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2021年12月6日
SAKE HUNDRED生駒龍史 ✕ 山梨銘醸 醸造責任者 北原亮庫スペシャル対談|SAKE HUNDRED
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――同じスパークリングとして、シャンパーニュとどう違うのかと聞かれることも多いのでは?
北原 日本酒とワインは同じ醸造酒ですので同一視されがちですが、穀物由来と果実由来とで、そもそもの味覚構成が大きく違います。たとえば穀物は果実特有の酸を持ちません。それぞれが独立したものであり、比較できるものではないと思っています。
生駒 僕自身はシャンパーニュの価値軸のなかに、スパークリング日本酒を当てはめるのではなくて、スパークリングワインの幅にスパークリング日本酒の幅を加えたい。それが「SAKE HUNDRED」の考え方です。
そうすればお客さまは、この料理にはブドウ由来のスパークリングがいいか、穀物由来のスパークリングがいいか、選ぶ楽しさが広がります。お客さまの幸せの価値が高まり、豊かな時間を創出できるのです。
――価格のこと、いろいろと問われませんか?
生駒 僕自身は日本酒と長く付き合っていくなかで、常々“ポテンシャルに対して安すぎる”と痛感していますし、公言しています。一方で、酒蔵を取り巻く環境は、なかなか変化することができない、過去の常識から抜け出せていないとも感じます。
かつて日本酒は国税の徴収率1位だった時期があって、効率的な収税の手段でした。そして税収を上げるために国が取った手段が、売った金額ではなく、売った量に課税すること。つまり、安い酒をたくさん売ってくださいね、ということでした。
戦争が終わって、次に来るのが高度成長期です。すると、市場は“いいものを安く売る”ことを求めました。酒蔵もそれに合わせて一生懸命研究して、美味しいお酒を手軽な値段で提供してきたのです。事実、いまも美味しくて安価なお酒がたくさんあります。
ところが、ここで置き去りになったのが“付加価値のある高品質なものを追求する”という発想です。薄利多売のビジネスは、需要が多くあればいいですが、現実問題として安価な日本酒の販売量は落ちています。その一方で、数千円・数万円するような高級酒へのニーズは高まっています。
安いものをたくさん飲むという時代から、いいものを嗜んでいくという思考に価値観が変わってきたのです。
「SAKE HUNDRED」が造っているお酒は、そもそも新たな醸造技術や設備を多く取り入れています。かけている時間も、投入する技術レベルも昔とは違います。だからこそ、先に述べたような「深星」の味わいを創出することができる、そう考えています。
――「深星」は2021年10月7日に発売されましたが、いまのお気持ちはいかがですか?
北原 自分の子どもを送り出すような気持ちですね。とはいえ、送り出しておしまいではありません。これからも、ときに手を差し伸べ、ときに厳しく、生駒さんたちとともに育んでいければいいですね。
今後はいろいろなスパークリング日本酒が参入してくると思います。それらが時間とともに淘汰され、再び新しいお酒が登場しては淘汰される。これが繰り返されて、お酒も市場も成熟していきますし、最後に本質を突いた製品だけが残っていくだろうと思います。
シャンパーニュがいまのような地位を確立するのに何百年もかかっています。現代の状況を鑑みれば、もう少し短時間でスパークリング日本酒は同じことを成し得るかもしれませんが、それでも僕の代でその世界が見られるとは、露ほども思っていません。
いまやっていることは、すべて次代のため。自分は種蒔き期の生みの親に過ぎません。だからこそ、ちゃんとした種を蒔いておきたいです。
生駒 「SAKE HUNDRED」とは、“世界の一流シェフやソムリエに愛されるお酒でなければいけない”と思っています。まだ生まれたばかりのよちよち歩きですから、まずは多くの方々に愛される存在になるよう、これから丁寧に育てていくつもりです。
問い合わせ先
SAKE HUNDRED
https://shinsei-sakehundred.com/
価格|3万5200円(税込/送料別)
製造者|山梨銘醸(山梨)
原料米|山梨県産夢山水100%
精⽶歩合|67%(麹⽶57% 掛⽶67%)
アルコール分|12.0%
日本酒度|-7
酸度|2.4
アミノ酸度|1.5
火入れ|1回
内容量|720ml