新型ポルシェ「マカン」にマヨルカ島で試乗|Porsche
Porsche Macan|ポルシェ マカン
新型ポルシェ「マカン」にマヨルカ島で試乗
2013年に初めてポルシェがデビューさせたコンパクトSUV、「マカン」は世界的なSUVブームに後押しされたこともあり、大ヒット作となった。マイナーチェンジを受け2018年10月のパリモーターショーで発表されたその最新モデルに、モータージャーナリスト九島辰也氏がスペインのマヨルカ島で試乗した。
Text by KUSHIMA Tatsuya Photographs by Porsche
ライトまわりが「パナメーラ」や「カイエン」と同様の意匠に変更
ポルシェのラインナップにあって都会的なコンパクトSUVである「マカン」。日本はもちろん世界中で人気なのは言わずもがな。2013年リリースから2017年末までで世界の累計販売台数は31万8,000台を超えているそうだ。確かに、デビュー直後の話題性は高かったのを記憶する。
そんなわけで、今回が初となるマイナーチェンジでは正常進化的にブラッシュアップされた。そりゃそうだ。これだけ売れているモデルを大胆に変える必要はない。そして2018年12月19日、日本で華やかにジャパンプレミアを果たした。販売開始は2019年夏ごろとなる。
その新型マカンに去る11月スペインのマヨルカ島で開催されたメディア向け国際試乗会でテストドライブしてきた。10月の「パリモーターショー」での発表からそれほど経たないタイミングでステアリングを握ることができたのは嬉しい限りである。
今回のエクステリアにおける変更点で注目すべきは、ライトまわりだろう。4つの点が光を放つLEDヘッドライトユニットと、左右を一本のラインで結ぶような意匠のリアコンビネーションランプがそれだ。
夜間にはヘッドライトが4つの光を放ち、ポルシェファミリーの一員であることを主張する。これは「パナメーラ」や「カイエン」、そして992型「911」も同様だ。3D的に点灯するリアのライトユニットも同じ。走り去る姿は新世代ポルシェ以外の何者でもない。このほかではバンパーやマフラーエンドが意匠変更しているが、前後のライトまわりと較べると目立つものではない。
インテリアも変更点はわずかだが、インストルメントパネル中央のモニターが横長になったのは大きなポイント。これまでモニターの左右にあったエアコン吹き出し口を下方に移動し、その分ワイド化した。視認性や使い勝手が向上したのは言うまでもない。
Porsche Macan|ポルシェ マカン
新型ポルシェ「マカン」にマヨルカ島で試乗(2)
従来モデルに比して明らかに進化した走り
では走りに関してはどう変わったのか。
今回のマイナーチェンジではシャシー、パワートレーンにも大きく手は入っていない。試乗したのは「マカン」と「マカンS」だが、これまで通りマカンには2リッター直4ターボ、マカンSには3リッターV6ターボが搭載され、どちらも7段PDKと組み合わされる。
ただし、マカンSのV6ユニットは従来型の最高出力340ps、最大トルク460Nmから、それぞれ354hp、480Nmへと最高出力、トルクともにパワーアップされている。ちなみに、日本で発表されたのは2リッターのマカンのみ。最高出力は252ps、最大トルクは370Nmを発生する。今後順次カマンS、そしてマカンターボとラインナップは拡大されるであろう。
それでも、実際に走らせると同じマカン同士でもこれまでとは明らかに違った。従来よりボディ剛性が上がったのかコーナリングでの挙動が安定し、頼もしさが強まっている。ステアリングを切ったときの楽しさも倍増した印象だ。コーナー進入速度も上がったことだろう。
その辺を深掘りすると、新型はアンチロールバー、スプリング、そしてダンパーを最適化し、さらにフロントサスの一部をアルミ化して1.5kgの軽量化を果たしている。確かに、足回りがシャキッとしたことでの恩恵がそのままステアリング操作に反映されているといった感覚である。
Porsche Macan|ポルシェ マカン
新型ポルシェ「マカン」にマヨルカ島で試乗(3)
新世代ポルシェコミュニケーションマネージメントを標準装備
乗り心地もかなりよくなっている。スペインでの試乗車はマカンが20インチ、マカンSが21インチといった大径で統一されていたが、どちらも表面的な硬さやゴツゴツしたフィールは微塵もなく、ともに快適性が従来型より高まっている。
標準は18インチだそうだが、このままでも日常づかいに支障はないだろう。特にマカンSはエアサス仕様だったためか、しっかりした接地感を出しながら当たりの柔らかさも際立った。ゆっくり走っていると高級サルーンのような乗り心地。ロングドライブならこちらだろう。
以上がマヨルカ島で走らせた新型マカンのファーストインプレッションだ。いずれにしても、長く乗れば乗るほど身体になじむ感覚はさすがポルシェである。
あとは最新のインターフェイスや快適装備がどれだけ日本仕様に持ち込まれるかだが、日本発表の資料にはインターネットと常時接続される新世代ポルシェコミュニケーションマネージメント(PCM)を標準装備することが記載されていた。また、話しかけるだけでナビゲーションの目的地が設定される音声認識機能も装備する。要するに使い勝手に抜かりはなさそうだ。しかも、こういった装備の追加で値段据え置きというのも魅力だ。
聞くところによると、マカンのユーザーはポルシェブランドが初めてという方が多いらしく、その意味ではうまい具合にマカンはエントリーモデルのポジションを築いたと考えられる。でもって、ポルシェもそれをわきまえこのクルマにものすごくチカラを注入した。いやはや実にお見事である。
Porsche Macan|ポルシェ マカン
ボディ|全長 4,696 × 全幅 1,923 × 全高 1,624 mm
ホイールベース|2,807 mm
トレッド 前/後|1,655 / 1,651 mm
車輛重量|1,795 kg
エンジン|1,984cc 直列 4気筒ターボ
最高出力| 180 kW(245 ps)/5,000-6,750 rpm
最大トルク|370 Nm/1,600-4,500 rpm
トランスミッション|7段PDK
駆動方式|4WD
サスペンション 前/後|マルチリンク式
タイヤ 前/後|235/60R18
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク φ345 × 30 mm
ブレーキ 後|ベンチレーテッドディスク φ330 × 22 mm
最高速度|225 km/h
0-100km/h加速|6.7 秒
0-160km/h加速|17.5 秒
燃費(EC値)|8.1 ℓ/100 km(およそ12.3km/ℓ)
CO2排出量|185 g/km
最小回転半径|5.98メートル
トランク容量|500 - 1,500 リッター
価格(消費税込み)|699万円
Porsche Macan S|ポルシェ マカンS
ボディ|全長 4,696 × 全幅 1,923 × 全高 1,624 mm
ホイールベース|2,807 mm
トレッド 前/後|1,655 / 1,651 mm
車輛重量|1,865 kg
エンジン|2,995cc V型 4気筒ターボ
最高出力| 260 kW(354 ps)/5,400-6,400 rpm
最大トルク|480 Nm/1,360-4,800 rpm
トランスミッション|7段PDK
駆動方式|4WD
サスペンション 前/後|マルチリンク式
タイヤ 前|235/60R18
タイヤ 後|255/55R18
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク φ360 × 36 mm
ブレーキ 後|ベンチレーテッドディスク φ330 × 22 mm
最高速度|254 km/h
0-100km/h加速|5.3 秒
0-160km/h加速|13.0 秒
燃費(EC値)|8.9 ℓ/100 km(およそ11.2km/ℓ)
CO2排出量|204 g/km
最小回転半径|5.98メートル
トランク容量|500 - 1,500 リッター
価格(消費税込み)|未発表
ポルシェ カスタマーケアセンター
0120-846-911