竹富島の歴史文化を学び、味わう、大人のためのプレミアムな“食育”にご案内!|TRAVEL
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2022年2月3日

竹富島の歴史文化を学び、味わう、大人のためのプレミアムな“食育”にご案内!|TRAVEL

「知る」は、おいしい!リターンズ 星のや竹富島編(2)

怒涛の“島テロ”。竹富島の文化と歴史をフレンチ仕立てで学び食べる

こちら、セミエビ! 最初に蒸したての姿を見せていただけます。
続いてお出ましになったのは、「セミエビの命草蒸し コンソメ添え」。今季、初登場のスーパールーキーです。温暖な浅海の岩礁やサンゴ礁に生息するこのセミエビちゃん。イカつそうなお姿ですが、イカにも食べられてしまう非力な子で、なかなかこのサイズまでは成長しないそう。漁獲量が少なく市場には出回らないことから「島の人も滅多にお目にかかれません」。そのセミエビを、長命草やグアバ茶、月桃茶をブレンドした命草(ぬちぐさ)の茶葉で包んで蒸し上げたのがこちらの料理ですって、なにやら神聖な儀式のよう……。
「竹富島の命草で香りをつけて、ここでしか味わえない料理に仕立てました」と、青木さん。身がぎゅっと締まった冬のセミエビは、甘みがあり、嚙み締めるほどに旨みがじーんわり。初々しさのなかに、確固たる個性を感じます。
「セミエビの命草蒸し コンソメ添え」。実食時には、取り分けて盛り付け。繊維質たっぷりの身の食感もさることながら、コンソメの旨味がまた格別っ!
「普通の海老も美味しいですが、セミエビはそれをさらに濃縮させた旨味を持っています。それをあまり手を加えず、シンプルに食べていただきたいと思いました。コンソメのスープは殻からとっています。セミエビをまるごと味わい尽くすような一皿です」
こちらに合わせるのは、オーストリアのロゼワイン。重厚感のなかに熟成感もある、良い意味で、なかなかクセのあるナチュールです。セミエビと一緒に口に含むと、潮風が鼻を抜けていきます。じっくり低温で火入れした、弾力あるセミエビの身が口内で喜びのダンスを踊り始め、その甘みが舌を滑り、やさしく喉を通り抜け、ストンと胃に落ちていきました。
メインは、「和牛の炭火焼き フーチバーの香り」「車エビと豚のショーソン」のいずれかの選択になります。迷いに迷って豚肉の料理、青木さんの言葉でご紹介しますね(さぼっているわけではないですよ)。
「フランス料理に、鶏肉とエビを合わせた料理がありますが、豚肉文化のある沖縄でやるなら、やはり豚肉を合わせたいと考えました。竹富島には車エビの養殖場もあります。この車エビをつなぎに、豚肉と合わせてパイ包みにしました」
そうなんです、これパイ包みなんです。そして、2種類用意されていた、ソースがまた楽しいのなんのっ。その名も、赤ワインのソースと、白ワインのソースです。呑んべいの私は、ソースの正体を知った瞬間、椅子を倒して立ち上がらんばかりに興奮してしまいました。
赤ワインソースには、エビのエキスがたっぷり。「これを赤ワインで煮立て、つなぎで入っている車エビとの相性を引き立てました。フランス料理でいう、シヴェソースです」。白ワインソースは、バターを加え、酸味を効かせて仕上げているそう。「大きなパイですが、白いワインのソースで、一度、リセットができます。もたれることなく、最後までご賞味いただけると思います」。
料理人なので当然かもしれないですが、料理について話す青木さんはとーっても楽しそう。話を聞いているだけで、お腹がすいてきますし、「よし、美味しく食べるぞ!」モードが高まってきます(笑)。
「僕は旅が大好きで、点ではなく、線でつながる旅がしたいと、竹富島にやってきました。豊かな自然と人の営みが残っている島で、その景観を守るために先人たちが努力を惜しまなかったここに来て、僕たちは先人のバトンを受け継いでいるのだと実感しました」
「知識が増えると、より楽しくなってきます」と、続ける青木さんは、今やすっかり島の魅力の伝道師。「養殖所があるからこそ手に入る、車エビの稚魚も泡盛によく合いますよ」なんて、目から鱗、口からヨダレの美味しい情報をぽつりぽつりと教えてくれます。
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