえばメルセデス・ベンツ「E63 AMG」で1,495万円、BMW「M5」でやはり1,495万円と、アウディS6の1,180万円よりだいぶ上だ。

アウディにはRSという、AMGやMに性能で真っ向からぶつかるラインもあるが、「RS6」の登場はもうすこし先になる。なにより、AとRSのあいだに位置するSモデルの、快適性とスポーティ性の上手な両立は、コストパフォーマンスが高い。おとなのためのクルマがSモデルだ。

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Audi S6|アウディ S6

ボディサイズ|4,930×1,875×1,445mm

ホイールベース|2,910mm

トレッド(前/後)|1,610/1,600 mm

エンジン|3,992ccV型8気筒DOHCツインスクロールツインターボ

最高出力|309kW(420ps)/5,500-6,400 rpm

最大トルク|550Nm(56.1kgm /1,400-5,200 rpm

重量|2,020kg

トランスミッション|7段Sトロニック

駆動方式|クワトロ(フルタイム4WD)

トランク容量|530リットル

燃費|9.6km/ℓ(JC08モード)

CO2排出量|242g/km

サスペンション 前|5リンクダブルウィッシュボーン スタビライザーバー エアサスペンション

サスペンション 後|トラペゾイダルウィッシュボーン スタビライザーバー エアサスペンション

ブレーキ|ベンチレーテッドディスク

タイヤ|255/35 R20

価格|1,180万円

Audi S6 Avant|アウディ S6 アバント

ボディサイズ|4,940×1,875×1,475mm

ホイールベース|2,910mm

トレッド(前/後)|1,610/1,600 mm

エンジン|3,992ccV型8気筒DOHCツインスクロールツインターボ

最高出力|309kW(420ps)/5,500-6,400 rpm

最大トルク|550Nm(56.1kgm /1,400-5,200 rpm

重量|2,060kg

トランスミッション|7段Sトロニック

駆動方式|クワトロ(フルタイム4WD)

トランク容量|565/1,680リットル

燃費|9.6km/ℓ(JC08モード)

CO2排出量|242g/km

サスペンション 前|5リンクダブルウィッシュボーン スタビライザーバー エアサスペンション

サスペンション 後|トラペゾイダルウィッシュボーン スタビライザーバー エアサスペンション

ブレーキ|ベンチレーテッドディスク

タイヤ|255/35 R20

価格|1,210万円

Audi S7 Sportback|アウディ S7 スポーツバック

ボディサイズ|4,990×1,910×1,420mm

ホイールベース|2,915mm

トレッド(前/後)|1,630/1,620 mm

エンジン|3,992ccV型8気筒DOHCツインスクロールツインターボ

最高出力|309kW(420ps)/5,500-6,400 rpm

最大トルク|550Nm(56.1kgm /1,400-5,200 rpm

重量|2,070kg

トランスミッション|7段Sトロニック

駆動方式|クワトロ(フルタイム4WD)

トランク容量|535リットル

燃費|9.6km/ℓ(JC08モード)

CO2排出量|242g/km

サスペンション 前|5リンクダブルウィッシュボーン スタビライザーバー エアサスペンション

サスペンション 後|トラペゾイダルウィッシュボーン スタビライザーバー エアサスペンション

ブレーキ|ベンチレーテッドディスク

タイヤ|265/35 R20

価格|1,224万円

           
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