「Sクラス クーペ」のプレビュー公開|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz Concept S-Class Coupe|メルセデス・ベンツ コンセプト S クラス クーペ
次期フラッグシップモデル
「Sクラス クーペ」のプレビューを公開
「コンセプト Sクラス クーペ」というネーミングからもわかるように、フランクフルト モーターショー 2013でワールドプレミアされたメルセデス・ベンツのデザインスタディは、新型「Sクラス クーペ」のプレビューである。「Sクラス」のパワートレーンをもちいたパフォーマンスや、安全装備もSクラスゆずり。ワイド&ローを強調した、伸びやかなスタイリングが最大の特徴になる。
Text by SAKURAI Kenichi
時代を経てもかわらぬ豪華さと美しさ
伝統的にメルセデス・ベンツのトップモデルは、クーペでなければならない。それを具現化したデザインスタディが、「コンセプト Sクラス クーペ」だ。フランクフルト モーターショーで初公開されたモデルからも、そうしたメルセデスのかわらぬ伝統と、ビジョンが確認できる。
新型「Sクラス」サルーンをベースに開発されたこのコンセプトカーは、まもなく登場する次期「CLクラス」、もしくは「E クラス クーペ」にならい“コンセプト”という前置きが取れた「Sクラス クーペ」という名称に改められるかもしれないが、メルセデスのフラッグシップクーペの登場を予告するものだ。
現状ではSクラスのファミリーであることを明確にするため、Sクラス クーペというネーミングが採用される公算が高い。公開されたモデルは、ショー用の“衣装”をまとっているものの、このデザインスタディからも、全体的な雰囲気はつかめるはずだ。部分によっては、細かな意匠もそのまま生産車に流用されるはずである。
全長5,050×全幅1,958×全高1,409mmの堂々とした体躯をもち、ホイールベースは2,945mmと、3,035mmを誇るSクラスよりも90mmショートホイールベース化がほどこされている。Sクラス比でいえば、全幅は59mm広く、全高は84mmも低い。クーペらしいロングの伸びやかなフォルムと、ノーズワイド&ローのプロファイルが実感できるはずだ。
Mercedes-Benz Concept S-Class Coupe|メルセデス・ベンツ コンセプト S クラス クーペ
次期フラッグシップモデル
「Sクラス クーペ」のプレビューを公開 (2)
クラシカルな雰囲気と最新技術の融合
ボディサイドを走る独特のラインと、ボンネットに用意された“パワードーム”と呼ばれる盛り上がりは、「CLA クラス」でも採用されたモチーフ。浮かび上がるようなフロントグリルもすでにCLAでもちいられた意匠である。
細いテールランプのデザインや、高いベルトライン、強調されたホイールアーチも、エクステリア上のトピックスであろう。そのホイールアーチが包み込むのは、21インチサイズのホイールで、コンセプトモデルには、フロント265/35R21、リア295/35R21サイズのタイヤを装着した。
デザインは、誰もがおもい起こすラグジュアリー クーペそのもので、圧倒的なあたらしさはないが、ステイタスシンボルにふさわしいアピアランスといえそうだ。現行CLクラスやEクラス クーペ同様Bピラーのないピラーレス ハードトップとしたグラスエリアは、CL クラスにくらべその面積が狭められたものの、開放感の高いデザインを採用している。
いっぽう、インテリアはSクラスのデザインを踏襲しつつも、ダッシュボード中央水平部を立体的に強調した形状を採用。ホワイトのインパネに縦のラインをあしらったホワイトのシートを組みあわせ、クラシカルな雰囲気を出しつつ、あたらしい提案をおこなっている。
エアバッグシステムを新形状にしたことで、こうした独特のデザインが可能になったという。メーターは、Sクラスにも採用された12.3インチの液晶画面を2枚横に並べたもの。生産モデルで、どこまでこのインテリアを再現し、Sクラスとの差別化をはかるのかが楽しみである。
パワートレーンは、総排気量4,663ccのV8ツインターボエンジン。これは日本に導入されている「S550 ロング」にも搭載されているエンジンで、最高出力335kW(455ps)、最大トルク700Nm(71.3kgm)を発生する。“インテリジェント ドライブ”と呼ばれる安全装備もSクラスゆずりだ。
ステレオカメラを搭載したことにより、車両前方約50メートルまでの領域で三次元ビューを取得可能で、レーダーや超音波センサーとの組みあわせられる “6D Vision”をもちい、車両の周囲にあるものやそれらの動きを検知できるほか、最大500mまでの範囲にわたって先行車両を監視できる。ボディはピラーレスの2ドア クーペスタイルだが、パワートレーンや安全システムなどハードは、現状の最高峰であるSクラスから受け継いでいる。
2012年の北京モーターショーで発表された「コンセプト スタイル クーペ」が生産車のCLA クラスになったように、モーターショー用の「コンセプト Sクラス クーペ」というコスチュームを脱いだ「Sクラス クーペ」が、いったいどのようなデザインで登場するのか、いまから期待は高まる。生産車の発表は、2014年と予想されている。