MOVIE|クロード・ランズマン監督によるホロコーストのドキュメンタリー3本を一挙公開
MOVIE|『SHOAH ショア』『ソビブル、1943年10月14日午後4時』『不正義の果て』
クロード・ランズマン監督によるドキュメンタリー3本を一挙公開
今年でアウシュヴィッツ強制収容所解放から70年。これまでホロコーストに関するドキュメンタリーを多く手がけてきた、クロード・ランズマン監督の代表作とも言える3本のドキュメンタリーが一挙公開。2月14日(土)から3月6日(金)まで、シアター・イメージフォーラムでロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
上映時間9時間27分の超大作『SHOAH ショア』
1925年にフランスで生まれ、89歳を迎えたクロード・ランズマン監督。ジャーナリストを経て1973年に初監督作品『なぜイスラエルか』を発表。以降ドキュメンタリー作品を数多く手がけ、年齢を重ねてもなお衰えない創作意欲を見せている。
そんなランズマン監督による、ナチスによる大量虐殺「ホロコースト」を扱った3本のドキュメンタリーが戦後70年を記念し、一挙に上映。なかでも注目されるのが、1985年に発表された9時間27分もの長さとその内容の濃さで世界中から大きな反響を呼んだ『SHOAH ショア』だ。
ホロコーストの全体像を関係者の証言のみで構成した同作は、ナチスの収容所から生還したユダヤ人や元ナチス親衛隊員、収容所の近くに住むポーランド人農夫ら膨大な数の証言者をランズマン監督自らが訪ね、彼らの肉声のみで構成した大作となっている。
『SHOAH ショア』のその後を描いた“幻の傑作”と最新作『不正義の果て』
また『ソビブル、1943年10月14日午後4時』は、『SHOAH ショア』の後半で明らかにされた収容所でのユダヤ人による武装蜂起の計画と挫折を追ったドキュメンタリー。脱走者400人近くのうち、たった100人の生存者しかいなかった逃亡劇を当時16歳で生還者のひとりである男の証言をもとに構成。知られざる事実を明かすランズマン監督の“幻の傑作”だ。
そして最新作であり、2013年に公開された『不正義の果て』は、ホロコーストで数百万もの人びとを強制収容所に移送するにあたって指導的な役割を担ったアドルフ・アイヒマンの知られざる性格を白日のもとにさらした作品。本作により、ホロコーストの歴史的解明につながったといわれている。
戦後70年を迎え、生き証人が少なくなっていくなか、ホロコーストの“記憶”を“記録”した傑作ドキュメンタリー。これからの時代を生きていく私たちは、この悲しみをどのように受け止め、後世へと伝えていくのか。戦争、生きること、さまざまなことを考えるきっかけを与えてくれる作品だ。
ホロコーストの“記憶”を“記録”した傑作ドキュメンタリー3本
2月14日(土)~3月6日(金)、シアター・イメージフォーラムでロードショー
監督│クロード・ランズマン
配給│マーメイドフィルム
http://mermaidfilms.co.jp/70/
『SHOAH ショア』
1985年/フランス/567分(第1部154分、第2部120分、第3部146分、第4部147分)
『ソビブル、1943年10月14日午後4時』
2001年/フランス/98分
『不正義の果て』
2013年/フランス、オーストリア/218分