5世代目に進化したA6アバントに試乗|Audi
CAR / IMPRESSION
2019年8月13日

5世代目に進化したA6アバントに試乗|Audi

Audi A6 Avant |アウディ A6アバント

5世代目に進化したA6アバントに試乗 (2)

機能主義のドライバーズカーとしてひとつの頂点を究めた

そもそもアウディがプレミアムブランドとして確立できたのは、初代TTとほぼ時を同じくして登場したC5世代のA6に負うところも大きい。それまでコンサバな旦那グルマかドイツ本国でタクシー用途という、Eセグメントのセダン&ワゴンのイメージを刷新してみせた。因襲的なるものを超えるイノベーター=アウディというイメージは、A6アバントから来ているのだ。

そしてアウディがこのジャンルの先駆者となった理由は、バブル期にステーションワゴンに乗っていることがスキーやサーフィンやキャンプといった豊かな週末を連想させ、ライフスタイル商品として時流にのったから、ではない。
空力の追及とクワトロという独自の4WDシステムによって、高速巡航エクスプレスとして直進安定性とステーションワゴンならではの積載性を高次元で両立させ、機能主義のドライバーズカーとしてひとつの頂点を極めたからだ。

逆に高速安定性と積載性を究めたがゆえ、アバントは欧州映画界では、Go fast(ゴーファスト)と呼ばれる麻薬や大麻の運び屋が乗る定番の足にもなってしまった。映画ではRS4アバントだったが、フランスはスペイン国境近くで2009年、本物の売人がRS6アバントに大量の大麻を積んで200km/hオーバーで逃走した末、逮捕されたことがあった。事実はフィクションを超越するのだ。
話が少し逸れたが、5世代目を迎えた最新のA6アバントは、それだけ独特の背景と存在感をもつモデルなのだ。​4950×1885×1465mmの外寸は、全長こそEセグメントとして5メートル以内に収められたとはいえ、全幅と全高はひと昔前のA8に相当する。2925mmものロングホイールベースにも同じことがいえる。

伸びやかな​プロポーションに、前後フェンダーからボディサイドにかけてのショルダーラインはエッジの緩急を含めかなり複雑。先代と同じく内側がえぐれた目つきをしているフロントライトはLEDマトリックスを採用し、リアランプの上に横一文字に渡されたクロームガーニッシュなど、面積を増したシングルフレームグリル以外にも、凝ったディティールは多い。だが、一つひとつが悪目立ちせず、全体としてすっきり見える辺りは、さすがだ。
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