新型メルセデス・ベンツSLCに試乗|Mercedes-Benz
CAR / IMPRESSION
2016年11月7日

新型メルセデス・ベンツSLCに試乗|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz SLC|メルセデス・ベンツ SLC
Mercedes-AMG SLC 43|メルセデスAMG SLC 43

情熱と常識の理想的なコンビネーション

コンパクトな2シーターロードスターとして人気を博したメルセデス・ベンツ「SLK」がフェイスリフトを受け新たにSLCとなったのはご存じの通り。すでに日本でも販売されている同モデルの試乗記をお届けする。

Text by OGAWA Fumio

新たにメルセデスAMG「SLC 43」がラインナップに

メルセデス・ベンツのコンパクトなロードスター、「SLC」。従来はSLKと呼ばれていた2人乗りのモデルで、初代が登場したのは1996年。メタルルーフを折りたたんで格納する画期的なバリオルーフを採用したことでも、大きな話題になったのは記憶に新しい。2011年に3代目になったSLKは、最新のメルセデスの車名コードにしたがってCクラス相当のオープンモデルと新たに定義しなおされた。

SLKのKがドイツ語のクルツ(短い)を意味にしていたように、このクルマのよさは全長4.1メートルにとどまる扱いやすさにあった。SLCになってもその魅力は不変。「情熱と常識の理想的なコンビネーション」。メルセデス・ベンツカーズでセールスおよびマーケティング部門を率いるオレ・ケレニウス氏はそう語っている。僕たちの印象も、まさにそのとおりのものだ。

Mercedes-Benz SLC|メルセデス・ベンツ SLC

SLC300の2トーンシートは雰囲気がいい

Mercedes-Benz SLC|メルセデス・ベンツ SLC

メルセデスAMGのSLK43は新設定されたモデル

SLCになって、メルセデスモデル(メルセデスAMG以外)はダイヤモンドグリルと呼ばれる新しい世代の意匠を与えられた。ヘッドランプはオプションになるがLEDとなり、ファンが見ると、すぐに違いが分かるだろう。同時に、今回新たにメルセデスAMGの「SLC 43」がラインナップに加わった。3リッターV6エンジン搭載のスポーティなモデルだ。従来のメルセデスAMG SLK55はラインナップから落とされている。

試乗の場所はニース。乗ったクルマは、メルセデスSLC 300(日本未導入)と、頂点に位置するメルセデスAMGのSLC 43。どちらも甲乙つけがたい出来だった。

Mercedes-Benz SLC|メルセデス・ベンツ SLC
Mercedes-AMG SLC 43|メルセデスAMG SLC 43

情熱と常識の理想的なコンビネーション(2)

積極的に運転を楽しみたい人のためのクルマ──SLC 300

メルセデス・ベンツSLC 300は、2リッター4気筒エンジンを搭載した後輪駆動。245ps(180kW)の最高出力と、370Nmの最大トルクを発生する。変速機は9段オートマチックがおごられている。短い前後のオーバーハング(車輪の前後の車体)と、後輪の上でキャラクターラインがキックアップした意匠によって、好感のもてるスポーティさを有している。

インテリアはSLKと大きく変わっておらず、メルセデス車に慣れたユーザーは違和感なく運転できる。立体的な造型のシートは、試乗したモデルはブラックとホワイトの2トーンだった。なんとなくイギリス車的というか、無機的でない雰囲気が好ましい。速度計と回転計、大きなメーカーが目の前に2つ並び、短いギアセレクターがちょうど手を置いた位置から生えているので運転しやすい。

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アクティブレーンキーピングアシストが用意される

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バリオルーフ装備

SLCになっての大きな変更点は、スポーツ+(プラス)を備えたドライブセレクトが搭載されたことだ。Sクラス カブリオレの場合、ゆったりした動きも気持ちよく、コンフォートモードもいいと思ったけれど、よりスポーティなSLCはスポーツ、あるいはスポーツ+でのきびきびした走りをかなり楽しむことができる。エンジン回転数があがってパワーが増し、ダンパーが硬くなるので、ステアリングホイールを切ったときの車体の動きがかなりシャープになる。

SLC 300は2リッターという排気量からは想像できないほどパワフルだ。先に「情熱と常識の理想的なコンビネーション」というメルセデス・ベンツの重役のコメントを紹介したけれど、気持ちのよさを重視する人は、SLC180とかディーゼルのSLC 200dでいいかもしれない。SLC 300はもっと積極的に運転を楽しみたい人のためのクルマだ。ダイナミックセレクトのスポーツ+モードは、エンジンを積極的に高回転まで回して走るようなドライビングスタイルにより合うのだ。

シリーズ中唯一のマルチシリンダーエンジン搭載のメルセデスAMG SLC43は、期待どおりのスポーツモデルだった。

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Mercedes-AMG SLC 43|メルセデスAMG SLC 43

情熱と常識の理想的なコンビネーション(3)

優雅さとスポーティさのコンビネーション──メルセデスAMG SLK55

従来SLKのラインナップには、5.5リッターV8エンジンを搭載したメルセデスAMG SLK55が存在した。今回はそれを廃して、2気筒少ない3リッターV6ツインターボエンジンとなっての登場だ。「市場からはパワーが足りないのではと不安視する声もありました」。ニースの試乗会で出合った開発担当者もそれを認める。「しかし乗っていただけば、明らかなメリットがわかるはずです」。そう付け加えるのを忘れなかった。

ニースの優雅な岬から背後に迫る山岳路へと入り、まさにヘアピンのようなきついカーブが連続する上りをこなすのが、SLC 43の試乗の前半部分だった。最大トルクの530Nmが2000rpmから発生する設定のV6は、車重1595kgの2シーターを軽がると走らせる。アクセルペダルの踏み込み量はごく少なくてもパワー不足を感じることはない。ハンドリングは正確なうえに車体の動きのなめらかさは、まさにスポーツカーだ。乗り心地が硬くて閉口するということもなく、バランスのとりかたがじつにうまい。

Mercedes-Benz SLC|メルセデス・ベンツ SLC

SLC43のホイールリム径は18インチ

Mercedes-Benz SLC|メルセデス・ベンツ SLC

SLC43のステアリングホイールは握りの感触も良好

SLC 43にもダイナミックセレクトが搭載されている。このクルマでスポーツ+(プラス)を選ぶと、かなり楽しい。スポーティな側面のいいところがきっちり余すところなく引き出される感じだ。同時にステアリングは安定しているし、ハンドリングは正確。試乗の日のニースは一日中雨にたたられたので、オープンにする機会が限られたが、それでも40km/hまで走行中に操作できるバリオトップを開けると、ウィンドシールドの上端の向こうに空が見える。オープン感がちゃんとあるのも美点だ。優雅さとスポーティさのとてもいいコンビネーションだ。

ちなみに、SLC 43はすでに日本でも発売されているが、SLC 300は日本未導入となる。

           
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