シャングリ・ラ東京発、農口尚彦研究所が生み出したオリジナル日本酒

EAT｜シャングリ・ラ東京×農口尚彦研究所オリジナル日本酒

東京・丸の内のラグジュアリーホテル「シャングリ・ラ東京」が、石川県の名門酒蔵「農口尚彦研究所」と手を組み、初のオリジナル日本酒を開発。日本料理「なだ万」（ホテル29階）および「ザ・ロビーラウンジ」（28階）にて提供がスタートした。

Text by WASEDA Kosaku

「酒造りの神様」とラグジュアリーホテルの邂逅

農口尚彦氏は1932年、能登杜氏の家系に生まれる。16歳から酒造りの世界に入り、わずか27歳で石川県の名酒「菊姫」の杜氏に抜擢。能登杜氏四天王の一人として名を馳せ、その後も鹿野酒造などで杜氏を歴任した。日本酒業界に多大な影響を与え、1970年代に衰退していた日本酒市場に「吟醸酒」ブームをもたらした立役者でもある。

そして、戦後失われかけていた「山廃仕込み」の技術を蘇らせたことでも知られている。全国新酒鑑評会では通算27回の金賞を受賞。2023年時点で70年以上にわたって日本酒造りに関わり、その集大成として2017年には「農口尚彦研究所」を創設。後進の育成と技術の継承を行いながら、いまも現役として酒を醸し続けている。

シャングリ・ラ東京のスタッフが数年前、偶然口にした農口氏の日本酒に感銘を受けたことから、プロジェクトは動き出した。ラグジュアリーホテルとして「唯一無二のオリジナル日本酒を造りたい」という長年の想いが、農口尚彦研究所との接点を生んだのだ。

以来、両者は幾度にもわたる打ち合わせと試飲を重ね、「料理と寄り添う酒」をコンセプトに、理想の味わいを追求してきた。完成した日本酒は、農口尚彦研究所が誇るヴィンテージの中から、2020年と2021年に仕込まれた3種類の山廃造り日本酒を特別にブレンドしたものだ。

ブレンド内容は「山廃大吟醸 2020」40パーセント、「山廃純米大吟醸 2020」30パーセント、「山廃大吟醸 2021」30パーセント。いずれも農口尚彦研究所の看板ともいえる酒であり、それぞれ異なる風味と個性を持つ酒を、杜氏自らが絶妙なバランスで融合させている。

誕生した1本は、香り高く気品に満ちたフローラルなアロマを持ち、軽やかな口当たりながらリッチな旨味と凝縮感が共存する。口に含めば、ほのかな苦味とともにドライな余韻が心地よく広がり、料理の味わいを引き立てる理想的な食中酒に仕上がっている。

ボトルラベルにも、シャングリ・ラ東京ならではのこだわりが表れている。モチーフは、ホテル名の由来にもなったジェームズ・ヒルトンの小説『失われた地平線』に登場する理想郷「シャングリ・ラ」。ラベルには幻想的な桃源郷のイメージが描かれ、ホテルの公式ロゴが配された。このデザインは、同ホテルの客室カードキーにも使用されており、リピーターにとっては馴染み深いものだろう。

今後は、ホテル全客室のミニバーにも375mlサイズ（二合瓶）のオリジナル日本酒を導入予定だ。ラウンジやレストランだけでなく、プライベートな空間でもその味わいに触れられるという贅沢な演出だ。

このオリジナル日本酒は2026年に開業予定の京都の新ホテルを皮切りに、世界各地に展開するシャングリ・ラホテルズ＆リゾーツでも、提供する構想があるという。世界中のゲストに日本酒文化の奥深さと魅力を伝えるグローバルなプロジェクトへと発展していく可能性を秘めている。

日本酒業界の生きる伝説とも称される杜氏・農口氏と、世界的に知られるホスピタリティブランドとの協業によって生まれた本ボトル。農口氏の長年にわたる醸造技術と精神を凝縮した珠玉の一杯は、日本酒ファンはもとより、美食を愛するすべての人々に向けたスペシャルな贈り物といえるだろう。日本酒が持つ奥深い魅力を、国内外のゲストに届ける新たな挑戦に期待が高まる。

シャングリ・ラ東京 × 農口尚彦研究所オリジナル日本酒
場所｜29階「なだ万」および28階「ザ・ロビーラウンジ」
料金｜
四合瓶（750ml）2万3100円（税込）
一合（180ml） 5775円（税込）
※館内でのご提供のみ。販売はしておりません。
※表示料金は税込、別途サービス料15%を頂戴します。
※表示の内容および料金は、予告なく変更になる場合がございます。
※画像はイメージです。

問い合わせ先

シャングリ・ラ東京
Tel.03-6739-7888
https://www.shangri-la.com/jp/tokyo/shangrila/

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