第3世代となるアウディ新型TTが登場|Audi
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2015年8月24日

第3世代となるアウディ新型TTが登場|Audi

Audi TT|アウディ TT

第3世代となるアウディ新型TTが登場

アウディは、現在開催されているジュネーブ モーターショーで、3代目となる新型アウディ「TT」を公開した。フロントフェイスは予想どおり、今年1月にデトロイト モーターショーでアウディが発表した「オールロード シューティングブレーク」との関連性を印象づけるもの。アウディではこのルックスを新世代のデザインのキーと位置づけ、今後進化させていくという。

Text by SAKURAI Kenichi

予告通りのフロントフェイス

1998年に初代アウディ「TT」が登場してから早15年。第3世代としてジュネーブ モーターショーで公開されたあたらしいアウディ TTは、一見すると第2世代にあたる現行モデルのキープコンセプトのようにみえるが、フロントフェイスは新世代の幕開けを予感させる新意匠がちりばめられている。

注目のフロントデザインは、アウディが今年1月の米国デトロイト モーターショーで公開したコンセプトカー「オールロード シューティングブレーク」との関連性を確認できる。あたらしくソリッドなデザインの六角形をモチーフにしたフロントグリルや、その左右にそなわる切れ長のヘッドライト、さらにタイヤを強調するオーバーフェンダーや、シャープなテールライトをふくむリアのデザインなどは、まさにオールロード シューティングブレーク譲り。オールロード シューティングブレークが、新型TTのプレビューという会場での噂は現実だったのだ。

Audi TTS

Audi TT 2.0T quattro

あたらしいシングルフレームグリルのデザインは、現行「A3」系でもちかしい意匠を見ることができるものの、TTのそれは、A3よりもシャープでシンプルに仕立てられている。グリルからつづくヘッドライトマウントとボンネットに奥行き感をもたせるなど、これまでのアウディとはことなる最新デザイン言語であることがわかる。このあたらしいデザイン言語が、今後登場するモデルでどう活かされるのかも注目のポイントだ。

ボディサイズは、全長4,180×全幅1,832×全高1,353mm。現行モデルとくらべると、わずかではあるが、すべての数値が小さくなっている。ただし、ホイールベースは37mm延びて2,505mmになり、前後のオーバーハングを切り詰めることで、スポーツカーとして躍動感あふれるフォルムを、コンパクトなサイズで表現したということだ。給油口に「TT」ロゴが刻まれたアルミ製のカバーがそなわるのも、伝統といえるパートである。

特徴的なデザインのライトガイドがそなわるフラットなヘッドライトもまた、新型TTの見どころといえる部分だ。キセノンヘッドランプユニットが標準で、LEDヘッドライトをオプションで用意される。

さらに、新型「A8」から採用された、12個のLEDをオンオフすることで対向車を幻惑することなくハイビームを制御し夜間視界を確保する、マトリックスLEDテクノロジーも選択が可能だ。

また、マトリックスLEDを装着すると、ウィンカーも複数のLEDで構成され、その点滅は曲がる方向をより明示すべく、流れるように順次点灯する。コーナリングランプもナビゲーションの地形データと連動することで、ステアリング動作よりも前に作動し、コーナーの先の視界をいちはやく照らし出す。

テールライトのあいだにセットされたリアスポイラーは、120km/h以上で立ち上がり、高速域でリアのスタビリティを確保する働きをもつ。

Audi TT

全ラインナップで左右に丸形のエキゾーストパイプを備えるが、高性能バージョンとして位置づけられるTTSでは、これがよりスポーティな印象をもたらす左右デュアルタイプに変更されている。

また、オプションとなる「Sライン」では、バンパーデザインやエアインテーク、サイドシル、リアディフューザー、そして新型のシングルフレームは専用のスポーツデザインを採用。車高も10mmローダウンし、18インチホイールをそなえる。

Audi TT|アウディ TT

第3世代となるアウディ新型TTが登場 (2)

飽くなき軽量化の追求

新型TTの、こうしたあたらしいデザインのボディ内部は、これまでのモデル同様アルミとスチールを組み合わせ、適材適所で使用している。2代目よりもアルミの使用を増やし、たとえばルーフ、ボンネット、ドア、トランクリッドなどはアルミ製となっている。そのいっぽうで、強度にすぐれた超高張力鋼板の使用も拡大された。パッセンジャーセルは、この超高張力鋼板から成り、ボディ全体では17パーセントが超高張力鋼板で占められているという。

ボディ重量は2.0TSFIエンジン搭載車で1,230kgとなり、これは2代目モデルよりも50kgの軽量化が果たされていることになる。ちなみにその2代目モデルは、初代TTよりも最大90kgの軽量化を実現しているので、代を追うごとに軽量化が進んでいることがわかる。

安全性の向上や、時代に合わせた快適装備の採用をかんがえると、この進化した軽量化への努力は、並大抵のものではないことも同時に知っておいて欲しい。軽量化は、運動性能を向上させ、また燃費やCO2の削減にも大きく貢献する。軽量化への腐心は、まさにアウディの開発ポリシーともいえることなのだ。

ドライバー視線で開発された、バーチャルコックピット

エクステリアからつづく水平のラインをキャビンにも持ち込み、フラットなセンターコンソールやスイッチの少ないシンプルなコクピットまわりを構築したインテリアにおける最大の特徴は、新開発のデジタルディスプレイがメーターナセル内に設定された点である。

「バーチャルコクピット」と呼ばれる1,440×540ピクセルの解像度を持つ12.3インチのTFTモニターを、ドライバー正面のメータークラスター内に搭載。スピードメーターやタコメーターが表示される通常モードと、ナビゲーション画面モードの2種類のモードを、ステアリング上のスイッチもしくはあたらしいデザインのMMIコントローラー(これまでどおり大型のロータリースイッチと2個のトグルスイッチの組み合わせ)で切り替えて使用する。もちろん、ナビ画面モードでも、スピードやエンジン回転数などの走行中の車両情報は表示される。

ポイントは、ナビ画面を確認するさいの、視線移動がきわめて少ないということだ。現代のクルマにあるべきナビ画面が、センターコンソールやダッシュボードにないのは新鮮だ。いかに大きい画面を見やすくスタイリッシュにセットするか、競い合っているインテリアデザインのトレンドを、まさに逆手に取るものだ。実際に体験するまで使い勝手はわからないが、アウディではこのシステムの採用をドライバーオリエンテッドの視点から開発したと説明している。

伝統のデザインを踏襲した、印象的な丸型デザインの空調吹き出し口は、中央に温度やエアコンのモードを表示する。繰り返すが、メーターナセル内にナビゲーション画面が表示されることに伴い、現行モデルにみられるようなダッシュボード中央に鎮座するモニターは、新型TTでは見られない。

Audi TT|アウディ TT

第3世代となるアウディ新型TTが登場 (3)

3種類の2リッターエンジンを搭載

発表された欧州仕様には、いずれも2リッター4気筒の直噴ターボエンジンが、3種類用意される。エントリーモデル「2.0 TFSI」には最大出力169kW(230ps)、最大トルク370Nm(37.7kgm)を発生するガソリンエンジンを採用。ハイエンドなSモデル「TTS」に搭載されるのは、おなじエンジンながらも専用のエンジニアリングがほどこされており、最大出力228kW(310ps)、最大トルク380Nm(37.7kgm)をほこる。この2モデルには、トランスミッションに6段MTもしくは7段Sトロニックが組み合わされる。もうひとつは、最大出力135kW(184ps)、最大トルク380Nm(38.7kgm)を発揮するディーゼルエンジン。こちらは6段MTのみの設定だ。

駆動はFFのほか、自慢の4WDシステム「クワトロ」もこれまでどおりラインナップする。クワトロはシステムを見直し軽量化したほか、ドライビングダイナミクスをさらに進化させた「アウディ ドライブセレクト」を採用。アルミニウム製となるフロントのマクファーソン式サスペンションや、リアの4リンクサスペンションも、さらに軽量化を実現している。TTSに標準装備され、TTにオプションで装着可能なアダプティブ ダンパー コントロール システムも第3世代に進化を果たした。

Audi TTS

Audi TTS

ちなみに、TTの場合、FFの6段MT仕様は、0-100km/h加速6.0秒、最高速250km/h(リミッター作動)、4WDの「TT クワトロ」の6段Sトロニック仕様では、0-100km/h加速5.3秒、最高速250km/h(リミッター作動)のパフォーマンスを得ており、CO2排出量は159g/kmというデータになっている。いっぽう4WDのみの「TTS」では、0-100km/h加速が4.7秒にまで短縮される。

ホイールは225/50R17 サイズのタイヤを組み込む17インチが標準だが、オプションで19インチサイズまでを選択可能としている。さらにクワトロGmbHがプロデュースする20インチホイールもラインナップにくわわっている。

LTEに対応する進化したWi-Fi内蔵の「アウディ コネクト システム」や、アウディ車でお馴染みの14チャンネルアンプと12スピーカーを備えた「バング&オルフセンサウンドシステム」もセレクト可能で、ドアに取り付けられたウーファーには、調整可能なアンビエントライトも装備するなど、エンターテイメント性も向上した新型TT。今年中にはとうわさされる、日本上陸の第一報を期待したい。

Audi TT 2.0TFSI|アウディ TT 2.0TFSI
ボディサイズ|全長 4,180 × 全幅 1,832 × 全高1,353 mm
ホイールベース|2,505 mm
重量|1,230 kg
エンジン|2リッター直列4気筒 直噴ターボ
最高出力|169 kW(230 ps)
最大トルク|380 Nm
0-100km/h加速|(6段MT+FF)6.0 秒  (6段Sトロニック+4WD)5.3秒
最高速度|250 km/h(リミッター作動)
燃費|(6段Sトロニック+4WD)6.8 ℓ/100km(およそ14.7 km/ℓ)
CO2排出量|(6段Sトロニック+4WD)159 g/km
トランク容量|305リットル

Audi TTS|アウディ TTS
ボディサイズ|全長 4,180 × 全幅 1,832 × 全高1,343 mm
ホイールベース|2,505 mm
エンジン|2リッター直列4気筒 直噴ターボ
最高出力|228 kW(310 ps)
最大トルク|380 Nm/1,800-5,700
0-100km/h加速|4.7 秒
最高速度|250 km/h(リミッター作動)
トランク容量|305リットル

Audi TT 2.0TDI|アウディ TT 2.0TDI
ボディサイズ|全長 4,180 × 全幅 1,832 × 全高1,353 mm
ホイールベース|2,505 mm
エンジン|2リッター直列4気筒 コモンレール式直噴ターボ ディーゼル
最高出力|135 kW(184 ps)
最大トルク|380 Nm
0-100km/h加速|7.2 秒
最高速度|235 km/h
燃費|4.2 ℓ/100km(およそ23.8 km/ℓ)
CO2排出量|110 g/km
トランク容量|305リットル

           
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