フェラーリの新型+2ミッド・フロントエンジンGT「ローマ」に試乗|Ferrari

フェラーリ ローマは、同じV8モデルのポルトフィーノと比較されがちだが、実はコンポーネントの70%が完全な新設計。全長×全幅×全高は4656×1974×1301mm。250km/h時に発生するダウンフォースはポルトフィーノよりも95kg増加している。以下写真は、各種オプション付きの欧州仕様

CAR / IMPRESSION
2020年10月26日

フェラーリの新型+2ミッド・フロントエンジンGT「ローマ」に試乗|Ferrari

ドルチェは「穏やかさ」

実車の話に移ろう。
ローマのデザインにあたっては、1950〜60年代、まさにドルチェ・ヴィータ時代のGTモデルをモティーフに、ミニマリズムを意識したという。
インテリアは、従来のドライバーファーストとは一線を画し、パッセンジャーにもほぼ同等のコンフォートが確保されている
不要なエアインテークを廃し、フロントも従来のグリルではなくパーフォレート加工されたものを採用した。
さらに面白いことに、スクリーンの中でデザイン担当副社長のフラヴィオ・マンツォーニは、キャビン部分から造形を模索したと語る。
キャビンといえば、インテリアでは従来のフェラーリがドライバー優先のコクピットであったのに対し、ローマではドライバー/パッセンジャー双方に、ほぼ同一の“セル”を与えている。
その心は? 筆者の質問に対して、デザイン関連の代表としてリモート出席していたアンドレア・ミルティッロは、「フェラーリにとってコ・ドライバーの存在は、より重要になっている」と解説する。そして「2人による新たなファン・トゥ・ドライブを求めるカスタマーたちに訴求していく」と付け加えた。助手席側にもオプションで8.8インチ・フルHDカラー・タッチスクリーンが用意されるのもそのためだという。ローマのdolceは「穏やかな」空間も意味するようだ。
今回のブリーフィングでも、ドライビング体験の共有がユーザーの関心事項であることが強調された。助手席用8.8インチ・フルHDタッチスクリーン(オプション)は音楽、ナビ、空調操作だけでなく、車両パフォーマンスの数値も確認できる
もう一つ、ローマで目を惹くものといえば、新モデルレインジのステアリングホイールと、16インチのインストルメントクラスターである。一見それらは、エキセントリックなアイキャッチかと安易な想像をしていたが、そうではなかった。
「eyes on the road, hands on the steering wheel」をモットーに、最上のHMI(ヒューマン・マシーン・インターフェイス)を実現すべく、最新のアイトラッキング技術を駆使したという。プレゼンテーションでは、的確なスイッチ配置と、必要な情報を確実に伝達することが追求された。数値で示せば、従来モデル比で、不要な視界移動はマイナス4%、操作の遅れはマイナス20%を達成しているという。エモーションだけでない、科学なのである。
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