アカデミー賞主演女優賞受賞! 閉ざされた「部屋」からの脱出の先に…『ルーム』|MOVIE
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2016年4月5日

アカデミー賞主演女優賞受賞! 閉ざされた「部屋」からの脱出の先に…『ルーム』|MOVIE

MOVIE|本格派女優と天才子役の誕生!

アカデミー主演女優賞! 『ルーム』

並みいる巨匠の新作やハリウッドスターの主演作を押しのけ、アカデミー賞の行方を占うと言われる、トロント国際映画祭で観客賞(最高賞)に輝いた大注目作『ルーム』。その快進撃はとどまるところを知らず、連日のように栄誉ある賞を獲得し、米国メディアの予想通り、アカデミー賞でも堂々主要4部門へのノミネートを果たし、主演女優賞を獲得した 。4月8日(金)より、TOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー。

Text by OPENERS

「部屋」から脱出して終わりではない、そこから物語は始まる

この映画に、これほどまでに人々が熱狂する理由は、“人生で初めて出会う衝撃と感動”にある。この映画のテーマは、事件でも脱出でも、監禁パニックでもない、“母と息子の絆”という、よくある普遍的な題材だ。しかし、その切り口を少し変えることで、アカデミー賞審査員たちも体験したことのない、世紀の愛の物語へと昇華させた。よくある監禁映画のように、“外に脱出できたらハッピーエンド”ではない。7年も監禁されていた母子が「外の世界」に戻ったあと、どのように周囲の目に晒され、苦悩し、どうやって人生を取り戻していくのか、「その後」を描くことで、人々は今までに見たことのない親子の奇跡の愛を目の当たりにする。

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息もできないサスペンスフルな脱出劇、母の愛だけを武器にまだ見ぬ外界へと飛び出したジャックの勇気に、思わず漏れる嗚咽――。予測できる顛末は、すべて見事に裏切られる。「部屋」を出てその先に、この映画の類まれな真価と輝きが待ち受けている。最後の瞬間まで怒涛のように押し寄せる、心を射抜く台詞、己を見失うほど感情をかき乱す登場人物たちの選択、そして魂が慟哭するラストシーンは圧巻だ。

映画の成功のカギを握る天才子役、現る

原作は、ブッカー賞の最終候補作になるなど、現代小説の名作と絶賛された大ベストセラー、エマ・ドナヒューの同名小説『部屋』。オーストリアで子どもたちと一緒に24年間地下室に閉じ込められていたエリザベス・フリッツルの実話を基にしている。「この事件のスキャンダラスな面には興味がなく、極限状態での母性や、人間が立ち直る力に惹かれた」というドナヒューが、『FRANK -フランク-』などを手がけるレニー・アブラハムソン監督から熱心な長文レターを受け取り、自らが大胆に脚本化した。

監督のアブラハムソンが一番頭を悩ませたのは、息子役のジャックだった。「並外れた想像力と判断力、強い個性を表現できる俳優を見つけられるかどうかに、この映画の成功はかかっていた。」と振り返る。そんな時に出会ったのがジャック役のジェイコブ・トレンブレイだ。

「5歳という設定なら通常の場合、子役には単に本来の自分でいることを望む。しかし、ジャック役には演技ができる俳優が必要だった。彼はチャーミングでスウィートなだけでなく、俳優として素晴らしい技術を持ちあわせていた。まるでカジノで大金を当てたような気分だったよ。天井からキラキラと光が落ちてきたように見えた」と話すアブラハムソン監督。ジェイコブは、ジャックの置かれた立場を正しく理解していた。その演技は高く評価され、全米映画俳優組合賞助演男優賞など19の映画賞にノミネート、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞最優秀新人賞など6つの賞を受賞した。

また、レビューサイトで史上最高の評価を受けた映画『ショート・ターム』で脚光を浴びた「ママ」役のブリー・ラーソンは、役になりきるため滅多に外出しないという、隔離された生活を送り、終いには太陽さえ避け、徹底的に役になりきろうとしたという。そんな彼女をアブラハム監督は「もし、ブリーをキャスティングできなかったら、この映画は今ある姿にはなっていなかった」と称賛。見事本作でアカデミー賞主演女優賞に輝いた。

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ブリー・ラーソン
Photograph by Jon Furniss

魂が慟哭する衝撃の感動作

閉じ込められた[部屋]で暮らす、ママとジャック。体操をして、テレビを見て、ケーキを焼いて、楽しい時間が過ぎていく。しかし、この部屋が、ふたりの世界のすべてだった。ジャックが5歳になった時、母は[部屋]しか知らない息子に本当の世界を見せるために命を懸けた脱出を図る。だが、ふたりが飛び込んだ現実の世界はあまりにも大きすぎた・・・。

「部屋」から脱出した母と息子、その先の驚愕の運命とは――

『ルーム』
2016年4月8日(金)より、TOHOシネマズ 新宿、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
監督|レニー・アブラハムソン
原作・脚本|エマ・ドナヒュー
出演|ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ
配給|ギャガ
2015年/アイルランド・カナダ/118分/原題『ROOM』
GAGA.NE.JP/ROOM

©ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015

           
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