竹富島の歴史文化を学び、味わう、大人のためのプレミアムな“食育”にご案内!|TRAVEL
LOUNGE / TRAVEL
2022年2月3日

竹富島の歴史文化を学び、味わう、大人のためのプレミアムな“食育”にご案内!|TRAVEL

TRAVEL|星のや竹富島

「知る」は、おいしい!リターンズ 星のや竹富島編(1)

星のや竹富島の冬のご馳走「島テロワール」、今年も食べてきちゃいました。えへ。

Photographs by OHTAKI Kaku|Text by HASEGAWA Aya|Edit by TSUCHIDA Takashi

ええ、そうですとも! 知識で食せば、おいしさ倍増なのです

「島テロワール」というのは、星のや竹富島が2018年にスタートした、冬限定のディナーコースのこと。竹富島の特徴的なテロワールで育った食材が旬を迎える冬に、島の天・地・人が織りなす至福のディナーコースに仕立てました。珊瑚礁が隆起してできた竹富島は、周囲約9kmの小さな島。竹富島独自のテロワールがあり、年間平均気温24度という温暖な気候で育つ島の食材の主な旬はずばり、冬なんですって。
じつは私、2019年にいただいたことがありまして。その時のときめき体験についてはこちらをご覧くださいましhttps://openers.jp/lounge/lounge_travel/f9n6i(と、さりげなく宣伝)。その「島テロワール」が4年目を迎える今季、さらにアップデートしたと小耳にはさんだのです。なんですと? 2年前にもすっかり完成されていたあのコースが、さらに進化を遂げた、と? まじか!? そんなわけで、気づいたら飛行機に乗っていました。
で、「島テロワール」、何が変わったんでしょう?
「昨今のコロナによる影響で、免疫力に対する意識が高まっています。星野リゾートとしても、免疫力を高めるため、発酵食品を取り入れていこうという機運が高まりました」(星のや竹富島 青木優司料理長)
2020年に料理長に就任した青木優司さんは、沖縄に古くから伝わる発酵文化をより意識したと、たおやかな笑顔で教えてくれます。発酵食材は、免疫力を高める食材の代表格ですもんね。八重山諸島はもともと発酵文化が栄えていた地域ということもあり、「島に根付く発酵食材を感じる、冬の星のや竹富島でしか食べることのできないコースに仕立てたいと考えました」。
そう語る青木さんは埼玉県出身。都内のレストランやフランスで研鑽を積みますが、フランスに行ったことで、自分がいかに日本のことを知らないかを痛感。帰国後、これまで触れてこなかった地方の文化や食材に触れてみたいと、星野リゾートに入社します。そんな青木さんが作り上げる「島テロワール」とは!?
コースのスタートは、屋外にある「風のテラス」で提供される、「島風(しまかじ)アペロ」。やっぱり冬の沖縄っていいですね。冬独特の涼やかな、でも南国ならではの暖かな風が頬を撫でます。この時期はアペロタイムに、一番星が見えはじめることもあるそうですよ。「我こそが主役」的なヒロイン感にしばし浸りながら、「島テロワール」をいただく準備を整えるとしましょう。
レストラン内部に移動すると、アミューズの「ガザミと島豆腐のクープ」に続き、このコースのハイライトのひとつである、「芋の3種の調理法」がやってきましたよ!
竹富島の土壌は、珊瑚礁の隆起によってできた琉球石灰岩から成っています。川も山もありません。つまり水稲栽培(田んぼ)ができず、米が作れないのです。そんなわけで、竹富島の人々は、長い間、芋を主食としてきました。
「芋の3種の調理法」は、島の人にとって欠かすことのできない存在だった芋を、ヴァプール(蒸す)、フリット(揚げる)、ロースト(焼く)の3種の調理法で味わう、「島テロワール」を象徴する一皿です。今回は使用している芋の色も3種類……。
素朴な甘みを感じる白い芋のヴァプールには、「島で親しまれているアンダンスー(油みそ)とサワークリームを添えました」と青木さん。おお? 粘り気を感じる食感も楽しいですね〜。黄金色の芋は、ラードの塩漬けで覆ったフリットで。紫色の芋はローストすることで、その甘みを凝縮させ、さらにオレンジの香りをまとわせました。
いやあ前回、いただいた時も思ったのですが、芋の汎用性の高さよ! 子どもの頃から身近で、勝手に親しみを抱いている芋に、畏敬の念さえ抱きます。美しくおめかしされた芋たちは、お皿の上で輝いていました。
で、こちらに合わせるお酒は、「イムゲー」(芋酒)。お察しのとおり、サツマイモを原料とする、明治時代後、庶民が芋や黒糖で自家用として造っていたお酒です。時代の流れとともにいつの間にか作られなくなったお酒でしたが、離島の泡盛酒造蔵元3社の手により、現代的なアレンジが施され、約100年ぶりに復活したのだとか。「え、芋焼酎と何が違うの?」ですって? そんな声が聞こえてきた気がしたのでお答えしておきますね。芋焼酎は、麹に水と酵母を加えて酒母を造る一次仕込み、さらに甘藷(サツマイモ)を投じて発酵させる二次仕込みで造られますが、イムゲーは二次仕込みの後、さらに黒糖を加えて発酵させる三次仕込みを行っているんです。「芋の3種の調理法」に合わせる、これ以上のお酒があるでしょうか……? これぞ究極の「島テロワール」と、早くも恍惚モードに突入です。
「フォアグラとクブシミのポワレ イカ墨のリゾットと共に」もバージョンアップしていました。八重山の冬に旬を迎えるコウイカの一種、クブシミを、フレンチならではの食材であるフォアグラに合わせた料理の独創性が際立ってます。「島テロワール」のスタート直後から高い人気を誇っていましたが、青木さんは、フォワグラを、お米を発酵して作った「やいま味噌」でマリネするというさらに大胆なアレンジを施しています。フォアグラと味噌の意外な相性の良さに大興奮! 甘酸っぱいたんかん(柑橘類)のソースも島感を高めてくれます。
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