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2022年11月14日
モータージャーナリスト 小沢コージが語る、MINI CROSSOVER PHEVの魅力|MINI
Presented by MINIMINI CROSSOVER PHEV|ミニ クロスオーバー PHEV
アクティブなライフスタイルに寄り添うサステナブルな相棒
MINIの伝統を継承しつつもスマートさと武骨さを融合させたデザイン、5人乗りかつ広々としたラゲッジ・スペースを備えるユーティリティ性、独自の4WDシステム「ALL4」による道を選ばない走り──そうしたMINI CROSSOVERの特長に加え、PHEVならではの滑らかな走りと環境性能を両立させたMINI CROSSOVER PHEV。ここ数年MINIを愛用してきたモータージャーナリストの小沢コージ氏が、その特別仕様車「MINI CROSSOVER UNTAMED EDITION PHEV」に試乗し、真価を確かめた。
Text by OZAWA Koji|Photographs by TAKAYANAGI Ken
電動化の波が押し寄せる今、何に乗るべきか
「小沢さん、次に乗るクルマなんだけれどなにがいいかな? 電動化でガソリン車もあと何年乗れるかわからないし、かといってEVもちょっと怖いでしょ。充電待ち渋滞も大変そうだし」
最近こういう相談がやけに多い。オマケに今後の電動化は言われている程のテンポでは進まない可能性もあり得るので、ますます読めない。
そこで私はこう言うことにしている。
「だったらPHEV、プラグインハイブリッドしかないでしょ。簡単に言うと充電もできる電池増し増しのハイブリッド車で、充電しておけばEVとして電気だけでも走れるし、充電が切れたらガソリンを使ってエンジンでも走れる。まさにEVとハイブリッド車のハーフ&ハーフ。燃費も悪くなく、EVとしても使えるし、今の時代には持って来いかも」
中でも個人的にも興味があるのはMINIの4ドアモデル、MINI CROSSOVERにラインナップされるPHEVだ。サイズ的に普通のガソリン&ディーゼルモデルと変わらないだけでなく、リアに88PSのPHEV用モーターと10kWhのリチウムイオン電池も備え、フル充電からだと約53km (WLTPモード)のEV走行が可能。
航続距離はBEV(ピュアEV)と比べると短いが、充電が切れても普通に1.5リッター・ガソリン・ハイブリッド車として走れ、燃費もWLTCモードで 14.8km/Lと悪くない。まさにいいとこ取りなのだ。オマケに小沢は自らミニを長年所有し、その良さも知っている。
とはいえオススメするからにはプロとして自ら試さないわけにはいかない。そこで今回は「MINI CROSSOVER PHEV」の限定モデル、「MINI CROSSOVER UNTAMED EDITION PHEV」を長距離にわたって試乗してみることにした。
PHEVだろうがやっぱりMINIはMINI
「PHEVだろうがディーゼルだろうが、やっぱりMINIはMINIか」
クルマに乗り込み、走り始めた瞬間、そう思った。
ここ何年間愛用してきたMINIだが、ご存じの通りかなりマルチキャラクター展開をしている。当初3ドアハッチバックだけだったのが、オープンの「CONVERTIBLE」、5ドアハッチバックにスプリット・ドアを備えた「CLUBMAN」、今回乗ったSUVボディの「CROSSOVER」や最速仕様の「JOHN COOPER WORKS」などバリエーションが多い。正直、大きくなったなぁと思うモデルもある。
だが毎回乗った瞬間、どれも「やっぱりMINIか」と感じさせるからすごい。
どんなサイズになっても、ある種のふるまいやデザインの質、運転のタッチは変わらない。それは変な話、ファッション、グルメ、スポーツギア、強い求心力を持つグローバルブランドには共通のポイントで、どれも使ってみると「ああやっぱり」と感じる品質感であり世界観がある。
MINIの場合、特に顕著なのが変わらぬデザインと走り味。中でも今回乗ったMINI CROSSOVERだが、2010年に初代がデビュー。ブランド初の4ドアボディは全長4メートル超えで、4輪駆動車「ALL4」まで選べる。正直サイズは大きめ。しかし乗ると味わいはしっかりMINIなのだ。
それは3代目となる現行モデルでも同様で、初代にも増して大きくなっている(F60がUKL2になったのは2代目から)のに見た目にMINIらしい遊び心や英国テイストを感じると同時に、走るとやっぱりMINI。不思議なくらいの固有性であり、クルマづくりに対するある種の志であり、信念を感じさせる。
さておき今回の本題、MINI CROSSOVER PHEVだが、どこまでMINIの味を保てるかとは思っていた。ベースは現行MINI CROSSOVERで、ご丁寧にも全長4,315×全幅1,820×全高1,595mmのボディサイズは、ガソリンやディーゼル仕様のCROSSOVERと全く変わらない。ただし、中身は異なり、フロントに136PSの1.5リッター直列3気筒ガソリンターボを搭載し、6速ATを介して前輪を駆動すると同時に、リアに後輪を駆動する88PSのPHEV用モーターを備える。
さらにリアに10kWhのリチウムイオン電池を備え、前述した通りフル充電から約53km(WLTCモード)のEV走行が可能。ただし、左フロントには充電ポートが付き、なによりラゲッジスペースのフロアが電池の搭載分だけ高くなり、容量が450リッターから405リッターに減る。車重もディーゼル仕様の「COOPER SD ALL4」比で約90kg増えて1770kgになる。
さすがのMINI CROSSOVERもPEHV化で多少重ったるくダルくなるか? と予想していた。というのも、昨今の電動化は微妙にクルマの味を変える。特に質的な変化で重くなった分、しっとり高級感が増す。高級感というと聞こえはいいが、それがクイックなゴーカートフィーリングをモットーとするMINIだけにどうなのか? とも思うのだ。
しかし、乗った瞬間に憂いは消え去る。出足からMINIならではの駿足ぶりで、加速のキレは悪くなるどころか逆にいい。特に電池フル充電からのフルパワー状態だと88PSのリアモーター分、パワーは増えてシステム出力224PS。現行MINI CROSSOVERの中で最もパワフルで、低速トルクに優れた電動モーターが稼動するだけあって発進から滑らかかつ速い。
ステアリングの切れも素晴らしい。個人的にはここが一番要注意で、重くなった分、ダルさがあるかと思いきや、それは一切感じなかった。どんなモデルでもMINIはMINI。トコトン頑固な走り味マイスターがモノづくりのマインドを支えているのだろう。
色使いやディテールデザインでもしっかりMINIらしさを追求
外装もまたしかり。MINI CROSOVERは前述通り横幅が1.8メートルを超える。しかし全長4.3メートル台はイマドキのコンパクトSUVセグメントの中でも短い部類に入る上、箱っぽいフォルムもキャラクター性のあるLED デイライト・リング付き楕円ヘッドライトやMINIらしいクラシカルなグリル、オシャレな2トーンカラーがサイズを感じさせない。小沢は常々、MINIの英国調デザインはある種の魔法のようにブランドの世界観を伝えると思っているが、独特のグリルやライトの位置関係やバランスがそうさせるのだろうか。
さらに、今回乗ったMINI Crossover Untamed Edition PHEV(以降 Untamed Edition)は専用ボディ色のモメンタムグレーを採用。クロームメッキを多用するミニとしては珍しく、ヘッドライトやリアコンビネーションランプ、フロントグリルフレーム、エンブレム、テールパイプなどに光る黒を配色したピアノブラックエクステリアを標準装備。
フロントバンパー左右のエアインテーク、アンダーガードもボディカラーと同じモメンタムグレーに変更。
他ブランドの電動化モデル、BEVやPHEV仕様ならばきっとエコをイメージさせるブルーを多用するはずだが、MINIはひと味違う。独自アースカラーと抑えたブラックの組合せで「電動モデル」を主張。グレーは少しグリーンがかっており、迷彩色のようにも見えるが、このあたりも個性的で実にMINIらしい。
人と同じを良しとせずのアマノジャク的戦略だが、ここもファン的はうれしい。性能や走りの味付けだけじゃない。色づかいやディテールデザインでもしっかりMINIらしさを追い求めているのだ。
インテリアも同様。そもそもメーターからセンターディスプレイからツマミから、あらゆる操作系は丸型か楕円デザイン。しかも色使いや質感、メッキのセンスがいいからガキっぽく見えない。8.8インチのタッチスクリーンもほどよくデジタル感があり、アップルカープレイにも対応する。
PHEVならではのコネクティッド機能も充実しており、専用スマホアプリ「MINI APP」を介して燃料レベル、充電状況、残りの航続距離の確認や、メンテナンスすべきタイミングを知ることもできる。
日常的にも広い駐車場で止めた場所を忘れたとき、位置を確認できたり、寒い冬の朝、予め出発時刻に合わせてエアコンを作動させておいたり、ドアロック&アンロック、ヘッドライト点灯までリモート操作ができる。
そのほか今回のMINI Crossover Untamed Edition PHEVは、インテリアにも独自のアースカラーを採用。自然にインスパイアされたブルーとグリーンの特別パーツで覆われており、助手席前はフローズンブルーのパネルに「Untamed」の文字が浮かび上がるようになっているし、本革とファブリックのコンビネーションシートも専用カラーのハイランドグリーンがオシャレ。シブ目の色合いに鮮やかなグリーンとブルーのステッチが映える。
これまた同じ電動SUVでも、MINIはMINIなりの世界観を提供しようとしているのが分かる。
いま買える最もオールマイティなMINI
今回はせっかくのPHEVなので、都内だけでなく、高速のロングドライブや郊外のワインディングや未舗装の林道も試してみた。
すると当然ながら50km程度走ったところで充電がなくなり、普通のガソリン版MINI CROSSOVERに戻る。
だが、それでもMINI CROSSOVER PHEVが素晴らしいのは、それ以降も十分MINIらしい味を保って走れること。もちろんエンジン音なしの発進や滑らかなモーターでの加速はほぼ楽しめない。だがフロントに搭載した1.5リッター直列3気筒ガソリンターボは136PS&220Nmのピークパワー&トルクを発揮。これはノーマルのMINI CROSSOVER用の1.5リッターガソリンターボ以上で、重めのボディをしっかり引っ張ってくれる。
また回生ブレーキ付きのPHEVなので、発進自体は常に電動アシストが加わっているし、燃料消費を抑えるべくアクセルオフでエンジンは大抵止まる。
さらにワインディングはもちろん、林道で感じるのがMINI CROSSOVERが持つ安定感と駆動力の確かさ。車高ほぼ1.6メートルと重心が高そうに見えるが、ハイスピードコーナリングでも腰高感はないし、予想外に良かったのがダート路面の林道だ。
未舗装がゆえに特にステアリング切り出し時のタイヤグリップが不安だったが、これまたMINIらしいキレがあり、さらにコーナリング中、アクセルを踏み増すと充電状態によりリアモーターが駆動し、曲がりを上手に助ける「eブースト」が働く。
充電が切れても要所要所はしっかりハイブリッド4輪駆動車として走れるのだ。
確かにPHEV化したMINI CROSSOVERと聞くと、いったいどういう特性があるのか。電動化はいいがCROSSOVERとしてどういうメリットがあるのか分かりにくいかもしれない。
そうではない。走りの電動感を抜きにしてもシリーズ中で最もスムーズで、使い勝手はほぼ同等、日常づかいから遠方へのドライブ、アウトドアやウィンタースポーツなど広い範囲で使える、つまりアクティブなライフスタイルに寄り添ってくれるモデルでもあるのだ。
MINI Crossover Untamed PHEV の車両価格は、547万円から。エコカー減税対象車なので45万円の免税が受けられる。
MINI CROSSOVER PHEVは、いま買える最もオールマイティなMINIであり、イマドキ悪くない選択かもしれないのである。
あ
あ
Spec
MINI CROSSOVER PHEV UNTAMED EDITION|ミニ クロスオーバー PHEV
全長×全幅×全高|4,315×1,820×1,595mm
ホイールベース|2,670kg
車両重量|1,770kg
エンジン|1,498cc 直列3気筒MINIツインパワー・ターボ
最高出力|100kW(136PS) / 4,400rpm
最大トルク|220Nm / 1,300-4,300rpm
システム最高出力|165kW(224ps)
システム最大トルク|385Nm
駆動用バッテリー|リチウムイオン電池
総電力量|10.0kWh
充電時間|約3.5時間
トランスミッション|6速AT
駆動方式|4WD
タイヤサイズ(前後)|225/50 R18
価格|547万円~
MINI CROSSOVER PHEV UNTAMED EDITION|ミニ クロスオーバー PHEV
全長×全幅×全高|4,315×1,820×1,595mm
ホイールベース|2,670kg
車両重量|1,770kg
エンジン|1,498cc 直列3気筒MINIツインパワー・ターボ
最高出力|100kW(136PS) / 4,400rpm
最大トルク|220Nm / 1,300-4,300rpm
システム最高出力|165kW(224ps)
システム最大トルク|385Nm
駆動用バッテリー|リチウムイオン電池
総電力量|10.0kWh
充電時間|約3.5時間
トランスミッション|6速AT
駆動方式|4WD
タイヤサイズ(前後)|225/50 R18
価格|547万円~
問い合わせ先
MINI カスタマー・インタラクション・センター(平日 9:00-19:00、土日祝 9:00-18:00)
Tel.0120-3298-14
http://www.mini.jp