特集|伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 4
特集|伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅
Chapter 4:伝統とモダンが交錯するロンドン屈指のグランドホテル
“バッキンガム宮殿の別邸”にステイ!(1)
「伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅」最終回となる今回は、時代を超えて、イギリス王室や政界だけでなく、世界中のセレブリティ、多くのスターたちを魅了しつづけてきた名門ホテル「クラリッジズ」と「ザ・コノート」にステイ。ロンドン屈指の歴史と格式をもつ空間で、ひとときのロイヤル文化を堪能する。
Photographs by MATSUI HiroText by AKIZUKI Shinichiro(OPENERS)
王室御用達の名門ホテル「クラリッジズ」
“バッキンガム宮殿の別邸”とも呼ばれる名門ホテル「クラリッジズ」。その歴史は実に200年前の1812年にまでさかのぼる。ジェームス・ミヴァート氏がメイフェアの一等地に建てた「ミヴァーツ・ホテル」がそのすべてのはじまりだ。現在の「クラリッジズ」へと名称を変えたのは1854年のこと。ロンドンの旧家に仕えていたクラリッジ夫妻にホテルが売却されたことをきっかけに、徐々にそのスタイルを変えていった。いまも受け継がれるエレガントな外観と、当時流行したアールデコ様式を取り入れた可憐な佇まいは、1930年に模様替えされたものである。
一歩踏み入れば、ロビーには幾何学図形をモチーフとした黒白のタイルが敷き詰められ、美しい装飾がほどこされた階段が上層階へと導く。その壮麗な内装は“アールデコの宝石箱”と呼ばれるほど。現在はイングリッシュ・ヘリテージの重要建築物として登録されるなど、ロンドン市民に広く愛されている。
王室とクラリッジズの関係は、ヴィクトリア女王が1860年に、フランスのウージェニー王妃と会う場所として選んで以来のつながり。クラリッジズにいたく感動したヴィクトリア女王は以降、晩餐会をはじめ、国賓を招く際の宿泊地として指定するなど、いつしか“バッキンガム宮殿の別邸”と呼ばれるように。日本の皇室とも所縁が深く、昨年開催されたエリザベス2世の即位60年を祝賀する午餐会に出席した天皇皇后両陛下は、ここクラリッジズに宿泊している。
誰もがプリンセスになれる場所
最近は、ロンドンの伝説的シェフで、ミシュラン三ツ星を獲得したゴードン・ラムゼイ氏による「Gordon Ramsay at Claridge's」をオープンさせるなど、格式ある伝統の中にも、モダンなロンドンを巧みに織り交ぜるクラリッジズ。その絶妙なひねりこそが、いつの時代も多くの人々を魅了しつづける所以なのかもしれない。特別な空間で過ごす、ひとときのプリンセス気分。このホテルでの滞在は、きっと忘れられない体験となることだろう。
次頁では、この「クラリッジズ」とおなじ「メイボーン・ホテルグループ」によって所有、運営されている「ザ・コノート」を紹介したい。
Claridge's|クラリッジズ
住所|Brook Street, Mayfair, London, W1K 4HR
Tel. +44-(0)-20-7629-8860
http://www.claridges.co.uk
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Chapter 4:伝統とモダンが交錯するロンドン屈指のグランドホテル
“バッキンガム宮殿の別邸”にステイ!(2)
モダンブリティッシュな「ザ・コノート」
ロンドンでも屈指の高級住宅街、メイフェア地区に位置し、ボンドストリートからも徒歩数分という最高のロケーションに建つ「ザ・コノート」。こちらも1897年に創業された歴史ある名門ホテルのひとつだ。開業当初は「コーブルク・ホテル」と呼ばれていたが、1917年にヴィクトリア女王の第三王子である、プリンス・アーサー・コノート公爵の名を冠し現在の名称となっている。
先述の「クラリッジズ」とくらべると、よりスタイリッシュで、モダンな造りが印象的なザ・コノート。マホガニーの美しい階段を囲むようにしてデザインされた建物は、英国伝統の格式を残しながらも、まるで堅苦しさがない。だからといってカジュアルすぎない絶妙な味付けなのである。よりクラシックな趣を楽しみたい方は「クラリッジズ」、あたらしいイギリスのラグジュアリーを楽しみたい方は「ザ・コノート」とった感じだろうか。
ショッピング、食事にスパも想いのまま
そんなあたらしいイギリスを好きな方にお勧めしたいのが、「AMAN SPA at The Connaught」だ。アジアを中心に展開する高級リゾート、アマンが、自身のリゾート以外で初めてオープンさせたスパとして、いま人気を集めている。マシン類は一切使わない、すべて手作業による贅沢でエレガントな安らぎに包み込まれ、旅先の疲れも一瞬に吹き飛んでしまいそうだ。
たっぷりと癒されたあとは、ショッピングにでかけるのも、またアフタヌーンティーを楽しむのも良い。高級ブランドが立ち並ぶメイフェア地区に建つザ・コノートは、マウントストリート、サウスオードリーストリートやブルートンストリート、そしてボンドストリートにも簡単に足を延ばせる。思い立ったら即行動。そんなアクティブな気持ちにさせてくれるホテル、そうはない。
食事を楽しみたければ、フランスから招いた女性シェフ、エレーヌ・ダローズ氏によるミシュラン二ツ星を持つ「Helene Darrozeat the Connaught」、ビストロスタイルのレストラン「Espelette」でランチやアフタヌーンティーを満喫するのもお勧めだ。
ロンドンの中心地を舞台に、伝統とモダンが交錯するクラリッジズとザ・コノートのふたつのホテル。どっぷりと英国ロイヤル文化に浸りながら、非日常的な旅を贅沢に楽しみたい。
さて、「伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅」をテーマとし、1回目は、“豪華列車「ブリティッシュ・プルマン」で訪ねる英国田園風景”、2回目は、“隠れ家リゾートで愉しむ英国流ヴァカンス”、3回目は“ロールス・ロイスでランチトリップ”、そして最後は“英国王室御用達の名門ホテルに泊まる”と題し全4回に分けて、美しきイギリスの魅力を紹介してきた本特集、いかがだっただろうか。
もし、今後イギリスへの旅を計画されている方がいれば、すこしでも参考になれば幸いである。ちょっと欲張った旅の方が、きっと面白い。
The Connaught|ザ・コノート
住所|Carlos Place, Mayfair, London, W1K 2AL
Tel. +44-(0)-20-7499-7070
http://www.the-connaught.co.uk