自動車好きが楽しめるBEV──ポルシェ タイカン4Sに試乗|Porsche
CAR / IMPRESSION
2021年1月25日

自動車好きが楽しめるBEV──ポルシェ タイカン4Sに試乗|Porsche

Porsche Taycan 4S|ポルシェ タイカン 4S

自動車好きが楽しめるBEV──ポルシェ タイカン4Sに試乗

2019年のフランクフルトモーターショーでワールドプレミアされ、ポルシェ初のフル電動スポーツカーとして世界中から注目を浴びる「タイカン」。2020年には日本上陸を果たした同車のベースグレード「タイカン 4S」に試乗した。

Text by OGAWA Fumio

コーナリングは得意中の得意で、ブレーキは超がつくぐらい強力

話題のポルシェの電動車「タイカン」がついに日本上陸。ポルシェジャパンの手で2020年6月5日に発売された。そして12月初旬、京都で試乗することができたのだ。乗ったのは、ベースモデルとして人気が高い「タイカン4S」。スムーズで素晴らしい性能を体験させてくれた。
タイカンは、これからポルシェが向かうBEV(バッテリー駆動の電動車)の先触れといえるモデルだ。5メートルにかぎりなく近い全長の4ドアであり、次世代のセダンのあり方への、ポルシェからの提案とみることもできる。
タイカン4Sは、上にターボ、それにターボSという3つのグレード構成のなかで、ベースラインを受け持つモデル。320kWの出力と640Nmのトルクを持つ電気モーターを前後に1基ずつ搭載した全輪駆動だ。
上のターボは、460kWと850Nm。ターボSはさらに上をいき、最高出力はターボと同一であるものの、トルクは1050Nmとなる。バッテリー容量が異なるため、79.2kWhのバッテリー搭載の4Sの航続距離は407kmであるのに対して、ターボは460km、四輪操舵などシステムが複雑になるターボSではやや落ちて412kmだ。
数値を比較すると、4Sは、上級モデルより分が悪いものの、走らせてみると、これで充分という内容だ。ダッシュは力強く、しかし落ち着きのない速さでなく、大型車であることを感じさせるような、少しゆっくりと速度が上がっていくような設定だ。
ただし、トルクから想像がつくように、高速道路では一気に交通の流れをリードするような瞬発力を持つ。ローンチコントロールといって、床までアクセルペダルを踏み込むと、320kWのパワーが一時的に360kWに上がり、いわばアスリートのようなダッシュを味わえる、という設定。であるものの、今回京都での試乗は、高速道路を走ったものの、周囲の交通が多く、それを試す機会がなかった。
コーナリングは、じつは得意中の得意。それは比叡山ドライブウェイでよく分かった。タイトなコーナーが連続しても、なんの苦もなく、こなしていける。むしろ、そのときのドライブは楽しい。
バッテリーなど重量物をできるだけ低いところに配置して低重心を実現しているため、ステアリングホイールの動きに合わせて、軽快な身のこなしでカーブを曲がっていく。
ブレーキは超がつくぐらい強力であり、かつ踏み込んだときのフィールがじつにナチュラルなので、大きなセダンを運転している事実を忘れてしまうほどだった。

ファミリーカーとしても充分に機能する

4Sの良さは、すこしソフトな足まわりの設定にある。ターボSは驚くほど速い一方、足まわりが締め上げてある印象だ。ドライブモードセレクターを「ノーマル」にすると、ダンピングもソフトな設定になるとはいえ、ターボSはそれでも硬め。
それは、じつは、4Sをあとで運転して分かったことだ。こちらは、ノーマルだと、いわば“カド”のない、じつに快適な乗り心地が味わえる。いっぽう、セレクターダイヤルを回して「スポーツ」を選ぶと、ダンピングも締まり、わかりやすいスポーティさが体験できるようになるのだ。
もし、4Sに乗っていて、性能的に不満がある場合、オプションで「パフォーマンスバッテリープラス」を選べば、上位モデルに近いパワーが得られる。あえて上位モデルを選ぶのではなく、そういう選択もアリだろう。この場合、航続距離も最大463kmに延びる。
室内は快適そのもの。タッチコントロールつき液晶モニターが、メーターを含めて4つも備わる。計器は速度計と、バッテリー残量(航続可能距離)とともに、前後左右のGメーターなども表示できるのが、スポーツカーメーカーのポルシェらしい。
ダッシュボードのインフォテイメント用のモニターでは、ドライビング時に、ひとつはナビゲーション、もうひとつは音楽といったように、さまざまな表示を同時に見ることができるのも便利だ。
後席はレッグルームが限られてしまうものの、大人2人が普通に座って、快適な時間を過ごせる。セダンゆえに乗り降りも楽で、ファミリーカーとしても充分に機能するだろう。
ポルシェでは、24分で約80パーセントが充電できるターボチャージャーなる専用の充電器を、このあと日本各地のポルシェディーラー(ターボチャージングステーションと呼ばれる)に設置していく予定という。
先に書いたとおり、バッテリーの容量が大きいので、充電の回数は比較的少なくて済む。なので、通勤に使っているユーザーなら、1カ月に1回、そのステーションを訪れて充電するような使い方も可能だそうだ。そうすると自宅に充電設備を設置する必要はない。
価格は、タイカン4Sが1448万1000円、タイカンターボが2023万1000円、そしてタイカンターボSが2454万1000円。オプションは、ポルシェの例によって、豊富に用意されている。どのモデルも、いちど乗ると、強い印象に残るだろう。タイカンは、BEVは自動車好きにとっても楽しめるということを、教えてくれるのだ。
問い合わせ先

ポルシェ コンタクト
Tel.0120-846-911
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