918 スパイダー グッドウッドを走る|Porsche
Porsche 918 Spyder|ポルシェ 918 スパイダー
918 スパイダー グッドウッドを走る
ポルシェのプラグインハイブリッドスーパーカー「918 スパイダー」。先週末に開催された、グッドウッド フェスティバル オブ スピードでは、ついにその走行が一般公開された。
Text by SUZUKI Fumihiko(OPENERS)
未来リードする高効率のスーパーカー
今年のグッドウッド フェスティバル オブ スピードでは、生誕50周年をむかえた「911」がフィーチャーされ、同時に、予告されたとおりにポルシェの歴史的なレーシングカーが多数登場した。
であれば、当然、ポルシェの最新スーパーカー「918 スパイダー」も登場しないはずはない。
918 スパイダーはこれまでも公開はされていたものの、グッドウッドでは、一般大衆の前で、その走行を披露する、ダイナミックデビューとなった。
ポルシェが今後の10年をリードするクルマとして投入する、この最新スーパーカーは、各種のアイデアを、ポルシェが2014年 ル・マン24時間レースのトップカテゴリーであるLMP1に投入するという、新型レースカーと共有している。ル・マンへのポルシェの本格参戦は、1998年の総合優勝以来。その時のクルマは、グッドウッドでも登場している「911 GT1」であり、これは996型「911」をベースとしているといわれているので、プロトタイプレーサーを用意して、ワークス体勢でのぞむという意味では1980年代の「962C」以来のことだ。
そんな本格レーシングカーとおなじ血が流れる918 スパイダーだが、搭載する4.6リッターV型8気筒エンジンも、やはりル・マンレーサーである「LMP 2 RS スパイダー」のものをベースとする。このマシンはLMP2の名前からも明らかなように、LMP1より、ひとつ下のカテゴリーにあわせて、ポルシェがプライベーター向けに投入しているレーシングカーだ。
そのエンジンが、リアのモーターと組みあわされ、くわえて、独立したフロントのモーターとともに、4輪を駆動するのが、918 スパイダーのドライブトレインとなるが、この特殊な4WDシステムは「911 GT3 R ハイブリッド」譲りのもの。
車両中央、低いところにエンジンをはじめとした、重量物を集中させ、前後重量配分は前43:後57を実現。さらにモノコック、サブフレーム、足まわりにはCFRP(カーボンファイバー強化ポリマー)を使用し、乾燥重量は1,640kgとされる。
フロントのフラップとテールウィングで空力抵抗を走行モードにあわせて調節しており、Raceモードでは、フラップを開放、ウイングをたてて、ダウンフォースと冷却能力を最大化。Sportモードでは直進向けにフロントの開口部を閉じる。そしてE-Powerモードでは、ウイングも格納して、空気抵抗を最小化する。
結果、ニュルブルクリンク北コースでは7分14秒を記録するという、凄まじいパフォーマンスを発揮しながら、6.8kWhのリチウムイオン電池によって約30kmのEV走行を可能とし、NEDC計測での燃費は3ℓ/100km(約33.3km/ℓ)程度が見込まれている。
最大限のパフォーマンスを最小限のエネルギー消費で、をコンセプトとする918スパイダー。発売は今年中。価格は欧州で約78万ユーロ、北米で84万5,000ドルといわれている。
Porsche 918 Spyder|ポルシェ 918 スパイダー
ボディサイズ|全長4,643×全幅1,940×全高1,167mm
ホイールベース|2,730 mm
トレッド 前/後|1,664 / 1,612 mm
重量|1,640 kg(Weissachパッケージ装着の場合)
エンジン|4.6リッター V型8気筒
最高出力| 447 kW(608 ps)/ 8,600 rpm
最大トルク|530 Nm / 6,600 rpm
リアモーター出力|115 kW
フロントモーター出力|95 kW
システム最高出力|887ps
システムトルク|800Nm /800-5,000rpm
1,275 Nm(7速時)
1,086 Nm(3速時)
トランスミッション|7段オートマチック(PDK)
駆動方式|4WD
タイヤ 前/後|265/35R20 / 325/30R21
0-100km/h加速|2.8 秒
最高速度|340km/h(モーターのみで走行の場合は150km/h)
燃費(NEDC値)|約3.3 ℓ/100km
CO2排出量|約79 g/km
EV走行可能距離|約30 km