「フィオラーノ」でのラップタイムは1分23秒5の実力

フェラーリは、9月開催のフランクフルト モーターショーで、V8ミッドシップモデル「458イタリア」のハイパフォーマンスバージョン、「458スペチアーレ」をワールドプレミアする。

これまでフェラーリは、「360モデナ」シリーズ以降のV8ミッドシップモデルにおいて、ハイパフォーマンスバージョンの追加設定をつねにおこなっており、この「458 スペチアーレ」は、360モデナがベースの「チャレンジストラダーレ」、F430ベースの「430スクーデリア」につづくものだ。それぞれ通常モデルにくらべエンジンのパワーアップをおこなうとともに、シャシーの強化や車高の引き下げ、ボディの軽量化などを実施し、サーキット走行も楽しめるレーシングライクなパフォーマンスが特徴になっていた。

「458スペチアーレ」もそのチューニングの方程式どおり、「458イタリア」にくらべ車重を90kg軽量な1,390kgとしたうえで、エンジン出力を35psアップの605ps/9,000rpmにまで向上させた。このパワーは、リッターあたり135psで、歴代V8フェラーリにおいて最高峰となるのはいうまでもなく、現行量産自然吸気エンジンでも世界一のパワーだ。

ちなみに最大トルクは540Nm（59.1kgm）/6,000rpmと発表され、0-100km/h加速は3.0秒、0-200km/h加速が9.1秒という驚異的なデータが公表されている。

しかし、ただ加速性能が優れていだけではない。総合的な速さの判断基準となる、フェラーリのテストコース「フィオラーノ」でのラップタイムは1分23秒5で、“フェラーリ史上最速のロードカー”といわれ登場したフラッグシップモデル「F12ベルリネッタ」に遅れることたったのコンマ5秒。「458イタリア」が、かのエンツォ フェラーリとおなじ1分25秒のラップタイムであったことを考えても、いかにこのマシンが突出して速いのかが理解できる。

エンジン出力の向上と軽量化だけが、「フィオラーノ」で1分23秒5をたたき出す秘密ではない。特別なモデルにふさわしいエアロダイナミクスの最適化や、走行安定性を確保する電子デバイス、専用タイヤの採用も、パフォーマンスの向上におおいに貢献している。

「458スペチアーレ」のボディデザインをおこなったフェラーリ スタイリングセンターは、ピニンファリーナとともにダウンフォースのバランスを最適化し、同時にドラック低減にも寄与する「アドバンスド アクティブ エアロダイナミクス」機構をフロントとリアに採用。具体的な数値は未公表だが、「フェラーリ史上もっとも空気力学的効率にすぐれた現行レンジ車輌（フェラーリ公式発表）」であるという。

さらに、サイドスリップ アングル コントロール（SSC）と呼ばれるシステムを搭載し、限界域での車輌のコントロールをよりしやすくするとともに、ドライビングプレジャーを大きく高めたという。SSCは、車輌の横滑りを絶え間なくセンサリングし、車輌の状態と算出した目標値となる横滑り量を比較しながら、F1-トラクション コントロールと統合することでトルク管理をおこない、左右ホイール間のトルク配分をE-Diff（電子式ディファレンシャル）と統合しながら最適化する。

そして、タイヤもまたスペシャル。「ミシュラン パイロットスポーツ カップ2」は、「458スペチアーレ」専用モデルとして特別にチューニングされたものだ。サーキットのホットラップにおける“ここ一発”のタイムアタック性能はもちろんのこと、連続周回ラップタイムも向上。ウェットコンディションでも最大限のグリップを発揮するという。

もはやサーキット専用のレーシングマシンにも肩を並べるほどの、驚異的なパフォーマンスをみせる「458 スペチアーレ」。フェラーリ史上最強の性能をそなえたこのV8モデルは、まさにイタリア語で“特別”を意味する車名にふさわしい究極の存在だといえるだろう。

Ferrari 458 Speciale｜フェラーリ 458 スペチアーレ
エンジン｜4,495cc 90度 V型8気筒
最高出力｜ 605 ps/ 9,000 rpm
最大トルク｜540 Nm / 6,000 rpm
重量｜1,290 kg
駆動方式｜MR
0-100km/h加速｜3.0 秒
0-200km/h加速｜9.1 秒
CO2排出量｜275 g/km