MOVIE|生涯最後のミューズとの出会いを描く『ルノワール 陽だまりの裸婦』
MOVIE|印象派を代表する巨匠の最高傑作『浴女たち』の誕生秘話
生涯最後のミューズとの出会いを描く『ルノワール 陽だまりの裸婦』
印象派を代表する画家、ルノワールの晩年を描いた人間ドラマ『ルノワール 陽だまりの裸婦』。10月4日(金)から、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
絵画のような光と色彩に満ち溢れる
“幸福の画家”として知られ、いまなお多くのひとを魅了しつづける印象派の巨匠ルノワール。病におかされ、自由のきかない手で懸命に創作をつづけた晩年の彼の前にあらわれた最後のミューズと生涯の最高傑作『浴女たち』誕生に秘められた物語が映画化された。
ルノワールを演じたのは、セザール賞最優秀男優賞の受賞者でもある名優ミシェル・ブーケ。そして、ルノワールの最後のミューズであるモデルのアンドレには、フランスでいまもっとも注目されているクリスタ・テレが透明感をもって演じた。
メガホンを取り、共同脚本も担当したのはギョーム・ミュッソのベストセラー小説を映画化した『メッセージそして、愛が残る』のジル・ブルドス監督。そして、ウォン・カーウァイ監督作品などでその映像美が高く評価されているリー・ピンビンが生み出す、まるでルノワールの絵画を見ているような光と色彩に満ち溢れた映像美も必見だ。
ルノワールの前に突然現れたミューズ
1915年、コートダジュール。人生の黄昏時を迎えていたルノワールは、病におかされ満足に絵筆が握れなくなっていた。追い打ちをかけるかのように、最愛の妻を亡くし、そして息子のジャンが戦地で負傷したという悪い知らせも届き、失意のどん底にいたのだ。
しかしある日、ルノワールの前に突然、まるで光を纏ったような美しい娘アンドレが現れる。溢れんばかりの生命力と輝くような美しさをもつアンドレは、画家としてもはや得ることはできないだろうと思っていた活力をルノワールに吹き込んでいく。
そしてルノワールはアンドレをモデルに、後に自身が生涯最高傑作と位置づける『浴女たち』の創作を開始する。
晩年のルノワールと療養のために帰郷し、自分の将来を描けず葛藤を抱える、後のフランス映画界の巨匠となる息子ジャン・ルノワールという“二人のルノワール”のミューズとなった美しきモデル、アンドレの心の機微を、自然美溢れる南仏の田舎を舞台に描いた情感豊かなストーリー。映像美とともに、美しい光の世界へと観る者をいざなう。