ジュネーブ現地リポート|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz|メルセデス・ベンツ
ジュネーブモーターショー現地リポート
コンパクトカー市場に真っ向勝負
メルセデス・ベンツのブースでは、SL63AMGがワールドプレミアを果たしたが、何よりも注目を集めたのはサンドイッチ構造を捨て、大きく生まれかわった新型Aクラスだ。以下、現地からのリポート。
Text by SATO Takeshi
Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
「メルセデスが地上に降りて来た」
新型Aクラスがベールを脱いだ瞬間に、そんな想いが頭をよぎった。これまでのAクラスは、このカテゴリーで唯我独尊の存在だった。コンパクトなボディでも衝突安全性などを確保するために、「サンドイッチ構造」と呼ばれる独自の基本骨格を採用していたのだ。
けれども新型Aクラスは、サンドイッチをおかわりしなかった。他社の同クラスとおなじ、ごく一般的なボディ構造となったのだ。ルックス的にも、基本的なフォルムは普通のハッチバック車となった。つまり天上人が降りて来て、みんなとおなじ土俵で戦うことになる。
ダイムラーAG取締役会会長のディーター・ツェッチェによれば、新興国におけるモータリゼーションの発展もあり、コンパクトカー市場は今後2倍に拡大するという。これは推測であるけれど、メルセデスといえどもこのワイルドな市場で戦うには、きれい事や理想論では立ちゆかないのかもしれない。生産性、コスト、その他もろもろを踏まえて決断したであろう新型Aクラスの新路線。その完成度に注目したい。