従来と同じような運転の楽しさを追求している──マツダMX-30 EVモデルに試乗|MAZDA
CAR / IMPRESSION
2021年5月5日

従来と同じような運転の楽しさを追求している──マツダMX-30 EVモデルに試乗|MAZDA

乗員が不自然な感じを受けない緻密な駆動制御

走りは、ひとことでいってスムーズ。先述したとおり、バッテリーもインバーターもいたずらにパワフルさを追究していないため、ドイツ製の高性能EVのように頭が後ろにのけぞるような加速感こそない。それでも、ガソリンエンジンなどと比較すると、発進から高速にいたるまで、切れ目なく気持ちよい加速が続く魅力を備えている。
マツダの開発者は、加速と減速でも操縦の楽しさを味わわせてくれようと、ステアリングホイールのところにパドルを設けている。普段はDというポジションで発進。よりなめらかな加速感が欲しければ右手でパドルを引くと、2段階でスムーズさが増す。一方、ブレーキペダルを使うまでもない程度の減速なら、左のパドル。タイヤの回転を使って駆動用バッテリーのために発電する、EV独自のブレーキ回生システムによる抵抗を利用しているのだ。
EVのなかには(いや、ほとんどのEVが)このブレーキ回生システムを使って、アクセルペダルをオフにすればほぼ停止にいたるまで強い制動がかかる設定をとっているのに対して、マツダの開発陣は、このいわゆるワンペダル操作は採用しなかった。あくまで、従来と同じような運転の楽しさを、自然なかたちで、加減速でも味わってもらいたい、としている。
ただしモーター駆動のメリットはしっかり役立てている。ひとつはアクセルペダルを急にオフにしたときの挙動。がっくんとショックが伝わらないように、駆動力をいきなりオフにしない丁寧な制御が施されているのだ。それは一例で、ペダルやステアリングホイールの戻しなども、モーターの力をうまく使って、ドライバーを含めて乗員が不自然な感じを受けないよう、緻密な調整がされているようだ。
カーブを曲がるときには、やはりモーターが“ひと仕事”してくれる。ドライバーのステアリングホイール操作に応じて、車体の前後左右にかかる重力(G)を、モーターの力でコントロール。たとえば、カーブに入っていくときは駆動力を少し抜き車体前方へと荷重を移動し、カーブから出ていくときは駆動力を増し、こんどは後方へと荷重移動させるという具合だ。これはいってみれば、ひそかに行われる。MX-30のEVモデルだから実現した、マツダ開発陣自慢のシステムである。
外装の仕上げがいいのは、マツダ車の例にもれない。内装も、今回は上級グレードには、あえてファブリックを張ったシートも用意される。ファブリックは一般的にいってレザーよりたわみが大きく、乗り心地がよい。加えて、MX-30では、一般的なニット(編み物)でなく、伸びにくく、しっかりした座り心地をもたらす織物を採用。他ではなかなかない快適性を追求している。見た目もクリーンで、大変好感がもてる内装が出来上がっている。
グレードは3つ。ベースモデル「EV」(451万円)に始まり、「EV BASIC SET」(458万7000円)、そして「EV HIGHEST SET」(495万円)だ。違いは装備のレベルで、たとえば、ファブリックシートは全車標準(レザーはない)で、トップグレードはサイドに合成皮革が使用されてデザイン的に凝ったものになる、といった具合。選べる車体色のバリエーションも差がでる。

MAZDA MX-30 EV MODEL|マツダ MX-30 EVモデル

  • ボディサイズ|全長4,395×全幅1,795×全高1,565mm
  • ホイールベース|2,655mm
  • トレッド前後|1,565mm
  • 車両重量|1,650kg
  • 最低値上高|130mm
  • 最高出力|107kW(145ps)/4,500-11,000rpm
  • 最大トルク|270.9Nm(27.5kgm)/0-3,243rpm
  • サスペンション前|マクファーソンストラット
  • サスペンション後|トーションビーム
  • ブレーキ前|ベンチレーテッドディスク
  • ブレーキ後|ディスク
  • バッテリー|リチウムイオン電池
  • 定員|5人
  • 一充電走行距離|281km(WLTCモード)
  • 価格|451万円~495万円
問い合わせ先

マツダコールセンター
Tel.0120-386-919(平日9:00〜17:00、土日祝9:00〜12:00 13:00〜17:00)
https://www.mazda.co.jp

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