ジュネーブモーターショーの現場から:フェラーリ篇|Ferrari
Ferrari|フェラーリ
Geneva International Motor Show 2015
ジュネーブモーターショーの現場から:フェラーリ篇
数あるモーターショーのなかでも、ジュネーブでの発表に重きを置くブランドは多い。フェラーリもそのひとつだが、今年はV8ミッドシップスポーツ「458 イタリア」の後継モデル、「488 GTB」がデビューを飾った。ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏が去ったフェラーリはどこへ向かうのか。プレゼンテーションの会場から大谷達也氏がその模様をお届けする。
Text by OTANI Tatsuya
フェラーリに新時代がやってきた
2013年は「ラ フェラーリ」、2014年は「カリフォルニアT」をここジュネーブショーで発表してきたフェラーリは、今年もその伝統に則り、同社の主力モデルとなることが確実視されている「488 GTB」をレマン湖のほとりでワールドプレミアした。
もっとも、プレスコンファレンスの雰囲気は例年とはやや趣を異にしていた。これまでステージ上でスポットライトを浴びていたルカ・ディ・モンテゼーモロ元会長が昨年9月に退任。そこで今年のジュネーブショーでは、CEOを務めるアメデオ・フェリーサCEOが登壇し、プレゼンテーションをおこなったのだ。
しかも、その口調はどちらかといえば坦々としたもので、ドラマチックな演説調を得意としていたディ・モンテゼーモロ氏とは大きく異なる。同社の新会長に就任したフィアットグループのセルジオ・マルキオーネCEOがほとんど目立たないプレゼンテーションというのも、これまでなかったものだ。
この結果、プレスコンファレンス全体の雰囲気もやや静かで落ち着いたものとなっていたが、これこそがマルキオーネ会長の狙いだったともいえるだろうし、あえて声高に主張しなくとも製品の良さは自然と伝わるという自信の表れといえるかもしれない。
いずれにせよ、ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏が去ったことで、フェラーリに新時代がやってきたことを明確に意識させられるジュネーブショーとなったことだけはまちがいない。
Ferrari|フェラーリ
Geneva International Motor Show 2015
ジュネーブモーターショーの現場から:フェラーリ篇 (2)
フェラーリならではのもの
肝心の488 GTBは、カリフォルニアTに搭載されている新設計のV8直噴ターボエンジンのストロークを1mm延長して83mmとし、これと組み合わされる86.5mmのボアから3,902ccの排気量を獲得(カリフォルニアTは3,855cc)。670ps/8,000rpmの最高出力と760Nm/3,000rpmの最大トルクを発揮する。エンジンの搭載方式は、前作の458同様ミッドシップとなる。
自然吸気マルチシリンダー エンジンの魅力を前面に打ち出してきたフェラーリにとって、一般的にレスポンスが鈍いとされるターボエンジンの導入には疑問符がつけられかねないところだが、カリフォルニアTでも採用されたターボチャージャーの軽量化やツインスクロール化により好レスポンスを実現。
3段2,000rpmから最大トルクの80パーセントを発揮するまでに要する時間はわずか0.8秒で、これをもってフェラーリは「ゼロ ターボ ラグ」と称している。ターボエンジンとはおもえない8,000rpmという最大出力発生回転数もフェラーリならではのものといえるだろう。
この結果、磨き上げられたエアロダイナミクス、1,475kgという軽量ボディにも助けられ、0-100km/h加速は3.0秒、0-200km/h加速は8.3秒という瞬足ぶりを披露する。
エクステリアは全般的に前作458 イタリアのイメージを強く受け継いでいるが、リアフェンダー直前にはターボモデルらしく大きなエアインテークを設けており、これが視覚上のアクセントとなっている。488 GTBは日本でも早速受注がはじまっており、早ければ年内にもデリバリーが開始されるようだ。