MOVIE|ナチス高官の子どもたちがたどる過酷な旅『さよなら、アドルフ』
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2015年4月2日

MOVIE|ナチス高官の子どもたちがたどる過酷な旅『さよなら、アドルフ』

MOVIE|オーストリアの俊英ケイト・ショートランドが描くヒューマンドラマ

ナチス高官の子どもたちがたどる過酷な旅『さよなら、アドルフ』

第二次大戦後の混乱のドイツを舞台に、ナチス高官の子どもたちの過酷な旅を描いたヒューマンドラマ『さよなら、アドルフ』。1月11日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開される。

Text by YANAKA Tomomi

原作はブッカーショウの最終候補になった小説『暗闇のなかで』

これまで幾度となく映画の舞台となってきた第二次世界大戦期のドイツ。迫害されるユダヤ人や彼らを救う市井の人びと、そしてナチスドイツの陥落を扱った作品が数あるなか、これまであまり語られてこなかったナチ幹部家族の“その後”を描いた作品が誕生した。

監督・脚本は、オーストリアの俊英ケイト・ショートランド。カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品された2004年のデビュー作『15歳のダイアリー』(日本未公開)以来となる本作は、ブッカー賞最終候補になった小説『暗闇のなかで』を原作に、全編ドイツ語で撮影された。前作で高く評価された思春期の少女の心の機微と成長を描く手腕が、本作でもいかんなく発揮されている。

『さよなら、アドルフ』 03

『さよなら、アドルフ』 04

険しい運命に対峙する主人公の14歳の少女ローレには、ドイツの若手女優サスキア・ローゼンダールが熱演。そして、ミステリアスなユダヤ人トーマス役を人気俳優のカイ・マリーナが演じるなど、ドイツで評価の高い俳優たちが参加している。

祖母の家を目指して旅に出るローレと幼い弟妹たち

1945年春、ドイツ。敗戦後、ナチ親衛隊の高官だった父と母が連合軍に拘束された。幼い妹や弟たちと置き去りにされた14歳の少女ローレは、祖母が暮らす900キロ離れた街を目指して国内を縦断する旅に出る。

しかし、終戦直後の混乱真っ只なかのドイツでは、相手が子どもであってもナチ関係者を冷たくあしらう大人ばかりで、あたたかい手を差し伸べてくれる者は誰もいない。そんななか、ローレたちを助けてくれるユダヤ人青年トーマスが旅にくわわり、ローレがこれまで信じてきた価値観やアイデンティティが揺らぎはじめてゆく──

 

不安の世界史に残る戦争犯罪の加害者が、家庭に帰れば子どもがいるごく普通のドイツ人だったという事実。そして、“ヒトラーの子ども”が不安と恐怖の果てに見つける真実。14歳のローレの絶望と葛藤をとおしそれらを描いた本作は、“ヒトラーの子ども”に課せられたあまりにも過酷な運命と戦争の深い傷跡を浮き彫りにし、観る者に問いかける。

『さよなら、アドルフ』
1月11日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

監督・脚本│ケイト・ショートランド

出演│サスキア・ローゼンダール、カイ・マリーナ、ネレ・トゥレーブス、ウルシーナ・ラルディ

配給│キノフィルムズ

2012年/オーストラリア・ドイツ・イギリス/109分/PG12

http://sayonara-adolf.com

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