メルセデス・ベンツ、GLK改めGLCのクーペ版を公開|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz Concept GLC Coupe
メルセデス・ベンツ コンセプト GLC クーペ
GLK改めGLCのクーペ版を公開
メルセデス・ベンツは、2015年4月20日に中国で開幕した上海モーターショーで、SUVのクーペモデル第2弾となる「コンセプトGLC クーペ」を発表した。これまで「GLK」と呼ばれたDセグメントモデルのフルモデルチェンジ版に追加されるスタイリッシュなクーペモデルで、ベースとなる「GLC」よりも先にクーペモデルを公開するのは、今年1月のデトロイト・モーターショーで発表した「GLEクーペ」と同様の戦略である。
Text by SAKURAI Kenichi
メルセデスのクーペSUVの第2弾
メルセデスでは、SUVカテゴリーのモデル名を再構築している真っ最中である。基本となるのはSUVを示す“GL”の名称で、この次に位置するアルファベットが、クラス=車格、すなわちボディサイズをあらわしている。現在開催中の上海モーターショーでメルセデスが発表したのは、「コンセプト GLCクーペ」。このネーミングからもわかるように、コンセプトモデルではあるものの、この新型車は、セダンでいう「Cクラス」と同格となるボディサイズをもつSUVのクーペ版ということになる。
さらにわかりやすくいえば、「GLCクーペ」は、ミドルクラスの現行「GLK」の後継モデルであり、そのバリエーションとして追加されたクーペという成り立ち。クーペ版を先に発表したため多少ややこしく感じるが、GLKがフルモデルチェンジをおこなった際に名称を「GLC」に変更し、同時にスタイリッシュなクーペモデルをラインナップにくわえたと考えればよい。
これは先のデトロイト・モーターショーで発表した「GLEクーペ」と、先日のニューヨーク・モーターショーで発表されたベースモデル「GLE」の関係と同様。よって、今後基本モデルとなるべきGLCが、いずれどこかのタイミングで公開されるはずだ。ちなみに「GLC クーペ」は、その「GLEクーペ」の弟版となる位置づけである。
たとえるなら、ちょうどBMWの「X5」と「X6」の関係とおなじで、BMWは奇数名モデルを基本車種、偶数名モデルをクーペとしているが、メルセデスはシンプルに車名の後にボディ形状を表すクーペという名称を使用している。
派生モデルを先に発表するのは、新規モデルで話題性とインパクトをアピールする目的があるからだろう。車名にあるGLCのアルファベット3つのあとにつづく数字は、エンジンタイプ(排気量またはその排気量に相当するパワーをもつエンジンであること)を示し、これは従来通りのメルセデスの車名法則に従っている。
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メルセデス・ベンツ コンセプト GLC クーペ
GLK改めGLCのクーペ版を公開 (2)
メルセデスのSUVとクーペを融合させるデザイン
今回登場したコンセプトGLCクーペは、全長4,727×全幅2,000×全高1,593mmのボディサイズで、ホイールベースは2,827mmと発表された。現行GLKは、全長4,536×全幅1,840×全高1,669mmのボディサイズで、ホイールベースは2,755mmであることから(欧州数値)、ひとまわりほど大きな印象だ。
コンセプトモデルであること、そして先に登場したのがクーペモデルであることを考慮しても、GLKよりは全体サイズが拡大されたといえるだろう。ちなみにGLEクーペは、全長4,900×全幅2,003×全高1,731mm、ホイールベースは2,915mmと、さらにひとまわり大きくなっている。
フロントフェイスデザインは「GLA」、「GLE」とつづく、モダンなメルセデス製SUVの延長線上にあるものと紹介できそうだ。
フロントグリルに備えられたメルセデスのブランドマーク「スリーポインテッドスター」の意匠は、GLEクーペ同様に横格子が1本となる。これに対してGLEでは2本格子デザインを採用するので、このデザイン処理が、クーペとベースモデルを分けるものとして今後も使用されると考えられる。
バンパー部分左右のエアインテークと、その下に位置するAウィングとメルセデスが呼ぶスポイラーデザイン、SUVならではのアンダーガード デザインも、走りを予感させる力強いSUVとクーペの融合をバランス良く表現している。
光の彫刻を思わせる印象的なLEDヘッドライトもまた、コンセプトGLCクーペの特徴だろう。デザイナーが「眉毛」と呼ぶデイタイムランニングライトは、従来よりも大型化。その下に、三次元空間に浮かぶようでなLEDライトが装備される。このLEDヘッドライトは、路面や天候などの走行条件に適応する3つの可動式レンズ持ち、ロービーム、アッパービーム、コーナリングライトが走行シーンや対向車の有無に合わせ、アクティブに夜間の前方視界を確保する。
現行「CLS」並に天地を狭めたグリーンハウスや、後方に行くに従ってなだらかに落ちるリアウィンドウのデザイン、横長でシンプルなLED式のテールライト デザインなどは、メルセデスのクーペに通じるイメージだ。
上下に配置されたマフラーエンドやフロント255/50R21、リア285/45R21というサイズの大口径のタイヤとフロント8J×21、リア9.5J×21サイズのホイールが、クーペというネーミングを納得させるスポーティなイメージ構築に貢献している。
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ライバルはBMW X4やレクサス RX
コンセプトGLCクーペが採用するエンジンは、最高出力270kW(367ps)、最大トルク520Nm(53.0kgm)の3リッターV6ツインターボエンジンだ。これはすでに「GLE 450 AMG クーペ」に搭載されているパワーユニットと同一である。
そこから考えれば、メルセデスは明言していないものの、今回上海で発表されたコンセプトGLCクーペのデザインをAMGバージョンと予想することは、決して不自然ではない。
気になるコンセプトGLCクーペの駆動方式は、現状では4マチック、つまり4WD方式としか公表されていない。しかし、先行する「GLE 450 AMG クーペ」では40:60と後輪によりトルクを多く分配し、FR的な走りも楽しめるようなセッティングを施していることから、このモデルでも4マチックにそうしたオンロード向けの設定をおこなっている可能性がある。
ドアハンドルやドアミラー、テールライトデザインにモーターショー用の化粧が施されているものの、基本的にはほぼこのままのデザインで市販モデルに移行すると思ってまちがいない。いずれ、「コンセプトGLCクーペ」の“コンセプト”が取れた「GLCクーペ」登場の際は、すでに市場で高い注目を集めているBMW「X4」やレクサス「RX」の強力なライバルとして、熾烈な販売競争を繰り広げることになるだろう。Cクラスに準ずるボディサイズを持つSUVは、日本市場でも歓迎されるはずである。